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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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折れた包丁!?研ぎ師メルクとメルクの星屑
  第95話 実家に帰ろう!リアスの覚悟と新たな力!前編

 
前書き
 イリナの母の名前はオリジナルです。 

 
side:イッセー


 三大勢力とIGOが協力する連合軍が結成して数日後、俺達は変わりない日常を送っていた。


 現在三大勢力は信頼できる人物を集めてグルメ細胞などの知識を深める活動をしている。謎の人物がグルメ細胞をばら撒いている以上、その対策や弱点を知っておけば生存率は大きく上がるからだ。


 更に別の勢力にも協力を仰ぐかどうかの議論もされているらしい。だが裏切られてしまうと面倒な事になるので人選は慎重に選んでいるみたいだな。


 因みに三大勢力は同盟を結び和平を結んだ。元々そっちがメインだったが新たな敵の出現もあってかスムーズに事が進んだようだ。


 勿論それに不満を持つ者はいるだろうし注意していかないといけないが現状はそんな感じだな。


 だが俺達が出来ることはなく、とりあえず今は自分達の好きなように過ごすといいと親父から言われている。


 俺はその間に朱乃とバラキエルさんと一緒に朱璃さんのお墓参りに行ってきたよ。彼女のお墓は桜が咲いた丘の上にあってこの場所はアザゼルさんが発明で再現した彼女のお気に入りの場所らしい。


 姫島家の過激派にバレない様にお墓の場所は結界で守られており、関係者しか入ることはできないようだ。


 そんな大切な場所に俺を入れてくれたことを感謝しながら俺は朱璃さんに朱乃を幸せにする、必ず守っていくと約束した。


 それを見ていた朱乃は目から涙を流して笑みを浮かべ、バラキエルさんも嬉しそうにしていた。


 その後朱乃が作った夕ご飯をバラキエルさんと一緒に食べたんだけど、そこにあった肉じゃがを食べて朱璃さんの味だと感激していた。


 流石は娘だなと思い俺も食べてみるととても美味しかったよ。朱璃さんの味が俺の家系に入るなって言ったら朱乃は顔を赤くして笑みを浮かべてたのが印象的だったよ。


 まあその晩朱乃に夜這いされたので優しく返り討ちにしたぞ。次の日の朝に腰を摩る朱乃を見て小猫ちゃんに「やり過ぎです」って怒られてしまったんだけどな。


 後イリナのお父さんとお母さんが会いに来てくれたんだ。どうやらイリナから連絡を受けて無理をしてきてくれたらしい。


 俺を見た瞬間イリナのお父さん……トウジさんは俺を抱きしめて生きていてくれて良かったと言ってくれた。イリナのお母さんであるユウコさんも嬉しそうに俺を撫でてくれた。


 この感じ、すっごく懐かしかったな……


 その後今何をしているのかとか俺の両親の事は本当に残念だったとかいろんな話をしたんだ。その中で紫藤家の養子にならないかと言われたんだけど、すでに俺を引き取ってくれた人がいると言うと驚きながらも納得してくれた。


 俺を育ててくれた親父……一龍さんにお礼を言いたいと言っていたので、俺はトウジさんとユウコさんを親父に会わせると約束した。


 その日の晩はユウコさんが手料理を作ってくれたんだけど、昔に食べた味そのものだったので驚いたぜ。でもすっごく美味しかったよ。


 因みにイリナが俺と付き合っていて結婚の約束もしたと言うと二人ともめちゃくちゃ喜んでいたな。トウジさんなんて初孫はいつできるんだ?とやたらしつこく聞いてきた。


 流石に気が早すぎるぞ……しかも便乗したイリナに今年には作るわ!と言われてその晩に何故か夜這いされかけた。


 まあ実際にはイリナとは何もしていない。だってその晩は朱乃にヤキモチを妬いた小猫ちゃんと仲良くしてたから……


 滅茶苦茶大きな騒ぎにはなったし、いつの間にか小猫ちゃんと朱乃の二人と関係を持っていたことにアーシアと一緒に怒られた。後日ちゃんと二人の相手をすると言ったら許してくれたけど……


