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星河の覇皇

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第八十一部第四章 一日のうちにその十五

 それでだ、彼は言うのだった。
「何かありましたら」
「またですね」
「連絡しますので」
「わかりました」 
 外務省の方も話を聞いているだけだ、聞き返しはしない。
「引き続きです」
「サハラの情勢をですね」
「見て下さい。あとです」
「あと?」
「バグダートのお住まいはどうですか?」
 外務省のスタッフはスクにこのことを聞いた。
「新居というか新しい大使館は」
「別にです」
 スクはスタッフに笑って返した。
「不満はないです」
「そうですか」
「祖国からお金を貰っていて」
 大使館の運営費をというのだ。
「こっちの物価を考えますと」
「大丈夫ですか」
「毎日何ともなく」 
 そうした感じでというのだ。
「暮らしています」
「そうですか」
「さっきも自分で作ったカレーを食べてましたが」
 スクは世間話をはじめた、実は大使館兼自宅から出ることはあまりなく朝八時に起きて十二時に寝るまで気楽に暮らしている。
 その彼がだ、こう言うのだった。
「これが実に美味しくて」
「それは何よりです」
「さっき体重計ったらサハラに来るより三キロ太りました」
「それは食べ過ぎというより運動不足ですね」
 スタッフは彼に笑って応えた。
「おそらく」
「そういえばこっちに来てから外にもあまり出ないで」
「時々お買いものに出てですね」
「週一回食材を買って」
 三度の食事のそれをだ。
「後はです」
「大使館にトレーニングルームは」
「元々運動しない生活で」
「ですからそれはよくないですよ」
「もっとですか」
「はい、大使館におられても」
 そこからあまり出ずともというのだ。
「やはりです」
「身体を動かすことはですね」
「怠らないことです」
 それがいいというのだ。
「やはり」
「では」
「はい、何ならトレーニング器具を送りますか」
「いえ、こっちで何かそういうの買います」
 サハラのそれをというのだ。
「自転車のそれを。あとシューズも」
「それで、ですね」
「身体動かします、やっぱり身体を動かさないと」
「駄目ですからね」
「そうですよね、じゃあそっちも頑張ります」
「そうして下さいね、あと勝ったのはティムールだったでしょうか」
 スタッフは電話の向こうのスクに確認を取った。
「どうだったでしょうか」
「ああ、オムダーマンです」
 少しぼうっとした感じの声でだ、スクは答えた。
「そっちの方です」
「オムダーマンでしたね」
「ネットでも記事が出ていますよ」
「あっ、出ていますね」
 スタッフもそれを確認して納得した。
「確かに」
「はい、勝ったのはそちらでして」
 スクはスタッフにさらに話した。 
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