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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその四

「それに加えてですからね」
「食事が次に来るというものです」
「アッラーが食事を与えて下さるなら」
 それならばというのだ。
「是非召し上がりましょう」
「そして英気を養い」
「我等の食事を楽しみましょう」
 こうした話をしつつだった、彼等は十二時の食事に入った。それは彼等政府の高官達だけではなく。
 他のティムールの者達もだった、彼等は正午のアッラーへの拝礼を終えてからそのうえで食事に入るが。
 サマルカンド星系に近いある星系の第二惑星この星系では唯一人間が居住しているその星のある工場においてだった。
 若い労働者達が食事を摂っていた、彼等はクスクスやパン、シチューやマトンの串焼き等を食べていたが。
 その食事中にだ、口髭を生やした労働者が仲間達に言った。
「俺達これからどうなるだろうな」
「どうなるかって言われてもな」
「ティムールが勝っても負けても同じだろ」
「結局俺達はこの工場で働いてるだろ」
「この歯磨き粉製造工場でな」
「歯磨き粉は誰でも使うからな」
 生活必需品の一つだからだというのだ。
「売れない筈がないからな」
「だからな」
「俺達はこのままだぜ」
「統一するのがオムダーマンでもティムールでもな」
「俺達の仕事は変わらないからな」
「歯磨き粉を作る」
「もうそれだけだろ」
 こう同僚に口々に話すのだった。
「それがどう変わるかってな」
「それこそ仕事クビにならない限りないだろ」
「この工場が潰れないこともな」
「今のところ本社の経営順調だしな」
「従業員の雇用拡大の話があるだろ」
 この話が出ているというのだ。
「それはまだ大丈夫ってことだよ」
「経営が危なかったらリストラとか言い出すからな」
「本社の経営が大丈夫な限り俺達も変わらないさ」
「ここで働いてくだけさ」
「ティムールが勝ってもオムダーマンが勝っても」
「結局それは変わらないぜ」
「そういうのじゃなくてな」
 最初に言った労働者は自分のクスクスを食べつつ言った。
「ティムールに勝って欲しいとか思わないか」
「そりゃ思うさ」
「俺達だってティムールの人間だしな」
「俺達にしろ愛国心はあるぜ」
「ティムール好きだよ」
「まだ出来て新しい国だけれどな」
 シャイターンがサハラ北部を統一して建国した、それからまだ然程歳月が経ていないというのである。 
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