星河の覇皇
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第八十一部第五章 総攻撃へその三十九
「是非だ」
「入ってですね」
「身体の汚れを落とし」
「気分も一新し」
「そうして英気を養えというのですね」
「そうだ、身体もだ」
まさにというのだ。
「清めることだ、そしてことらもな」
「閣下もですね」
「入られますね」
「そうされますね」
「シャワーは毎日入る様にしているが」
アッディーンは風呂も入るがシャワーにも入る、この辺りのこだわりはなくその時の気分によるところが大きい。これに対してシャイターンは湯舟を好む。
「だがな」
「今日は、でしたね」
「閣下は常に司令の席におられたので」
「シャワーもですね」
「入っておられませんでしたね」
「そうだった」
今気付けばというのだ。
「どうもな、しかしな」
「それをですね」
「休養の時は」
「シャワーにも入られて」
「疲れを落とされますね」
「ナポレオンは入浴を好んだ」
とかく無類の風呂好きで一日平均二時間入っていたという、シャンパン入りの風呂を特に好んだと言われている。
「入浴で気分転換をしてだ」
「そして知恵を出していた」
「政治や軍事のそれを」
「そうだったのですね」
「あの英雄も」
「私は格別好きではないが」
それでもというのだ。
「やはりな」
「入浴は、ですね」
「今日は、ですね」
「入られますね」
「そうする、そして食事も睡眠も摂り」
この二つは忘れなかった、今も。
「そうしてだ」
「休まれて」
「そうしてですね」
「次の戦いに備えられるのですね」
「今は」
「そうする、戦いは今日で終わりではない」
破竹と言うべき勝利を収めた、だがそれでもというのだ。
「だからな」
「こうした時こそですね」
「休まれるのですね」
「休まれる時だからこそ」
「そうだ、ではまずは食べよう」
こう言ってだった、アッディーンは最初に自分の席で食事をはじめた。それは香辛料をよく利かせたマトンのステーキに野菜を多く入れたポタージュスープ、ジャガイモを潰しそれを揚げたものにイスラム風の野菜炒めそしてパンと苺やオレンジ、メロンのフルーツに牛乳といったこの日のオムダーマン軍の夕食のメニューだった。
そのメニューを食べるアッディーンにアリーにいるアッディーンが直接率いる第一軍所属の第一軍団の司令であるクムート=ムアーウィアが言ってきた。オムダーマン軍大将の軍服を着た黒い口髭の大男だ。彼はアッディーンの食事を立って見守っているのだ。
「閣下のお食事なら」
「特別にか」
「作らせることが出来ますが」
「いい、私はだ」
「これまで通りですか」
「こうしてだ」
その食事を食べつつ言うのだった、見れば使っている食器も兵士達が使っているものと全く同じである。
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