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星河の覇皇

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第八十二部第四章 破竹の進撃その三十七

「もうな」
「論文は、ですか」
「何かあると書かされるものらしいな」
「面倒臭いですね、私は論文は」
 これはとだ、軍曹は眉を顰めさせて言った。
「とても」
「書くことはだな」
「はい、想像すらです」
 それこそとだ、軍曹は曹長に話した。
「出来ないです」
「それは俺もだ、プノンペン星系の最低ランクの高校を出てだぞ」
「それで、ですか」
「カンボジア軍に入隊してな」
「連合軍が出来てですか」
「今ここにいるんだぞ、そんな人間がな」
 軍曹に笑って話した。
「論文なんて書けるか」
「そうですか、私もです」
「兵隊になる奴はな」
「規律を守ればよくて」
「靴を磨いて服のアイロンが出来てな」
「掃除も奇麗に出来れば」
「それでいいだろ」
 連合では軍人はよくこうしたことが仕事だと笑って話されることもある、実際に連合軍は身だしなみをかなり重視している軍隊だ。
「そんな考えの奴が論文なんてな」
「書けないですか」
「書ける筈がないんだよ」
 曹長は自分から言った。
「そんなのは士官の仕事だ」
「論文だのは」
「研究とか頭使う仕事はな」
「それこそですね」
「士官の仕事でな」
「私等はですね」
「自分の場所で自分の場所で働く」
 その様にすることがというのだ。
「それが下士官とか兵隊だろ」
「それならですね」
「そこは見ているだけでな」
「士官の方々にはですね」
「そっちの論文を書くだのでな」
「考えてもらいますか」
「俺達はここで見ているだけだよ」
 まさにと言うのだった。
「それでいいさ、俺達は見ているだけだよ」
「あくまで」
「ここでな、じゃあ喉が渇いたからな」
「コーヒーですか」
「いや、お茶だよ」
 曹長は今度は明るく笑って話した。
「青茶飲むからな」
「そちらですか」
「あれが一番目が覚めて」
 飲めばそうなってというのだ。
「美味いからな」
「だからですか」
「あれを飲むさ、お茶はな」 
 曹長は茶というものについても話した。
「コーヒーと違って胃にも負担をかけないんだよ」
「飲んでもですね」
「カフェインは入っていてもな」
 コーヒーと同じものが入っていてもというのだ。
「それでもなんだよ」
「胃にはですか」
「負担をかけなくてな」
「コーヒーもかなりましになったといいますが」
 軍曹はそのコーヒーを飲みつつ曹長に応えた。
「それでもですね」
「やっぱりに胃に負担かかるだろ」
「飲み過ぎますと」
「胃に来るな」
「そうなります」
「そうだろ、けれどお茶だとな」
 曹長は若い兵士が煎れてくれた青茶を手に取った、そしてコバルトブルーのその茶を飲みつつ軍曹に話した。 
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