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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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真面目なお付き合いとは…

<船上>

「…似たような物ですが、ちょっと違います。………私達…結婚します!」
「……………」
リュカのふざけた切り返しに怒るでもなく、ティミーの腕に抱き付きながら結婚を宣言するアルル。
その瞬間、皆の時間が止まった…
アルルの飛躍的な思考回路について行けず、作業中の水夫等までもが動きを止めた…

「へ、へー…お、おめでと…」
辛うじてリュカがコメントをすると、皆の時間が動き出す。
それでも視線はアルル等から離せず、互いにぶつかり合う者が続出する…
「あ、あのねアルルちゃん…そこまでの経緯を、私達に解るように説明してもらいたいんだけど…」
ティミーのもう1人の親であるビアンカが、息子ですら…当事者であるティミーですら思考が固まっている事象への、詳しい経緯を求めてきた。

「…はい。私は昨晩、お2人の息子さんへ処女を捧げました!凄く素敵な一夜でした!」
「あぁそう…ワザワザご丁寧にどうも…」
胸を張って、昨晩のエッチの報告をするアルルに、戸惑いながらも軽口を吐くリュカは流石であろう…

「私とそう言う関係になったからには、責任を取ってもらいたいと思ってます!」
その他大勢と同じくらい困惑顔をしていたティミーが、アルルの『責任』と言う言葉に、キリリと真面目な表情に変わる。
「あ、うん。…誤解の無いように言うけど、僕等は2人の結婚に反対はしないよ…むしろエッチする前から、2人は結婚する以外の道は存在しなかったからね!」
リュカの台詞は、しっかり噛み締めて聞くと、身勝手な内容(特に後半)になっているのだが、現状でそれに気付く者はいない。
勇者2人も笑顔で抱き合い、結婚の許しを噛み締める。

「それで…その事に伴ったお話なんですが…」
ティミーと抱き合いながら、顔だけリュカの方に向けて話を続けるアルル。
「私は、異世界より訪れた彼と結婚します。リュカさん達が元の世界へ帰れるようになった時、彼の事はどうするつもりでしたか?」
その場に居た大勢の者が、アルルの言葉に驚き困惑している…リュカとビアンカを除いてだが。

「その事はお前等2人に一任するよ。ティミーがこの世界に残っても良いし、アルルが僕等の世界へ来るのも良いし…お互いが納得し、アルル…君のご家族が納得する結論で行動しなさい。僕もビアンカも、お前達が共に同じ世界で暮らす事を、阻害するつもりは微塵もないよ」
リュカの言葉を聞き、今は2人で話し合う事に…
どの様な結論になるのかは、2人次第という事で…


「あの…リュカさん…俺は…どうすれば…?」
このプチドラマを眺めていたウルフが、自分の立ち位置を思いだし、リュカにどうするつもりなのかを尋ねてしまう。
「…お前はグランバニアへ強制連行だよ!決定だからね!」
「な!?…何で俺は、2人で相談して決めろとかの選択肢が残されて無いんだよ!」
完膚無きまでのリュカ節に、ウルフは抗おうと努力する…

「じゃぁ、2人で相談してみろ!たいして今の状況と変わらないぞ」
「ウルフ…私はグランバニアへ帰りたいの!リッチなお姫様ライフを、手放したくないの!勿論ウルフとも別れたくないから、私の事が好きだったら、一緒にグランバニアへ行きましょ!お願い」
マリーはウルフの元へ近付き、胸の前で両手を握り締め、瞳を潤ませながらお願いする。

「な!…お前に選択権は残されて無いだろ!?」
「う゛…何かズルイ…」
「そう言うな…何だったら、お前に王位を譲っても良いんだよ。どうする?」
正直言えば爆弾発言!
だが確かに、ティミーがこの世界へ残るのであれば、現状での第2王位継承権を持つマリーの夫に、王位を譲る事もあり得るのである!
「えぇぇぇぇ…話を聞いてると、リュカさんの国は王様が一番身分が低そうだしなぁ…」
「うん。間違いなく低いね!でも貴族イジメという、楽しい遊戯(あそび)もあるよ」
そんな事を出来るのはリュカだけだろうに…
この場にいた誰もが、そう考えたのだが口にはしない…

「はぁ…じゃぁ王位の件はともかく…俺は努力してリュカさんの義息になりますよ…何かこの世で一番大変な立場じゃない?俺の胃、持つかなぁ…」
「ウルフ君。君なら大丈夫だよ!僕より適任だ!それに、もう1人のトラブルメーカー…ポピーはグランバニアに居ない!僕よりも、遙かに楽な環境だ!」
彼女とイチャつきながら、義弟を励ますティミー…
グランバニアのお家騒動は、もう少し話し合ってからの結論になるだろう。



<海上>

基本的にはおめでたい騒動も収束し、出港をするアルル一行。
そうなると先程の騒動は恰好のからかい材料となり、カンダタを始め数人の水夫等が、ティミーを囃し立てからかう。
見た目は既に立派な青年だが、恋愛レベルは5歳以下の彼には、この手のからかいは苦痛で、上手い切り返しも出来ない為、アルルとの関係をぎこちない物にする可能性があるのだ!
それが分かっているリュカは、ランシールでカンダタが囃し立てるのを押さえ込んだのに、学ぶ事の無かったカンダタは、楽しそうにティミーをからかい続ける。

無論それは、リュカの逆鱗に触れる行為であり、あの巨体を片手で軽く持ち上げると、水平線の彼方へと、軽々投げ飛ばしてしまうのである!
当然、海に捨てられたのはカンダタだけではなく、一緒に囃し立ててた水夫等も、肉眼では見る事の出来ない彼方に投げ捨てられた。
船長のモニカは、慌てて船を動かし、彼等を回収しに回るのだが…
あまりに遠くへ投げ捨てた為、回収に5日間も要してしまったのだ。

何とか無事に全員を助け出し、モニカは思わずリュカに文句を言う!
「怒るのは分かるが、もっと他にやりようがあるだろう!」
「あ゛…他にぃ~………後は頭を握り潰すしか思いつかなかった!生きるか死ぬか…どっちが良かった?」
あまりにも冷酷な目つきで言うリュカに、カンダタ達は泣きながら、
「生きてて大変嬉しいです…殺さないでくれてありがとうございます…」
と、震えながらお礼を言うしか無かったと言う…
リュカの恐ろしさを、再度噛み締めるカンダタ達であった。



 
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