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星河の覇皇

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第八十三部第一章 防衛ライン到達その十九

「そうなったことを見ると指揮官は、ですね」
「敗北する」
 そうなってしまうというのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「国家元首は自分が直接指揮していない限りはな」
「軍人に任せるべきですね」
「必ずな、若し現場に介入すれば」
 国家元首がというのだ。
「それが素人であったならな」
「悪い結果をもたらしますね」
「そうなる、もっとも例外もある」 
 真剣な顔でだった、アッディーンはこうも話した。
「一次大戦中のイギリスだ」
「エウロパの大国の一つですね」
 イギリスと聞いてシンダントはすぐに述べた。
「かつては長きに渡って世界帝国だった」
「そうだ、あの国は二度の世界大戦で没落した」
「多くの力を消耗し」
「そして世界帝国から欧州の大国にまで落ちた」
「世界の指導的地位にはあり続けましたが」
「アメリカやソ連、日本や中国の後塵を拝した」 
 アッディーンはここでは歴史を話した。
「フランス共々な」
「そうなりましたね」
「だが今もエウロパの大国の一つだ」
「そのことは変わらないですね」
「そうだ、その国の話だが」
「一次大戦の」
「あの時ドイツ海軍の潜水艦に苦しめられていた」 
 ここでだ、アッディーンも他の参謀達も目が光った。だがその光は一瞬であり彼は話を続けていった。
「輸送船を沈められていってな」
「イギリスは島国でしたね」
「そして多くの植民地を持っていてな」
「物資を植民地からの輸送に頼っていましたね」
「船を使ったな」
「その船を沈められては」
「イギリスは首を絞められていっている様なものだ」
 そうした状況になっていたというのだ。
「だからその輸送船の護衛に海軍の艦艇を回した」
「そこで、でしたね」
「海軍は反対したが」
 輸送船の護衛の様な軽い、程度の低い任務は誇り高きロイヤルネービーの仕事ではないと言ってだ。
「しかしだ」
「その反対をですか」
「当時の首相ロイド=ジョージは突っぱねてな」
「護衛させたのですね」
「所謂護送船団でな」
「閣下も先程のお話のハサンとの戦いでされましたね」
「輸送船は丸腰だ」
「武装なぞとても」 
 シンダントもこう述べた。
「していませんね」
「武装している輸送船もあるにはあるが」
「あくまで例外ですね」
「輸送機でもな、武装する余裕があれば」
「その分物を載せますね」
「そうするからな、連合の輸送船は巨大だが」
 全長二キロに達する、その巨大さで多くの物資を搭載し輸送するのだ。
「しかしだ」
「武装はですね」
「全くない」
「乗員も少ないとか」
「その巨大さに比してな」
 そうだというのだ。 
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