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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その二十二

「成り立たない言葉ですが」
「本来は」
「ですが連合軍を見ていると」
「その言葉が当てはまる」
「そうかも知れないですね」
「どうにも」 
 二人共ここでは神妙な顔になった。
 そしてだ、ローエンハイムはシェリーニにこうも話した。
「それで本日ですが」
「はい、この後ですね」
「歌劇場に行きますが」
「本日の演目はペレアスです」
 シェリーニは微笑んでローエンハイムに話した。
「ドビュッシーの」
「ペレアスとメリザンドですね」
「非常に難解な作品ですが」
「その作品をですね」
「今夜上演されます」
「あの作品は確かに」 
 どうかとだ、ローエンハイムはケーキを食べつつ述べた。
「どう解釈していいか」
「音楽もストーリーもですね」
「難解ですね」
「はい、私もです」
 シェリーニもと言うのだった。
「あの作品を最初観てです」
「その時は、ですか」
「一体どういう作品か」
 そしてというのだ。
「そして何をテーマにしているのか」
「わかりにくいですね」
「これは初演当時から言われていたとか」
「その難解さで、ですね」
「それは今でも変わらず」
 そうしてというのだ。
「難解と言われ続け演出もです」
「様々ですね」
「ラプンツェルに似ていなくもないですが」
 この有名な童話にというのだ。
「ですが」
「また違う部分も多く」
「大人の童話といいますか」
「寓話的な意味合いもありますね」
「あの作品は」
 こうも話すのだった。
「そこがです」
「魅力でもありますね」
「魅力ではありますが」
 それでもというのだ。
「難解なです」
「そうであることは事実ですね」
「どうにも」
「まさにですね」
「しかし」
 シェリーニはあらためて話した。
「私はあの作品を何度も観ています」
「そうされていますか」
「はい、何とか理解しようとです」
「その為にですね」
「観ています、若しかすると」
 ここで赤ワイン、ケーキに合わせてかなり渋くなっているそれを飲んだ。やはりケーキと会っていて実にいい味になっている。
 シェリーニはその味を楽しみつつローエンハイムに話した。
「ロッシーニやドニゼッティよりも」
「ご覧になられていますか」
「ロッシーニのセヴィーリアの理髪師やドニゼッティのドン=パスクワーレが好きですが」
 それでもというのだ。
「ぞうしった作品よりも」
「ペレアスとメリザンドをですか」
「観ているのかもとです」
「思われますか」
「一番観た作品はフィガロの結婚でしょう」
 モーツァルトの代表作であるこの作品だというのだ。 
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