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星河の覇皇

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第八十三部第一章 防衛ライン到達その十三

「そしてだ」
「補給もですね」
「欠かせない、だからだ」
「バスラ星系にですね」
「多くの物資と整備施設を集め」
「そのうえで足掛かりにし」
「何かあればな」
 敗北の時はというのだ。
「そこに退くだ」
「戦い続けますか」
「敗北の時に足掛かりがあれば」
 それでというのだ。
「そこで踏み止まれる」
「そして勝利の際もですね」
「そこから物資を前線に送れてな」
「破損した艦艇もですね」
「それが現場の工作艦で間に合わなくともな」
「修理を出来ますね」
「だから中継基地は必要だ、サラーフとの戦いでよくわかった」
 西方を完全に掌握した戦いだ、アッディーンはこの戦いでは数に勝る敵軍に圧勝しオムダーマンを西方の覇者にした。
「あの時足掛かりを置いてな」
「順調に進めましたね」
「敵の大群も挑んできたが」
「彼等にも圧勝出来ましたね」
「サラーフは愚かだった」
 もと言えばサラーフの政府がだ。
「無謀な攻勢に出たしだ」
「艦隊の配備状況もでしたね」
「艦艇を適当に置いているだけのな」
 速度も火力もばらばらに配置していたのだ。
「そうしたな」
「碌でもない状況でしたね」
「そうした軍だったがな」
「それでもでしたね」
「中継基地を置いてだ」
「戦略的に有利に進められた」
「そうなった、そしてあの時は」
 そのサラーフとの戦争ではというのだ。
「一つ難点があった」
「敵が徹底した焦土戦術を執ってきました」
「民間生活に支障が出る様にしなかったが」
 民間設備を破壊せず市民の食料や生活用品には手をつけなかったのだ、これは当時のサラーフの軍事責任者であり今はオムダーマンにいるハラスの良識だった。
「しかしだ」
「軍需物資や施設は」
「何も残さなかった」
「まさに焦土でしたね」
「軍も何もなくては動けない」
「あれでは」
「オムダーマン軍は進みに進んでだ」
 そうしてというのだ。
「最後はな」
「その進撃が止まっていた」
「何もなくてはな」
 それこそというのだ。
「やがて力尽きそうなる」
「そしてその時にこそ」
「サラーフ軍が反撃に出ていた」
「そうなりましたね」
「その未来は明らかだった」
「だからですね」
「あの時は一旦進軍を止めてだ」
 アッディーンはその時を思い出しつつバヤズィトにさらに話した。 
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