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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その十六

「彼等もそれはわかっています」
「だから余計に言いますね」
「それも高らかに」
「それが癪ですね」
「どうにもならないだけに、ですが」
「それでもですね」
「我々が出来ることがあります」
 シェリーニは強い声で言った。
「発展することです」
「その通りですね」
「はい、彼等が国際法に則り我等の民間施設を放置した」
 そうしてというのだ。
「そのことをです」
「我々の発展を見せて」
「後悔させることです」
「そうですね、彼等の高笑いを」
 ローエンハイムも言うことだった。
「これからです」
「歯噛みに変えるべきです」
「それが我々の為すことですね」
「今のうちです」
 シェリーニは強い声でまた言い切った。
「我々は連合以上に発展し」
「そしてですね」
「連合を凌駕します」
 そうするというのだ。
「やがては」
「長い歳月がかかろうとも」 
「それは間違いないです」
「そうです、連合は巨大です」
 このことはローエンハイムだけではない、エウロパの者なら誰もが常に心の中に強くあることである。
「四兆の人口を持ち」
「莫大な資源と最先端の技術を持ち」
「総生産もかなりです」
「一人辺りで我々の十五倍あり」
「連合全体では六百倍」
「これだけあります」
 これが連合の巨大さだとだ、シェリーニも言った。
「その連合を凌駕しようとしても」
「容易ではない」
「我々がどれだけ急激な発展を遂げても」
 それでもとだ、ローエンハイムも述べた。
「六百倍の相手に追いつく」
「しかも連合は成長し続けています」
 このことも問題であった、連合はとかく巨大だ。このこともまたエウロパの者達も強く覚えていることである。
「連合全体で毎年十パーセントの成長を続けています」
「建国以来」
「我々は暫し停滞せざるを得ませんでした」
 これは人口や技術、領土の問題があった。エウロパはその居住可能範囲の狭い領土故に人口を抑制して何とか国家を保つしかない時代があったのだ。
「しかし連合は、ですね」
「あの国はといいますと」
「常にでした」
「無限と言える開拓地と開発地を持ち」
 その為にというのだ。
「果てしなく人口を増加させ」
「資源を獲得し食料を生産し」
「多くの街を築いてきました」
「産業も発展させて」
「千年の間です」
 その建国からというのだ。
「発展し続けた国です」
「それでも戦乱なく」
 各国政府同士そして各国政府と中央政府の対立があり政治的混乱や停滞の時代があったことも事実であるがだ。
 連合は発展し続けた、今二人でこのことを話すのだった。
 そしてだ、ローエンハイムはシェリーニに話した。 
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