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麗しのヴァンパイア

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第五百十二話

第五百十二話  一日のはじまりに
 使い魔達は主に言われた通りに夜の七時にカーミラを起こした、カーミラはほんの少しだけ眠っただけだった。
 だがベッドから優雅に起きてだった。
 ガウンのままで夕食の席に着いた、そうしてメニューを見て微笑んだ。
「フルーツの盛り合わせ、茹で卵にヨールグルトにハムね」
「そしてパンです」
「ワインはシャンパンです」
「その様にしました」
「いいわ、ではね」
 微笑んだまま述べた。
「いただくわ、起きてすぐのワインはね」
「ご主人様はシャンパンですね」
「それがお好きですね」
「ご夕食には」
「ええ、飲みやすいから」
 だからだとだ、カーミラは答えた。
「起きたすぐは」
「ホテルでもそうですね」
「人間の朝の食事ですが」
「お酒はシャンパンです」
「それを用意しています」
「それを飲んで」
 そうしてというのだ。
「楽しむわね、それは私も同じよ」
「左様ですね、ではです」
「まずはシャンパンをお楽しみ下さい」
「他のメニューと共に」
「そうさせてもらうわ、果物もかなり好きになったわ」
 カーミラはこうも言った。
「前から好きだったけれど」
「日本に来られてからですね」
「尚更ですね」
「お好きになられましたね」
「そうなったわ、今はないけれど」
 目の前にあるフルーツの盛り合わせにはというのだ。
「柿もいいわね」
「日本の果物ですね」
「中国にもありますが」
「あの果物ですね」
「あれが好きになったわ」
 柿がというのだ。
「だからこれからもね」
「召し上がられたいですね」
「では今度用意しておきます」
「是非お召し上がり下さい」
「そうさせてもらうわ、では食べさせてもらって」
 そしてというのだ。
「飲んでもらうわ」
「わかりました」
「それでは」
 使い魔達も応えて控えた、そうして主が飲んで食べて楽しむのを見守った。もうカーミラの頭の中に血はなかった。


第五百十二話   完


                    2022・9・29 
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