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星河の覇皇

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第八十二部第四章 破竹の進撃その四十一

「家に帰るとな」
「第一の市民といいますと」
「娘だよ」
「娘さんにですか」
「息子が上に二人いてな」
 そしてというのだ。
「一番下に娘がいるんだな」
「その娘さんにですか」
「腹が多少出ているだけでな」
「太ったと言われますか」
「おっさんだとかな、全く娘っていうのはな」
 どうかという顔でだ、曹長は話した。
「口五月蠅いな」
「私の家は娘が三人ですが」
「言われないか」
「はい、私は」
「娘ってのは母親には言わないんだよ」
 青茶を飲みつつだ、曹長は話した。桃饅頭も食べているがその勢いは一個を食べる様な勢いであり穏やかだ。
「父親に言うんだ」
「そういうものですか」
「息子は違うがな」
「父親には言わないですか」
「ついでに母親にもな」
「言わないですか」
「少なくともうちの家ではそうでな」
 曹長の話は続いた。
「この娘がな」
「随分とですか」
「口五月蠅くてな」
 それでというのだ。
「そんなことをな」
「言われるのですね」
「困ったことにな、それでな」
「それで、ですか」
「俺もダイエットしないとな」
「市民に言われて」
「娘にも言われるからな」
 そうなるからだというのだ。
「本当にな」
「こうしたことはですね」
「注意してるよ」
「そうですか」
「ああ、しかしな」
「しかしとは」
「太ったこともな」
 それに加えてというのだ。
「体臭のこともな」
「体臭ですか」
「毎日風呂に入っていてな」
「それで、ですか」
「香水の匂いがしないってな」
 男性用、オーデコロンのそれがというのだ。
「言われるんだよ」
「オーデコロンもですか」
「だからつけてるんだよ」 
 こちらもというのだ。
「香水の匂いがしない男は駄目だってな」
「随分お洒落な娘さんですね」
「何でも軍人だとな」
「香水は必要とですか」
「日本の武士がそうだったとか学校で言われたらしいんだ」
「武士というと」
「何か鎧や兜に香を焚いて」
 このことは歴史にもある、大坂の陣で勇名を馳せた木村重成は実際に最期の戦の前に兜に香を焚いて出陣し散った。
「戦争に出たらしくてな」
「そうしたことがあったのですか」
「それでな」
「総長もですか」
「それ位して欲しいとかな」
「言われて」
「そうしているんだよ、結婚するまで風呂には毎日入っても」
 それはしてもというのだ。 
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