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星河の覇皇

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第八十三部第一章 防衛ライン到達その二十三

「逆にだ」
「軍事に無知であることについてですか」
「気付いていない、軍事はだ」
 それはというのだ。
「政治の一分野だが特殊だ」
「その通りですね」
「警察と軍隊もかつは同じだったが」
「今は違う」
「ジャバル副主席はこのこともだ」
「わかっていない」
「アウトカースト政府には警察はあった」
 アウトカースト層の法律を守るそれがだ。
「確かにな、だが」
「軍隊は、ですね」
「なかった、しかしジャバル副主席はな」
 その彼はというと。
「おそらく警察と軍隊を同じものとだ」
「今もですね」
「考えている、警察を完璧に動かして万全の結果を出してもだ」
 それでもというのだ。
「軍隊とは違う」
「それも全くですね」
「かつては同じでも今ではな」
「全く違う組織になっていますね」
「同じ階級型の組織で治安を担当していてもな」
「それでもですね」
「全く違っている」
 警察と軍隊では、というのだ。
「軍隊は戦場で戦う、警察は事件で荒々しいことがあってもな」
「現場の質が違いますね」
「動く人間の数も違う、同じ現場でもだ」
「警察と軍隊のそれは違う」
「そこをわかっているかどうかでだ」
 それこそというのだ。
「違うが」
「ジャバル副主席はわかっていない」
「そしてそのことがだ」
 まさにというのだ。
「出る」
「これからは」
「そしてこれは私には実感がないが」
 ここでだ、アッディーンはこうも話した。
「あの国には階級があるな」
「カースト制度ですね」
「それがある、あれはだ」
 そのカースト制度はというのだ。
「どうもムスリムにはな」
「馴染まないですね」
「人には貧富や立場があってもな」
「それでもですね」
「あの国の人口の九割程がヒンズー教徒でな」
「ヒンズー教にカースト制度がありますね」
「それがあるからな」
 アッディーンは難しい顔をしつつ話した。
「それで階級がある」
「バラモン、ヴァイシャ、クシャトリア、シュードラとですね」
「アウトカースト層だ」
「その問題の」
「マウリアに一千億いるな」
 ジャバルの所属している階級の、というのだ。
「その階級に所属している意識がだ」
「ジャバル副主席は強いですか」
「本人も言っている、それは非常に強い」
 ただ強いのではなく、というのだ。
「アウトカースト層の社会進出を常に言っているからな」
「今以上の、ですか」
「社会の最底辺、疎外者でなくなる」
「そうした風にですか」
「確か共産主義だったか」
 アッディーンは既に消えたイデオロギーの話もした。 
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