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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その十一

「社員への給与も福利厚生もです」
「向上していますね」
「いい具合に。これは閣下の政策故ですが」
「そもそもですね」
「連合軍は攻撃しなかった」 
 このことがというのだ。
「大きなことでした」
「そこです、後にこうなることがわかっていても」
「連合軍は、ですね」
「一般市民は攻撃せず」
「民間施設もですね」
「攻撃しなかったので」
 シェリーニはペスカトーレを食べつつ述べた、勿論ローエンハイムも同じスパゲティを食べている。
「私はそのことを非常によかったと思うと共に」
「蛮人から品性や倫理を見せられて」
「腹立たしくも思っています」
 こうローエンハイムに話した。
「どうも」
「それはエウロパの多くの者が思っていますね」
「確かに入る店を弁えず」
 兵士が貴族用のレストランに入ったり士官が平民用のレストランに入ったりだ。
「大学の敷地内や公園でバーベキューを開く」
「そして飲めや歌えやでしたね」
「尚且つ貪る」
 バーベキューの肉や魚、野菜をだ。
「そうした野蛮な連中ですが」
「略奪暴行はせず」
「一般市民には手を加えない」
「もっと言えばですね」
 今度はローエンハイムから話した。
「捕虜に対しても紳士で」
「虐待なぞ加えない」
「そうした姿勢がですね」
「彼等の中にはモンゴルもあります」
 この国も連合の中にあるというのだ。
「あのモンゴル帝国は」
「略奪暴行は常で」
 ただし組織立って行っていた、これはモンゴルにとっては略奪も産業の一つであったからだ。当時の遊牧民はそうした面もあったのだ。
「民間人も殺戮し破壊し」
「悪の限りでしたが」
「そのモンゴルもいようとも」
「まるでスポーツ選手の様に」
 それも清潔な部類のだ。
「秩序立っていました」
「それが、ですね」
「どうにもです」
 シェリーニとしてはだ。
「腹立たしいです」
「私は連合軍が攻めて来た時に」
 ローエンハイムは薄紫のワインを飲んだ、ソムリエが選んだこのペスカトーレに最も合うワインであるのだ。
「まさに」
「モンゴル帝国の様に」
「エウロパが破壊されると考えていました」
 その様にというのだ。
「しかも彼等の大国達は」
「アメリカや中国ですね」
「特にロシアでしょうか」
「そういった国々は歴史を見れば」
 千年以上前のだ、連合は千年以上戦争がなかったのでこうした国々も戦争は経験してこなかったのだ。
「一般市民でもです」
「そして民間施設も産業もですね」
「平気で攻撃していました」
「敵民族の殲滅なぞ」
 所謂民族浄化である、この時代でも悪行とされている。
「普通でしたね」
「そうした戦争をしていましたね」
「ですが」
 それがというのだ。 
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