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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その十三

「我々はです」
「今は発展に迎えています」
「左様ですね」
「そう思いますと」
「これは連合軍の失態か。ですが」
「それでもですね」
「連合軍はその可能性があるとわかっていました」
 エウロパの民間産業やインフラを破壊せずにいるとエウロパはそこから復興する、そうなるという可能性は連合軍も承知していたのだ。
 だがそれでもだったとだ、ローエンハイムは話した。
「しかしです」
「それでもでしたね」
「連合軍はあえてです」
「一般市民を攻撃せず」
「民間産業もインフラも破壊しませんでした」
 断じてというのだ。
「自分達の敵はあくまでエウロパ軍で」
「民間人を攻撃してはならない」
「例えて敵国に入り」
 エウロパから見れば侵略となる。
「そうしてです」
「進撃を続けても」
「一切です」
 軍事関係以外にはというのだ。
「何もです」
「そうしました」
「それは、ですね」
「あの長官殿の考えが強かったと聞いています」
 八条、彼のというのだ。
「どうも」
「民間人は攻撃しないという」
「その様です」
 こうローエンハイムに話した。
「あのことは」
「そうですか、敵であり」
「我々も連合を嫌っていますが」
「連合も我々を嫌っていますね」
「ですが」
 その嫌いな敵でもというのだ。
「あの長官殿は人間それも非戦闘員とみなし」
「非戦闘員は国際法で攻撃対象とならない」
「そのことも念頭に置いて」
 これは実際のことだ、中央政府も軍の上層部も各国政府もこのことで八条を批判する者はいない。国際法をわかっているからだ。
「そうしてです」
「民間人は攻撃しなかったということです」
「律儀ですね」
「その律儀さ故に」
 まさにというのだ。
「攻撃しなかった、もっとも」
「もっともといいますと」
「連合は巨大ですから」
「エウロパが復興してもですね」
「敵ではありますが」  
 それでもというのだ。
「所詮敵ではない」
「そう考えているからですね」
「民間は放置したのでしょう」
「そうした考えもありましたか」
「若し我々が連合に匹敵するまでの力があるなら」 
 それならというのだ。
「連合は国際法を無視してでも」
「エウロパの民間人を攻撃していた」
「そうかも知れません」
「力のある敵は叩く」
「それもまた政治です」
「戦略爆撃の様に」
 第二次世界大戦で定着した作戦である、民間施設に重爆撃機で攻撃を行いそうしてその国の国力を奪っていく作戦である。 
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