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神々の塔

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第八話 生贄の神々その一

               第八話  生贄の神々
 綾乃達十人は朝起きると再び風呂に入った、綾乃は風呂から出て白のブラとショーツ姿で脱衣場に一緒にいるシェリルに話した。
「やっぱりやで」
「神霊の前に出るとなるとやね」
「その前にもこうして」
「身体を清めることやね」
「清め過ぎるってことはないさかい」
 濡れた髪の毛を拭きつつ話した。
「そやからね」
「また入ったんやね」
「そやで、昨晩も入って」
「今朝もこうして入る」
「そうして徹底的に清めて」
 そうしてというのだ。
「戦いに赴こうな」
「ほなな、しかし」
 シェリルは今は赤のブラとショーツだ、その下着を身に着けつつ自分の隣にいる綾乃に対して言った。
「昔の欧州はな」
「どないしたん?あっちが」
「いや、昔の欧州はお風呂に入らんかったやろ」
「あっ、ルイ十四世とか」
「もう人生で数える位しかな」
「お風呂入らんかったらしいね」
「そのルイ十四世なんか」
 太陽王と呼ばれた彼はというのだ。
「もう徹底した風呂嫌いで」
「そこまで入らへんで」
「しかもな」 
 それだけでなくというのだ。
「けったいな藪医者に言われてな」
「あっ、歯が万病の元とか言う」
「それで歯を全部抜いてな」 
 麻酔無しでそうしたらしい。
「そしてな」
「噛むこと出来ん様になって」
「しかも手術の失敗でや」
 尚悪いことにだ。
「お鼻とお口がつながって」
「もう大変やね」
「口臭はきつい、そして噛めへんで消化不良になって」
「慢性的な下痢で」
「お漏らしもしょっちゅうになって」
「それでお風呂滅多に入らへんで」
「もう全身悪臭ぷんぷんやったらしいな」
 それがルイ十四世の実情だったという。
「お風呂入らへんでお漏らし常やと」
「それで教会とか行っても」
「大変やろな、周りも」
「キリスト教ではその辺り厳しくないにしても」
 それでもとだ、綾乃は述べた。
「やっぱり教会とか行くにもな」
「身を清めた方がええやろな」
「神様の前に出るんやし」
「ルイ十四世はもうそれこそ」
「どうかやね」
「今思えばそやな」
「何か色々野心もあって」
 フランス王では満足せずにだ。
「神聖ローマ皇帝になろうとしてたとか」
「あれな、ローマ教皇に冠授けられてな」
「なるもんやね」
「まさにキリスト教のな」
「重要な位置にある立場やね」
「それでそんなや」
 それこそとだ、シェリルは言った。
「お風呂何年も入ってへんでいつもお漏らししてな」
「そうしたもんがそのままの状態で神様の前に出るのは」
「やっぱりな」
 それはというのだ。
「よおないわ」
「そやね」
 綾乃もそれはと応えた。 
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