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バナナ

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第一章

                バナナ
 女子高生の小柳好子はバナナが好物である。
 その為おやつでバナナやそれを使ったスイーツが出るといつも満面の笑顔で食べていた、その娘を観てだった。
 母の佳苗はこう言った、見れば二人共面長で明るい大きな目で髪の毛は茶色だ。母はロングヘアで娘はツインテールだ、母の背は一五五程で娘は一五〇位でどちらもスタイルは中々だ。
「あんた本当にバナナ好きよね」
「うん、子供の頃からね」
 好子は実際に夕食の後バナナを食べつつ応えた。
「大好きよ」
「そうよね」
「美味しいからね」
「確かに美味しいわね、お母さんも嬉しいわ」
「どうしてなの?」
「だってバナナって安いから」
 そうしたものだからだというのだ。
「それにスーパーで普通に買えるからね」
「安くて買いやすいから?」
「だからね」
 その為にというのだ。
「お母さんとしても嬉しいわ」
「私がバナナ好きで」
「高くてあまり売っていないものが好きだったら」 
 その場合はというのだ。
「やっぱりね」
「お母さんとしても」
「困るわ、バナナは栄養もあるし」
「そのこともいいのね」
「ええ、じゃあこれからもね」
「バナナ食べていいのね」
「どんどん食べてね」
 娘に笑顔で話した、そして実際にだった。
 好子はバナナを食べ続けた、佳苗にしても安くて買いやすいバナナを娘のおやつに出せてよかったと思っていた。だが。
 ある時本を読んでいてだ、好子は意外といった顔でクラスメイト達に話した。
「へえ、ゴリラって大人しいの」
「ああ、そうらいいわね」
「外見は怖そうでもね」
「実は物凄く大人しくて」
「非暴力っていうわね」
 クラスメイト達もこう答えた。
「完全な菜食主義で」
「セロリが主食らしいわね」
「お肉なんて絶対に食べない」
「そうした生きものらしいわね」
「いや、意外ね」
 そうした顔で話した。
「しかも実はバナナいつも食べてないのね」
「ゴリラってアフリカだけれどね」
「バナナって東南アジアとか南洋の果物だから」
「それでね」
「元々はね」
「ゴリラは食べないのね」
「ゴリラっていうと」
 それこそというのだ。
「もうね」
「バナナよね」
「イメージ的には」
「イコールになってる位ね」
「それで昔ね」
 好子はさらに言った。
「よくゴリラの物真似したわ」
「ああ、あんたバナナ好きだから」
「お昼もよく食べてるしね」
「お弁当のおやつに」
「それで子供の頃から好きでね」
 だからだというのだ。
「そうした物真似もしていたけれど」
「それが実はね」
「ゴリラはバナナは食べない」
「本来はね」
「動物園の影響ね」
 そこでというのだ。
「あと漫画やゲームの」
「あれば食べるけれど」
「ないと食べないのね」
「これといって」
「そんなものなのね」
「いや、意外ね」
 好子はまた言った。 
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