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星河の覇皇

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第八十二部第二章 国債その二十四

「しかしな」
「それでもですね」
「兄上でなくてはな」
「今の状況を覆すことは出来ないですね」
「少なくともアッディーン大統領に対抗出来るのはな」
「メムメット兄上だけですね」
「同じ数ならな」
 そして同じレベルの装備ならというのだ。
「やはりな」
「どうしてもですね」
「そうだ、だからな」
「それ故に」
「兄上にはな」
「早く戻ってきて頂きたいですね」
「他力本願になり留守を全う出来なかった」
 このことはというのだ。
「無念で仕方ないが」
「それでもですね」
「今の戦局を挽回出来るというと」
「メムメット兄上だけで」
「何とかな」
 一刻も早くというのだ。
「復帰して頂きたい」
「左様ですね」
 アブーもこれが本音だった、それも偽らざる。
「まさかこうした時にです」
「インフルエンザになられるとはな」
「あの病気は」
「風邪といえばそれまでだが」
「やはり疲労が蓄積されていましたね」
「そうだ、それがだ」
 まさにというのだ。
「インフルエンザになられてな」
「そもそもですね」
「そしてだ」
 それでというのだ。
「過労なだけにな」
「症状もですね」
「重くなってな」
「昏睡状態に陥っておられますね」
「目覚められることもだ」
 このこともというのだ。
「今はな」
「ままならないですね」
「そうだ、そしてそのインフルエンザがな」
「ティムールを追い詰めていますね」
「まさかな、しかしな」
 それでもとだ、フラームは言うのだった。
「こうしたことでな」
「戦局に影響を与えるとは」
「一人の人間の風邪がな」
「それもアッラーの思し召しでしょうか」
「そうかも知れない、しかし」
 それでもとだ、フラームは言うのだった。
「私は今はアッラーの思し召しはな」
「受け入れられない」
「私はイスラムの聖職にある」
 自身の宗派のだ。
「それにあるからな」
「受け入れられますね」
「人の考えなぞアッラーの前では何でもない」
「実に小さなものである」
「私はそれをわかっているつもりだ」
 だからだというのだ。
「どういった思し召しでもな」
「受け入れられますか」
「そうだ、だからな」
 それでというのだ。
「ここはだ」
「受け入れられて」
「戦っていく、そしてどういった運命でもだ」
「受け入れられますね」
「そうする、それが嫌ならな」
 それならともだ、フラームはアブーに話した。 
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