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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第五幕その七

「注文しても大丈夫だから」
「そうだね」
「本当にこれが呉服だと」
「京都のね」
「特に女の人のものがね」
「とんでもない価格になるね」
「高過ぎてよ」
 それでというのです。
「手が出せないわ」
「そうだね」
「あんな高い服も世の中にはある」
「欧州の貴婦人のドレスみたいに」
「ドレスよりは安いわよね」
「いや、負けていないよ」
 先生はお静さんに紅茶を飲む手を止めて答えました。
「これがね」
「そうなの」
「むしろ今はね」
「ドレスよりもなのね」
「それぞれの質の違いがあっても」 
 着物それにドレスのというのです。
「呉服もね」
「負けていないのね」
「そしてそれなりの価値があるよ」
「そういうことね」
「うん、日本はつくづく恐ろしい服を持っているよ」
 先生はこうまで言いました。
「本当に」
「そうなのね」
「サラなんかその値段見て仰天していたよ」
 先生の妹であるこの人はというのです。
「こんなに高いのって」
「外国の人から見ると余計に」
「絹自体も高くて」
 生地からしてそうでというのです。
「それでね」
「彩色して服にしたら」
「もうそれでね」
「とんでもない値段になるわね」
「そう、だからね」
 その為にというのです。
「サラも驚いていたんだ」
「そういうことね」
「僕が着物を買うとしたら」
「先生着物似合いそうね」
 お静さんは先生の今のお言葉に先生ご自身を見て言いました、その穏やかな顔立ちと恰幅のいい長身を見てのことです。
「どうも」
「そうだね」
 王子もそれはと頷きました。
「紋付羽織り袴とかね」
「似合うわよね」
「うん、体型的にもね」
「雰囲気もそうで」
「かなりね」
 この人はというのです。
「似合いそうね」
「本当にね」
 まさにというのです。
「そう思うよ」
「それは嬉しいね、実は僕一人で着物着られるんだ」
 先生も微笑んで応えました。
「袴もね」
「へえ、そうなったんだ」
「うん、日本に来てね」
 そうしてというのです。
「それで暫くしてからね」
「着物着られる様になったんだ」
「そうなんだ」
「それは凄いね」
 王子は先生のそのことを聞いて素直に感心しました。
「作務衣だけじゃないんだ」
「浴衣も着られるね」
「そういえばそうだね」
「それで袴もね」
 こちらもというのです。
「それが出来るんだ」
「先生本当に日本人だね」
「そうなっているかな」
「凄くね、ここまで日本人なんてね」
 素直に感心したまま言うのでした。 
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