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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその四十三

「それは」
「ですよね」
「どう考えてもおかしいですよね」
「やけに必死で」
「というか必死過ぎて」
「たかがゴミ捨てに」
「こんな何でもない仕事に」
 雑用と言えば雑用だ、何でもない仕事である。だが連合では雑用こそが仕事の基本でありこれをおそろかにしてはならないとも言われている。
「どういう訳か必死で」
「必死に頼んできまして」
「それで、ですよ」
「俺達も何度も断ったですが」
「ついです」
「やってもらいました」
「そうか、このことはちょっと気になるな」
 一等曹長はどうかという顔で述べた。
「俺も」
「たかがゴミ捨てですからね」
「ゴミなんかに何かありますかね」
「捨てるだけなのに」
「まさか残飯とか漁らないですよね」
「そんなことしないですよね」
「それはないだろ」 
 幾ら何でもとだ、一等曹長は話した。
「そんなもの誰が漁るんだ」
「そうですよね」
「残飯とかは流石に」
「誰も漁らないですよね」
「こんなものは」
「残飯はな」
 それはというとだ、一等曹長は話した。
「完全に凝縮するだろ」
「一度は」
「それで港で業者に渡して」
「戻して家畜の餌にしますね」
「そうしていますね」
「資源だからな」
 残飯もというのだ。
「そうしてるだろ、けれどな」
「人間は食わないですよね」
「今時残飯は」
「昔は貧乏とかで料理にしなおして食ってたらしいですが」
「それはないですよね」
「昔は残飯をシチューにしたりな」
 文字通り残飯シチューといった、第二次世界大戦直後の日本のバラックの市場ですいとん等と共に売られていた。
「食うものがないとな」
「食ってましたよね」
「残飯もまた」
「他に食うものがないから」
「そうしてましたね」
「ああ、しかし連合だとな」
 豊かな自分達の国ではというのだ。
「ホームレスでもな」
「そんなの食わないですよね」
「連合はホームレスもかなり少ないですが」
「それでもいることはいますが」
「そんなホームレスでも」
「今時残飯は」
「ホームレスは保護施設に入ってな」
 そこの厄介になってそこから再就職等社会復帰に移るのだ。
「そこで食べさせてもらうだろ」
「ですよね」
「残飯漁らなくても生きていけますからね」
「連合だとホームレスでも」
「そうですよね」
「だから今時残飯を食うとかな」
 それこそというのだ。 
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