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神々の塔

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第三話 準備を整えその六

「幾らでもです」
「焦ることやね」
「しかし焦りますと」
 実際はどうかというのだった。
「かえってです」
「よおないわ」
「何をするにも荒くなり」
 そうなってというのだ。
「見落としも多くなり」
「失敗するわ」
「そうなりますので」 
 だからだというのだ。
「出来ればです」
「焦らんことやね」
「何事も落ち着いて」
 そうしてというのだ。
「冷静にです」
「ことをやってくべきやね」
「はい」
 まさにというのだった。
「そうすべきです」
「やっぱりそやね」
「起きた世界でもそうであり」
「こっちの世界でもやね」
「同じです、世の摂理は変わりません」
 こちらはというのだ。
「例え世界が違おうとも」
「そうしたことは同じで」
「焦るとです」
「失敗するんやね」
「紫さんは焦る人ではないですが」
「むしろ逆で」
 焦るタイプではなくとだ、綾乃は自分から言った。
「のんびりした方やね」
「落ち着かれてますね」
「うちはそやね」
「それは焦るよりです」
「ええんやね」
「遥かに。何度言っても焦り」
 そうしてというのだ。
「暴走して失敗する様では」
「あかんね」
「はい、そうした人もいますので」
 世の中にはというのだ。
「僕も思います」
「焦ったらあかへんって」
「その様に」
「そやからやね」
「棟梁はです」
「焦らんことはやね」
「美徳です」
 こうまで言っていいものだというのだ。
「まことに」
「美徳って」
「いえ、焦っての失態を考えますと」
「焦らへんことはやの」
「落ち着き、冷静があるということは」
 まさにというのだ。
「美徳です」
「そやねんね」
「カエサルもそうでしたし」
 この英雄もというのだ。
「何があってもです」
「あの人も焦らんかったんやね」
「借金を全く恐れず」
 兎角金を借りまくった、それを政治資金だけでなく自身の遊興費にも使ったのが彼の特質と言うべきか。 
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