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X ーthe another storyー

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第二話 来訪その十六

「そうだったな」
「そうよね」
「そう思うとな」
 それこそというのだ。
「俺と神威は似ているか」
「そうかも知れないわね」
 小鳥は微笑んで応えた。
「だから仲がいいのかもね」
「そうかもな」
「二人で私のことをいつも守ってくれたし」 
 笑顔でだ、小鳥はこうも言った。
「そうもしてくれたし」
「お前がいじめられているとな」
「お兄ちゃんかね」
「神威が来てくれたな」
「それで二人共いじめはね」
「ああ、そういうことは嫌いなんだ」 
 封真は澄んだ顔と声で答えた。
「昔からな」
「そうだったわね」
「だからな」 
 それでというのだ。
「俺はしなかったし」
「神威ちゃんもね」
「自分から喧嘩をすることはなくてな」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「いじめもね」
「絶対にしなかったな」
「そうだったわね」
「そう考えるとな」
「二人は似ているわね」
「そうだな」
「似ているのは当然だ」
 この場でこれまで沈黙を守っていた鏡護が言ってきた。
「それはな」
「それは?」
「どういうことなの、お父さん」
「このこともやがてわかる」
 ここでもだった、鏡護は言わなかった。表情を消してそのうえで自分の子供達に対して言わなかった。
「だから今はな」
「言わないの」
 小鳥は自分から見て右手封真から見て左手にいる父に応えた。
「そうなの」
「それでいいか」
「それじゃあね」
「父さんがそう言うならな」
 小鳥だけでなく封真もそれならと応えた。
「俺達はいい」
「それでね」
「それならな、だが似ているからこそだ」
 鏡護は子供達にあらためて話した。
「二人ともお互いを大事にして小鳥もだ」
「大事にか」
「するんだ、若し小鳥に何かあれば」
 封真を見て話した。
「それだけでだ」
「駄目なんだな」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「どうしてもな」
「小鳥はか」
「守ることだ、どういった立場であれな」
「俺は小鳥を守る」
「そうするんだ」
「そんなこと当然じゃないか」
 箸と碗を手にしてだ、封真は鏡護に答えた。
「俺は小鳥の兄貴なんだからな」
「そうだな、だったらな」
「小鳥を守らないとな」
「これまでそうだった様にな」
「これからもか」
「そうだ」
 まさにというのだ。 
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