 まあ要するにこの数日はいろんなイベントがあったんだ。でもそろそろグルメ界に入るための修行を再開しないといけないな。


 そしてその修行に集中できるぴったりのイベントが今年もやってきたんだ。それは……


「なあイッセー、夏休み何処かに行かねえか?」
「俺達は海に行く予定だけどお前も来いよ」


 教室で元浜と松田に夏休みに海に行かないかと誘われた。そう、もうすぐ夏休みが始まる。


 一か月は休みなのでその間に集中して修行に取り組むことが出来るって訳よ。


「悪いけど夏休みは親父の所に行かないといけないんだ。なっ、アーシア」
「はい、私も一緒についていきます」
「親父ってあのファンキーな格好したお爺さんの事?確か外国で働いてるんだっけ?」
「ああ、アメリカでな。オカルト研究部の皆も連れて行くんだ」


 俺はそれらしい理由を作りアーシアも併せてくれた。話に入ってきた桐生が親父は外国で働いているのかと聞いてきたので同意する。


「ちえっ、イッセーを誘えばグレモリー先輩や姫島先輩のナイスバディを拝めると思ってたのになぁ」
「ああ、俺は小猫ちゃんの水着姿を見られると思って誘ったんだけど当てが外れてしまったか」
「お前らな……」


 なるほど、俺を誘えばオカルト研究部の女子メンバーも来ると思ったから誘ってきたのか……


「冗談だよ冗談、お前に来てほしいから誘ったんだってば」
「ああ、女子メンバーの水着姿が見たかったのも嘘じゃないが9割しか期待してなかったしな」
「いやほぼ水着しか考えてねえじゃねえか!?」


 笑顔でそう答える元浜と松田に俺はそう突っ込んだ。流石に親友でも小猫ちゃんやアーシア達の水着姿は簡単には見せないからな!


「なら海には俺達二人で行くか」
「そうだな、イッセーがいないならナンパでもするとしよう」
「あっ、なら私も連れてってよ」
「えっ、桐生もか?別にいいけどよ」
「他に行く人はいないのか?」
「いるけどアンタたちが無様にナンパに失敗して落ち込む姿を拝みたいから付いていくのよ」
『最低だ、コイツ!?』


 3人のコントを眺めながら俺は次に修行に行く場所はどこにするかを考えていた。


―――――――――

――――――

―――


「……えっ?実家に来てほしい?」
「そうなのよ」


 その日の晩、俺はオカルト研究部のメンバー、教会組、ルフェイとテリーを含めた大所帯で夕食を食べている所にリアスさんがそう言ってきたので驚いた。


 因みに夕食は大盛りのサンドイッチだ。スタンダードな卵やハムとレタス、ジューシィなトンカツを贅沢に挟んだモノ、ローストビーフと玉ねぎをたっぷり挟んだモノ、香ばしく焼いたベーコンをマスタードで挟んだモノ、サーモンとクリームチーズのモノ、チーズをたっぷり使ったモノ、フルーツやクリームたっぷりのモノなどバリエーション豊かなラインナップだ。


「でも何で俺が呼ばれたんですか?」
「私がお世話になってる人と話がしたいそうなの。それにどの道一回は実家に帰って来いって話が出ていたから丁度いいかなって」


 どうもリアスさんの親が俺に会いたがっているらしいな。そういえばリアスさんのお父さんには会ったがお母さんには会ったことがない。


「でもなんか嫌そうですね」
「まあね……」
「部長は今お母さんと絶賛ケンカ中ですからね……」
「ああそっか、ライザー・フェニックスとの結婚の話を早めたのは確か……」
「部長のお母さんだね。あれ以来二人の仲はギスギスしているんだ」


