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ドリトル先生とタキタロウ

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第四幕その五

 先生は皆と一緒にタキタロウ館を隅から隅まで巡って観ていきました、そうしてそれから外に出ますと。
 スタッフの人達がキャンプ場の釣り場で釣りをしていました、先生はそれを見て少し残念そうに言いました。
「僕はスポーツは駄目だからね」
「そうだよね」
「先生って運動神経ないから」
「それも全く」
「こちらは全く駄目だから」
「それでだね」
「釣りもね」
 こちらもというのです。
「やってみても釣れたことはね」
「ないよね」
「それこそ一匹も」
「そうだったね」
「スポーツと家事は駄目だよ」
 先生は自分から言いました。
「そして恋愛はね」
「もてたことがない」
「ただの一度も」
「そうだったんだね」
「そうだよ、それこそね」 
 まさにというのです。
「ないからね」
「まあ恋愛は置いておいてね」
「そちらのことは」
「恋愛についてはね」
「先生がどう思っていても」
「事実は違うからね」
 皆は日笠さんのことを思いつつお話しました。
「そのことは」
「まあそれは置いておくよ」
「今はね」
「そうするよ」
「ただスポーツと家事はね」 
 実際にというのです、皆も。
「確かに出来ないね」
「そちらの才能はないわね」
「もうからっきしで」
「自転車にも乗れないからね」
「乗馬しても鞍の上に座ってるだけだし」
「老馬じゃないと僕は乗れないしね」
 乗馬にしてもです。
「しかも馬具が全部ないとね」
「乗れないよね、先生は」
「鞍と手綱、鐙がないと」
「それで駆けることも出来ないし」
「ただ乗ってるだけだね」
「そうだからね、スポーツはね」 
 兎に角と言うのです。
「全く出来なくてね」
「釣りもだよね」
「出来ないよね」
「どうしても」
「そうだよ、奇麗な釣り場で皆楽しく釣ってるけれどね」
 白いコンクリートで下にお水があります、そこに小さなお魚達も見えます。
「僕はね」
「餌を付けて針糸を垂らしても」
「本当に一匹も釣れない」
「そうだね」
「うん、だから釣りはしないで」
 それでというのです。
「フィールドワークを続けるよ」
「そうだね」
「先生家事も出来ないからね」
「キャンプのことも」
「そういうことは全部僕達がやるから」
「先生はそちらに専念してね」
 皆はそんな先生に優しく言いました。 
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