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八条学園騒動記

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第六百八十五話 大食を前面にその十一

「カツカレーって日本人が生み出したらしいよ」
「それ私も聞いたわ」
 メアリーもそれはと答えた。
「野球選手が考えたのよね」
「近鉄の監督だったことがあって」
 かつて日本に存在したチームである。
「巨人のスター選手だった」
「あのチームにスター選手?」
 シッドはそう聞いて首を傾げさせた。
「そんなのいたんだ、あのチームに」
「二十世紀のことだよ」
 トムはその頃のことだと話した。
「あのチーム最初は強かったんだ」
「そうだったんだ」
「今は千年連続最下位でね」
「勝率一割台でね」
「連合でも最弱の野球チームって言われてるけど」
「最初は強かったんだ」
「それで球界の盟主を自称してね」 
 勝手に自分達で思い込んでいたのだ。
「やりたい放題だったんだ」
「そうだったんだね」
「それでその頃のね」
「スター選手だったんだ」
「そのうちの一人だったんだ」
 背番号三、セカンドとして活躍した。
「猛牛って呼ばれて」
「それでその人がなんだ」
「そう、千葉茂さんがね」
 その彼がというのだ。
「洋食が好きで」
「それでなんだ」
「カレーライスと豚カツを一緒に食べたくなって」
 そう思ってというのだ。
「どうしたらいいか考えて」
「それでご飯の横に豚カツ置いてなんだ」
「そしてね」
 そのうえでだったのだ。
「ご飯とカツの上にだよ」
「ルーをかけたんだ」
「そうしてだよ」
「カツカレーが出来たんだ」
「そうなんだ」  
 ネットで調べたことを読みつつ話した。
「どうもね」
「そうだったんだね」
「何処の誰かが考えたかって思ったら」
 それはというのだ。
「日本のね」
「プロ野球選手だったんだね」
「それも巨人のね」
「巨人ね。昨日も負けたらしいわね」
 メアリーは巨人と聞いて試合の話をした。
「二十対一でね」
「惨敗だね」
「あのチームの常ね」
 シッドに何でもないという口調で答えた。
「惨敗は」
「本当に弱いね」
「ええ、無茶苦茶ね」
「どうしようもないチームだね」
「人気もないし」
 球場の一塁側はいつもガラガラである。
「チームの雰囲気もね」
「ヤクザ屋さんの事務所みたいでね」
「もうかなりよ」
「雰囲気が悪いね」
「練習もしてないし」
 それすらもというのだ。 
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