 俺はリアスさんが実家に帰るのを嫌がってるように見えたのでそう聞くと、小猫ちゃんと祐斗が二人が喧嘩中だと教えてくれた。


 そういえば前にそんな話がぽろっと出てたな、色々あって忘れていたぜ。


「まあ俺は全然かまわないんですけど、いつ行きますか?」
「夏休みが始まった初日でいいかしら?あまり時間は駆けたくないしね」
「分かりました」


 こうして俺達は悪魔の故郷、冥界に行く事になったのだった。


―――――――――

――――――

―――


 そして夏休みが始まり俺達は冥界に向かう事になったのだが……


「なんで駅に来てるんですか、俺達」


 そう、俺達がいるのは駒王町にある最寄りの駅だった。こんなところに冥界への入り口があるっていうのか?


「ここの地下には悪魔専用のホームがあってそこから冥界に列車に乗って向かうの。普段は魔法陣で行き来してるのだけど、イッセー達は許可を得てないからそれを使ったら違法入国になってしまうのよ。だから正規のルートで冥界に向かうわ」
「へー、そんなものがあったんですね。まあ悪魔専用の店とかもあるし冷静に考えればそんなもんんか」


 リアスさんの説明に俺は頷きつつも他に悪魔しか入れない店などがこの町にあった事を思い出した。やはりこの町は悪魔もよく来るんだなぁと呑気に考えた。


『……冷静に考えればいくら故郷でも悪魔がいる町を拠点にするのは警戒心が無さすぎると今更ながら思ったぞ』
「そ、そういうなよ……この町にいたから小猫ちゃん達に出会えたんだし……」
『まあ確かにな……』


 ドライグの最もな指摘に俺は冷や汗を流しながらそう答えた。確かに無警戒だったのは認めるよ、正直最初は悪魔なんてG×Gの猛獣と比べたら大したことないだろうって思ってたし……


 でもそのおかげで俺は小猫ちゃんやアーシア達と出会えたんだ。もしこの町に俺が住んでいなかったらどうなっていたんだろうか?リアスさんはライザーと結婚していただろうしそうなると小猫ちゃんも……


「……やっぱこの町にいてよかったよ。考えたくない未来になってたかもしれないしな」
『そ、そうか……でもお前少し重いぞ』


 不機嫌になった俺に少し引いたドライグ、感情が重いって言われたらそうなんだろうけど……くそっ!いやな事を想像しちまったぜ……


「イッセー先輩、どうかしましたか?何だか怖い顔をしていますが……」


 心配そうな顔をした小猫ちゃんが側に寄ってきたので、俺は思わず彼女を抱きしめてしまった。


「せ、先輩!?」
「小猫ちゃん、これからもずっと俺の側にいてくれ……」
「えっ?そんなの当たり前じゃないですか。絶対に離れませんよ」
「そうだな……」
「……ふふっ、事情はよく分かりませんが甘えてくれる先輩は可愛いですね」


 小猫ちゃんは仙術で体を大きくして抱きしめ返してくれた。あったかいなぁ……


「イ、イッセー。わたくしは抱きしめてくれませんの?」
「私も抱きしめてほしいです、イッセーさん!」
「私も―!」


 朱乃、アーシア、イリナがそう言ってきたので全員を思いっきり抱きしめた。感極まった俺はリアスさん、祐斗、ギャスパー、ゼノヴィア、ルフェイ、テリ―全員を抱きしめた。


「おいおい、俺をほったらかしにして何をやってるんだよ」
「アザゼルさん?どうしてここにいるんですか?」


 俺達に声をかけてきたのはアザゼルさんだった。どうして堕天使の彼がこんなところにいるんだ?


