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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第33話:事態は無事収拾しました


なのはが部屋を出て行ってからしばらくして,再びドアが開いて
はやてとシグナムに手を引かれたヴィータが入ってきた。

「いやー,最初はどうなるかと思ったけどよかったわ。
 お疲れさんやったね,ゲオルグくん」
 
「はやても覗き行為お疲れさん」

実は,俺となのはが副部隊長室で話しているのをはやて・シグナム・ヴィータの
3人は部隊長室で見ていたのだ。
ヴィータは俺がなのはの邪魔をしていると言い張っていたので
見かねたシグナムがはやてに相談したところ,こういう形になった。

「しかし,前半と後半のゲオルグくんのギャップはすごかったで。
 前半のシュミット三佐モードんときは私も見てて怖かったもん。
 でも後半になったら急に優しなるし。あれはすごいわ。
 ゲオルグくん俳優になれるで」

「そりゃどうも。でも演技じゃないよ。どっちも俺自身。
 ただ,立場の違いが態度に現れてるだけだよ」

「主はやて。まずは・・・」

シグナムがそう言うとはやてははっとした顔になった。

「そうやったな。ヴィータ」

はやてはそう言うとヴィータを俺の方に押しやった。
ヴィータはしばらく言い出しづらそうにうつむいていたが
キッと顔を上げると,口を開いた。

「ゲオルグ,ごめん。あたしはゲオルグがそんなに考えてるって思ってなくて。
 自分のことしか見えてなかった・・・」

「ま,しょうがないでしょ。なのはが気づけなかったことに気づけってのも
 酷な話だと思うし。こればっかりは隊長としての教育と経験がないとね。
 でも,これからはちゃんと考えてくれな」

「わかった!」

ヴィータはそう言うと俺に向かって手を差し出したので,俺はその手を握った。

「はい!これでヴィータとゲオルグくんも無事仲直り完了やね」

はやてがぽんと手を叩いて殊更明るくそう言った。

「あとは,なのはがティアナとうまくやってくれればいいんだけど・・・」

「そこはなのはちゃんを信じよ。大丈夫やって,ゲオルグくんの愛する
 なのはちゃんやったらうまくやってくれるって」

「そうだな・・・。って,愛するって何!?」

俺がそう言うとはやてはニヤニヤ笑いながら肘で俺のわき腹を小突いてきた。

「またまたー。あんな優しく話しかけるゲオルグくんなんか見たことないよ。
 少なくとも私はあんなふうに接してもらったことないもん。
 あー,ええなぁなのはちゃん。ゲオルグくんに優しくされて。
 これまでも,なのはちゃんはゲオルグくんに惚れてるんちゃうかと
 思ってたけど,これで落ちたな。フォーリンラブや」

「おい,はやて・・・」

「しかも,泣きじゃくるなのはちゃんの頭を優しく撫でてるときの
 ゲオルグくんの慈愛に満ちた表情!あれこそ愛やね」

はやてはそう言うと,俺の部屋のモニターを操作した。
すると,俺に抱きついて泣くなのはとなのはの肩を抱き頭を撫でる俺が
モニターに映し出された。

「・・・そんなんじゃねえよ」

「なあ,ゲオルグくん」

俺がそっぽをむいて言うと,はやては急に真面目な口調になった。
 
「私はな,なのはちゃんにもゲオルグくんにも幸せになって欲しいんよ。
 2人とも私の大事な友達やからね。多分,フェイトちゃんも同じ気持ちやで。
 ま,これ以上は本人同士の問題やからごちゃごちゃ言うのはやめとくけど,
 自分の気持ちに嘘はつかんといて。これは2人の友達としての私のお願いや」
 
「・・・へいへい」

俺は投げやりに返答しながら,心中では違うことを考えていた。

(わかってるよ,はやて。でも,俺は・・・)



夕食後,副部隊長室で書類仕事をしていると通信が入った。

「シュミットだ」

『ルキノです。ガジェットが出現しました。発令所へお願いします』

「判った。すぐ行く」

俺が発令所に入ると,既にはやてが部隊長席に座っていた。
俺は,はやての側に行き話しかけた。

「状況は」

「海上に飛行型ガジェットが20機出現したんよ。
 今,ヘリに緊急出動準備させてる」

「どうする?」

「ま,ここは定石通り航空魔導師を投入やろ。
 なのはちゃん・フェイトちゃん・シグナム・ヴィータと
 私・リインが出撃するわ。
 あとの前線メンバーは隊舎で警戒態勢を維持して待機。
 ゲオルグくんには隊舎側の指揮を頼むで」
 
「了解」

俺がはやてにそう言うと,アルトが立ち上がってこちらを見上げた。

「八神部隊長。ヘリの出撃準備が完了しました」

「判った。ほんなら私は行くからこっちの指揮は副部隊長に引き継ぐで」

「了解。アルト,俺はヘリを見送ってくるから何かあったら呼んでくれ」

「判りました」

アルトの返答を聞くと俺は,はやてと屋上ヘリポートに向かった。
屋上に着陸しているヘリにはすでにはやて以外の出動メンバーが
乗り込んでおり,ヘリのすぐ横にはフォワード4人が整列していた。
はやてがヘリに乗り込むのと入れ替わりで,なのはとフェイトが顔を出した。

「みんな,あとはよろしくね」

「何も無いと思うけど,警戒態勢の間は緊張を緩めないようにね」

「「「「はい!」」」」

なのはとフェイトの言葉にフォワード4人が揃った返事をすると,
なのはとフェイトはヘリの中に姿を消し,ヘリは離陸していった。

「よし,じゃあ警戒態勢だから全員発令所に移動するぞ」

「「「「はい!」」」」

俺たちは発令所に移動したが,特にやることもなく
俺はのんびり観戦しようと部隊長席に腰掛けたとき,
ルキノが立ち上がって俺の方を見上げた。

「副部隊長!隊舎の西方約5kmの丘陵地帯にガジェット1型10機が出現。
 接近してきます!」

「了解。前線メンバーは全員迎撃に出るぞ」

「しかし,出動しようにもヘリがありません」

「5kmなら移動指揮車で出る。アルト!通信要員として同行しろ。
 シャマルは索敵要員として同行。ザフィーラを発令所に呼んでおけ。
 ここの指揮はロウラン准尉に引き継ぐ。行くぞ!」

「「「「「「了解!」」」」」」



30分ほどで隊舎の西に出現したガジェットを殲滅した俺たちは,
隊舎に戻ったところで,隊長陣と鉢合わせした。

「お,ゲオルグくん。そっちも今戻ったか。お疲れさんやったね」

「ああ,そっちこそお疲れ」

「ホンマにゲオルグくんがおってくれてよかったわ。
 そやなかったら手の打ちようがなかったからな」

「ま,そのために俺を残したんでしょ。はやての判断がよかったんだよ」

「そらおおきに。ほんならね。みんなもお疲れさん」

「「「「はい!」」」」

 
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