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星河の覇皇

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第八十一部第四章 一日のうちにその四十四

「しかし」
「それでもだな」
「千億も不穏分子を国内に入れますと」
「国家経営に深刻な支障をきたす」
「エウロパは攻め滅ぼせてもです」
「攻め滅ぼしてはならない」
「しかも軍隊でも圧倒していますが」
 それは事実でもというのだ。
「ですが」
「それでもだからな」
「はい、連合軍はやはり弱く」
 数と技術、システムでは圧倒していてもだ。
「特に個々の将兵の質がです」
「エウロパの方が断然上だな」
「はい、そう考えますと」
 非常にというのだ。
「戦争を挑んでも」
「大きな犠牲を払いかねずな」
「勝利を収めエウロパを滅ぼしても」
「実入りはない」
「技術的に三百年は遅れている地域ですし」
 連合とエウロパの技術的な開きだ、これはマウリアやサハラと比べてもだ。特にサハラの民間技術との開きが大きい。
「しかもです」
「先程言った通りにな」
「千億の不穏分子なぞ」
「欲しくもない」
「確実に二十世紀の日本の轍を踏みます」
 これは連合にとって大きな教訓の一つとなっている。
「日韓併合の」
「あれだな」
「日本の歴史上最大最悪の失政と言われていますが」
「我々がそれをしてしまう」
「そうなってしまうので」
「併合して厄介者を抱え込むことはな」
「愚の極みです」
 連合は日韓併合からこのことを学んだ、だがそれは韓国以外でのことで韓国では屈辱であり日本への恨みの源となっている。
「まさに」
「だからな」
「はい、その轍を踏まない為にも」
「我々としてはな」
「エウロパは滅ぼさず」
 そうしてというのだ。
「このままです」
「敵とし続けることが一番だな」
「国家統合の敵という意味でも」
「四兆の市民共通の敵だな」
「その立場からもです」
「エウロパは滅ぼしてはならない」
「戦争になってもです」
 その場合もというのだ。
「勝利は収めても」
「国家を滅ぼしはしない」
「併合なぞせず」
「衰退していればな」
「これ以上はないまでにいいですが」
「それが理想だな」
「ですがあの御仁は」
 ギルフォード、彼はというのだ。
「それを邪魔して」
「そのうえでな」
「はい、エウロパを復興させ」
「発展もだ」
 どちらもというのだ。
「決してだ」
「連合としては望ましくないですね」
「そうだ」
「だからですね」
「あの御仁も何とかしたいが」
 ギルフォード、彼をというのだ。 
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