「まだ手続きが済んだわけじゃないが俺は駒王学園に教師として世話になる事になったんだ」
「えっ、そうなんですか?」
「ああ、そうだ。俺の目的はお前らの引率とグルメ界の調査とグルメ界の猛獣に対抗できる兵器の開発、後は個人的な趣味だ。あとオカルト研究部の顧問にもなるからよろしくな。今日はサーゼクスに呼ばれたから来たんだ」


 どうやらアザゼルさんは俺達に同行するためにここにいたらしい。


「でもお仕事はいいんですか、貴方は総督でしょう?」
「大丈夫だ。シェムハザやバラキエルに任せてきたからな。余程の事が無ければ俺がいなくても何とかなるだろう」
「お父様……」


 そう言って笑うアザゼルさんに俺と朱乃は呆れた顔を見せた。お義父さん、大丈夫かな……


「まあアザゼルならいいでしょう、早く冥界に行きましょう」


 リアスさんがそう言ったので俺達はエレベーターを使って悪魔専用のホームまで下りた。うわっ、広いな。


『流石にグルメタウンの駅と比べれば小さくないな?』
「あれはあの町がおかしいから……」


 グルメタウンと比べればそりゃあねぇ……


 その後俺達は入国手続きをしてグレモリー家が所有する列車に乗って冥界に向かっている。1時間はかかるようなのでその間は駅弁でも食べておこう。


「んぐんぐ……ミノタウロスの牛タン弁当、中々良い味付けだな。歯ごたえもいいし肉厚だ」
「コカトリスのから揚げ弁当もいいですね。とてもジューシィーです」
「貴方たちは相変わらずね」
「前も見たけど本当によく食うんだな……というか教会組って確かグルメ細胞持っていないんだよな?なんであんなに食えるんだ?」
「私にも分からないわよ……」


 既に山のように積まれた駅弁の箱を見てリアスさんが苦笑をしていた。前までなら俺と小猫ちゃん、ゼノヴィア、イリナが良く食べていたが、今では朱乃と祐斗もけっこう食べている。


 ルフェイもグルメ細胞持ちなんだが口が小さいからチビチビと駅弁を食べている。量は多いんだけどな。

 
 そしてその光景を見慣れていないアザゼルさんは目を丸くしていた。


「そうだ、アーシアにはこれを渡しておくわね」
「ペンダントですか?」
「ええ、そのペンダントはアザゼルが作った冥界の瘴気から体を守る効果がある石で作られているの」
「俺の自信作だ。まあイッセーや教会組は必要ないだろう、そんな軟な身体じゃないだろうしな」
「まあな」


 俺はグルメ細胞があるし、ゼノヴィアとイリナが着ているハレンチスー……いや教会の服は冥界の瘴気を防ぐ効果もあるらしいからな。


 その後しばらくは皆と談笑をしていたんだけど、どうやら次元の壁を超えたらしく外は紫色の空が広がっていた。


「これが冥界か、来たのは初めてだけど空が紫色なんだな。でも木や川といった自然も生えてるしどういう生態なんだ?」


 俺は初めてきた冥界の風景を楽しんでいた。こりゃ冥界の名物料理も食べられるかもしれないな。


『お前はそればっかりだな……』
「当たり前だろう、ドライグ。見知らぬ土地に来たらまずは食事だぜ!」
『観光はしないのか……』
「まずは食う事だ、それが俺のポリシーだからな!」


 俺はドライグにそう言うと窓を開けて冥界の空気を肌で感じた。人間界と比べるとぬるっとしてるけど熱すぎず冷たすぎない丁度良い感じの温度を感じた。


 やっぱ未知の土地っていいなぁ、冒険してるって感じがするぜ!


