星河の覇皇
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第八十二部第三章 国債の発行その六
「どうしても」
「そうですね、ですが」
「それでもですね」
「兵器も必要です」
例えそれがどれだけ採算を取りにくいものでもというのだ。
「それも絶対に」
「エウロパを守る為にですね」
「そうです、ですから」
「国家はそうした産業を育て」
「企業もです」
軍需産業を担うその企業もというのだ。
「育ててです」
「利益もですね」
「供給しないといけません」
「産業があれば」
ローエンハイムは白ワインを飲んだ、そのうえで言った。
「やはりですね」
「はい、それに関わる人が出来」
「特に雇用ですね」
「それを生み出しますので」
それでというのだ。
「どうしてもです」
「利益は必要ですね」
「まさに絶対に」
「左様ですね」
「採算は確かに取りにくいですが」
シェリーニもこのことは認めた。
「なくてはならないです」
「それが現実ですね」
「まだエウロパはいい方かも知れません」
軍需産業の利潤、それはというのだ。
「どうも連合では」
「あちらはですね」
「所詮は衆愚ですね」
「はい」
シェリーニは連合への侮蔑の言葉に肯定で応えた。
「まさに」
「衆愚は国家を考えません」
「自分の利益だけですね」
「そうしたものです、ですから」
「自分達の利潤のみを考え」
そうしてというのだ。
「軍需産業もです」
「ないがしろにされていますか、ですが」
シェリーニは後ろめたい顔になって述べた。
「それはです」
「卿のお家もですか」
「我がローエンハイム家もです」
蛸の味を楽しみつつ言うのだった。
「同じです」
「そう言われますか」
「はい、ですから」
「連合についてはですか」
「とかく言えません」
「ですが卿の弟君は軍人ですね」
「代々一人は出しています」
軍人の者をとだ、ローエンハイムはシェリーニに答えた。
「そうしてです」
「エウロパに奉職されていますね」
「軍事面からも」
「そうした貢献もありますので」
国家へのそれがとだ、シェリーニは落ち着いた声で述べた。
「ですから」
「このことはですか」
「いいかと」
こう言うのだった。
「まことに」
「そうですか」
「連合では軍人になる市民はです」
「ほぼいないとか」
「何とか定員を保っている有様です」
百三十億のその軍勢をというのだ。
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