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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその四十四

「連合じゃないしな、マウリアでもな」
「マウリアの軍人ってカースト高いですよね」
「確かクシャトリア階級でも高位の人がなるんですよね」
「兵隊にしても」
「提督とか特に」
「一応自由に入隊出来るけれどな」
 マウリアにしても志願制だ、だから表向きは誰でも志願して入隊検査と試験に合格すれば入隊出来るのだ。
 だがその実は、なのだ。
「あそこはカースト制の国だからな」
「そうした階級でないと、ですよね」
「そもそも入隊しようとしないですね」
「ヴァイシャ、商人階級とか」
「シュードラ、平民階級は入隊の志願すらしないんですよね」
「どの階級もそれぞれの代々の仕事があるからな」
 だからなのだ。
「あそこはそれで職業分化してるからな」
「だからですよね」
「そうした階級じゃないと入隊しなくて」
「それで、ですよね」
「あっちの軍人の人達は」
「俺みたいな下士官にしても結構な階級だぞ」
 カースト制度の中ではというのだ。
「お前等みたいな兵隊でもな」
「カースト上ですよね」
「兵隊にしても」
「そうなんですね」
「もう士官なんてな」
 連合では試験に通れば誰でもなれる、というか士官になる者は少ないので部内士官の試験は基本かなり合格率が高い。
「貴族みたいだぞ」
「エウロパで言うとですか」
「エウロパじゃ貴族は絶対に士官からはじまるらしいですし」
「それと一緒ですか」
「マウリア軍でも士官はカースト高いですか」
「それも相当に」
「その士官もいたか?」
 一等曹長は兵士達に尋ねた。
「ゴミ捨てに」
「はい、いました」
「それも大尉の階級の人が」
「マウリア軍の階級チェックしましたけれど」
「その階級の人がいました」
「士官の人も」
「士官がゴミ捨てをするか」
 一等曹長は言った。
「マウリアでかなりカーストの高い人が、連合の軍隊でもな」
「士官の人の仕事じゃないですよね」
「作業の監督をしますから」
「雑用を自分からすることは」
「ないですよね」
「それが何でだ」
 それこそというのだ。
「マウリア軍は他国の軍艦の中でそうするんだ」
「考えてみれば不思議ですね」
「有り得ないことですね」
「言われてみますと」
「普通ないですね」
「そうだ、これは何かないか」
 一等曹長は兵士達に言った。
「本当にな」
「じゃあその何かが気になりますね」
「どういうことでしょうか」
「一体」
「マウリアの連中は何を考えていたんでしょうか」
「ちょっと先任下士官室で話してな」
 そしてとだ、一等曹長は兵士達にこうも話した。
「艦長にもな」
「お話しますか」
「そうされますか」
「変な話だからな」
 それでというのだ。 
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