「待ってろよ、冥界!俺が名物料理を食いつくしてやるぜ!」
「いや目的は私の実家に行く事だからね!?」


 はしゃぐ俺にリアスさんがツッコミを入れた。


―――――――――

――――――

―――


『お帰りなさいませ、リアスお嬢様!』


 グレモリー領の駅で列車を降りてホームに行くと沢山の人に迎え入れられた。どうやらリアスさんを待っていたらしいな。


 祝砲や花火まで打ってる辺り相当慕われているな、こりゃ。ギャスパーだけ騒音に驚いて俺の背中に飛び乗ってきた。


「ありがとう、皆。そしてただいま」


 リアスさんは慣れた様子でそう言うと再び歓声が沸き上がった。俺はそんな様子を見てボソッと呟いた。


「リアスさんって本当にお嬢様だったんですね。サバイバルに慣れまくって最近じゃ野〇ソまでしたから忘れていました……あっ、やべっ!」
「ちょっ……失礼ね、貴方!?」


 俺は小声だったからリアスさん以外には聞こえなかったようだが、勿論リアスさんは聞こえたので俺に突っ込んだ。だが突然俺にツッコミを入れた事で困惑したメイドや執事の目に気が付いて彼女は顔を赤くしてしまった。


 失言してすみませんでした……


 因みにアザゼルさんはサーゼクスさんがいる魔王領に向かうようなのでここで一旦別れる事になった。後リアスさんの珍しい姿を見た民衆は「うおおおおおっ!リアスお嬢様ああああっ!!」と何故か喜んでいた。


 その後グレイフィアさんに挨拶をされて彼女が用意した豪華な馬車に乗った俺達は、お城のような建物に連れてこられた。


「あれがご実家ですか?」
「そうよ、驚いたかしら?」
「まあそうですね」
「……なによ、リアクションが小さいわね」
「いや、俺のお菓子の家もあのくらい大きくしたいなって思って」
「あら、素敵じゃない。私も住んでみたいわね、お菓子のお城」
(お菓子のお城?赤龍帝様は案外子供じみた感性を持っておられるのか?)
(お嬢様、可愛いですわ……)


 俺とリアスさんのやり取りを見ていたメイドさんや執事の人たちは何故か目を丸くしていた。何でだろうな?


「リアス姉さま、お帰りなさい!」


 するとリアスさんに目掛けて小さな男の子がジャンプして抱き着いた。


「ミリキャス!大きくなったわね」


 リアスさんはその男の子を抱きしめると頭を撫でた。もしかして弟さんかな?


「リアスさん、その子は弟さんですか?」
「ふふっ、違うわよイッセー。この子はミリキャス・グレモリー。お兄様の息子よ」
「えっ……サーゼクスさんのですか?」


 俺はサーゼクスさんの息子だと聞いて驚いた。でもよく見ると微かに面影があるし才能も凄そうだ。


「でも名字が違いますよね?」
「魔王の名は継承した本人しか名乗れないの。お兄様は本来サーゼクス・グレモリーという名だからおかしくないわ」
「ああ、そう言う事ですか」


 名字が違う理由を知って俺はホッとした。何か複雑な家庭事情でもあるのかと思ってしまったぜ。


「じゃあリアスさんは伯母ってことですね」
「……そうだけど伯母は止めて頂戴。私はまだ20にもなってないのよ」
「す、すみません……」


 何気なく言ってしまったがリアスさんの怒気に押されて怯えてしまった……さっきもだけど口には気を付けないとな……


「リアス姉さま、この人はもしかして赤龍帝様ですか?」
「ええ、そうよ。彼は私の友人である兵藤一誠さん、ミリキャスも挨拶しなさい」
「はい!赤龍帝様、初めまして!僕はミリキャス・グレモリーです!」
「ご丁寧にありがとう、俺は兵藤一誠だ。イッセーと呼んでくれ」
「分かりました、赤龍帝様!」


