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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその五十五

「一応ではあっても」
「日本に階級がなくなったので」
「華族や士族はありましたが」
「四民平等でしたね」
「その政策故にです」
 被差別階級もというのだ。
「平民とされました」
「そうだったのですね」
「ただ、新平民と言われ感情的な差別が残りました」
「それは、ですか」
「はい、そこから人権獲得の為の運動も起こりました」
 被差別階級のそれがというのだ。
「そうもなりました」
「多くの国であったことが日本でもありましたね」
「水平社運動といいます」
「そうした歴史があったのですね」
「そうでした、ですが」
 それでもとだ、八条はここでようやく酒を一口飲んでそうしてからやはりようやく一口飲んだバールに話した。
「マウリアのそれはあまりに極端なので」
「ジャバル副主席もですか」
「必死になられていて」
 そうしてというのだ。
「革命と言えるものもです」
「お考えですか」
「そうしてです」
「そして、ですか」
「アウトカースト層こそがです」
「マウリアの支配階級になる」
「そこまでお考えでは、ただ」
 ここでだ、八条は難しい顔になった。そうしてその顔でバールに対して真剣な顔で話した。碗の中には糸蒟蒻がある。
「それではです」
「アウトカースト層が支配階級になることは」
「それではです」
「はい、同じですね」
「アウトカースト層の社会進出はいいことですが」
 その権利獲得もだ。
「連合から見ても」
「左様ですね」
「しかしです」
 それでもというのだ。
「カースト制度の階級のそれを否定ならともかく」
「自分達が支配階級になるということは」
「同じです、共産主義革命は資本家と農民が支配階級になり」
「資本家や地主、貴族を粛清する」
「そうした革命でしたが」
「ジャバル副主席は他カーストのそれは」
「考えておられないです」
 八条は断言した。
「あの御仁謀略家でもあり手段を選ばれないですが」
「それでもですね」
「血を好む方ではなく残虐でも冷酷でもです」
 そうした性質はというのだ。
「持っておられないです」
「だからですか」
「はい、決してです」
 ジャバル、彼はというのだ。
「アウトカースト層の社会進出をお考えで」
「アウトカースト層が支配階級になることもですか」
「お考えかも知れないですが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「粛清等はですか」
「カースト制度は階級制度ですが」
「連合では否定されている」
「しかし職業分化の意味もあり」
 それでというのだ。 
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