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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその二十二

「サハラの戦乱です」
「北方でも激しく戦い続け」
「お互いを弱めてしまっていた」
「そのせいでしたね」
「争えば」
 それでというのだ。
「弱まります」
「全くですね」
「獣もお互いに争えばそうなります」
「片方が死にもう片方が傷だらけになるか」
「双方共傷付きます」
「そうなってしまいます」
「それは国家も同じで」
 サハラ北方にあった無数の国家もというのだ。
「実際に北方にシャイターン主席が登場しますと」
「それ以上攻められなくなりましたね」
「侵攻の勢いが止まりました」
「そして我々との戦争で劣勢になり」
「サハラから撤退せざるを得なくなりましたね」
「そうなりましたので」
 だからだというのだ。
「兵器から見ましても」
「サハラの兵器は防御力は落ちます」
「我々と比べて」
「攻撃射程や正確さも」
「そうしたものは落ちますが」
「しかし」
 それでもというのだ。
「攻撃力と機動力に優れています」
「攻撃力は我々に少し劣る位で」
「機動力は遥かに上ですね」
「とかく速度があります」
「空母ですらです」 
 速度が遅いというこの艦艇でもというのだ。
「中央政府軍の軽巡並の速度です」
「駆逐艦や高速戦艦なら尚更です」
「とかく速度が速いです」
「その速度には負けます」
 どうしてもというのだ。
「その速度の分です」
「サハラの兵器は強いです」
「その速度を見ますと」
「我々に負けていませんね」
「連合の兵器は遅いです」
 速度では落ちるというのだ。
「どうしても」
「そこがネックですね」
「速度を犠牲にして他の能力に力を注いでいます」
「攻撃力や防御力に」
「索敵能力にも」
 勿論電子設備やダメージコントロールにもだ、そして艦艇の中の居住環境にもかなり力を注いでいるのだ。
「あえてそうしています」
「速度のことはわかっていますが」
「それをあえて犠牲にして」
「そうして戦っていますし」
 だからだというのだ。
「もうそれは覚悟のうえです」
「速度の遅さはその他の能力でカバーしています」
「故障も少ないですし」
「あえてです」
「ですから」
 それでとだ、技術少佐はさらに話した。
「そこはあえてですが」
「それでもですね」
「サハラは違いますね」
「速度にかなり割いています」
「防御力やダメージコーントロールの分を」
「そうもしています」
「連合とは兵器の設計思想が違います」
 その根本がというのだ。
「我々は戦死者を出さない様にしています」
「それは確かにありますね」
「連合では軍人は市民です」
「市民軍です」
「市民ならば」
 これは中央政府軍だけでなく各国軍もだ、戦争でも市民から犠牲者を出す訳にはいかないという設計思想なのだ。 
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