 自己紹介をするが随分と礼儀正しい子だな。流石は貴族の子だ。


『お前ももう少しは礼儀正しくするべきじゃないか?まずは食事でがっつくところから抑えた方が良いぞ』
「今日は何かうるさいな、親父かよお前は……」


 今日はやたら声をかけてくるドライグにそう言いつつ、俺はミリキャス君に声をかけた。


「ミリキャス君は礼儀正しいね。俺なんかとはえらい違いだ」
「ほ、褒めてくださりありがとうございます!赤龍帝様にそう言って貰えて嬉しいです!」
「……なんか偉く俺に対して好感度が高くないか?もっと砕けた話し方で良いんだぞ?」
「そ、そんなことはできません!お父様が言っていました、赤龍帝様はリアス姉さまの師匠でお姉さまがレーティングゲームで勝てたのも貴方が鍛えてくれたからだって。そんな人に馴れ馴れしくなんてできません……」


 サ、サーゼクスさん……息子に何を言ってるんですか。この子真面目だから本気で俺をリアスさんの師匠か何かだと思ってるみたいだな。俺としてはちょっと鍛えてやったくらいなんだけど……


「師匠の弟子は私だけです!リアスさんじゃありません!」
「何でお前は怒ってるんだよ……」


 ルフェイが何故か怒り始めたので適当にいなしつつミリキャス君に再び声をかけた。


「ミリキャス君、俺は別にリアスさんの師匠じゃない。彼女は大事な友人なんだ。そんな彼女の甥である君にそんなかしこまった態度を取られたら困ってしまうよ」
「そうなんですか……?」
「ああ、自然体で接してほしい。俺の事はイッセーって呼んでくれ」
「……分かりました。なら僕の事もミリキャスって呼んでください、イッセー様」
「分かった。よろしくな、ミリキャス」


 俺はそう言って彼と握手をした。


「ふふっ、イッセーは小さい子にモテモテね」
「そんなつもりはないんですけどね……」


 微笑ましい物を見る目のリアスさんに俺は頬をかきながらそう答えた。


 それからグレモリー家の中を案内してもらっているが……高そうなものばかりだな。壊したらいくらするんだろうか。


『仮に弁償する事になってもお前なら普通に払えるんじゃないのか?』
「そりゃそうだけど態々壊す必要もないだろう」


 ドライグの問いに俺はそう答える。


「というかお前本当にどうしたんだ?今日はやたら声をかけてくるな」
『最近出番が少なかったからな』
「メタい発言は止めろ」
「……帰ってきたのですね、リアス」


 すると奥から誰かが現れてリアスさんに声をかけた。それは亜麻色の髪をしたリアスさんによく似た女性だった。綺麗だなぁ、リアスさんのお姉さんかな?


「お母様……」
「えっ……」


 俺はリアスさんの呟いた言葉を聞いて声を出しそうになるが、悪魔はいずれ年齢をコントロールできるようになるという事を思い出して抑えた。


(すっげぇな、グルメ細胞でもあんなに若々しくはなれないんじゃないか?)
『どうだろうな、俺達が出会った事が無いだけで若返りに特化した人物もいるんじゃないか?なにせ老人なのに強すぎる奴ばかりだからな、グルメ界は』
(……そう考えると俺の周りにいるおじいちゃんやおばあちゃんって凄い人ばっかりだな)


 自分の周りにいるご老人たちの凄すぎる実力を再確認しながら俺はリアスさんの母親に視線を向けた。


「貴方が赤龍帝の子ね。初めまして、私はヴェネラナ・グレモリー。リアスの母よ。よろしくね、兵藤一誠さん」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」


 俺は妖艶にほほ笑む彼女にそう返した。さて、一体どうなるのかな……

 
 

 
後書き
 リアスよ。イッセーったらデリカシーが無いわね。全く失礼しちゃうわ!まあでも冥界を気に入ってくれて良かったわ。アザゼルも早くイッセー達の大食いに慣れると良いわね。


 ……さて、そろそろ私も覚悟を決めないといけないわね。えっ、何の覚悟だって?それは次回までの秘密よ♡


 次回第96話『実家に帰ろう!リアスの覚悟と新たな力!後編』で会いましょうね。


 私は私の道を行くわ、お母様。 
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