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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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62話 Madな共闘







「おっと...........これはこれは。」
「エグゼイド。今日、お前は滅びる運命にある。」
「僕たちの手によってね!!」
「お前は.....................!」
「滅...........それと——————」


太陽の輝きは役目を終えて、月にその役目をバトンタッチする。無論その月明かりもまた恒星の輝きを受けてこその明るさなのだ。

そんな中での滅亡迅雷.netという急な来客に驚く稜と魁。稜も魁も滅と交戦したことはあるが、迅には初対面であるので困惑もしているようにも見える。いやこんな状況での来客に厄介払いしたい気持ちなのだろう。

俺も少しは驚いているが............この展開、面白くなりそうだ———


「俺の邪魔をするな滅亡迅雷!!これは俺と才の戦いだ!!」
「そんなこと知るか。俺たちはアークの意思に従う人工知能。お前の命令に従うわけがない。」
「何だと..........!?ならお前たちも始末してやる!!」
「へぇ〜!!君も僕と遊んでくれるの?スペクター?」
「迅、こんな男に構っている暇はない。《《敵を倒すこと以前にやるべきこと》》があるからな。」
「ちぇっ。わかったよー」


2人は腰にフォースライザーを装着すると同時に、自身が持つ変身用のプログライズキーを起動させる。


≪ポイズン!≫


≪ウィング!≫



「「変身(!)」」



≪≪フォースライズ!!≫≫



≪スティングスコーピオン!≫


≪フライングファルコン!≫



≪≪BREAK DOWN.......≫≫



金属製のサソリとファルコンのモデルが2人の鋼鉄の鎧を形成する。


≪アタッシュアロー!≫


≪アタッシュショットガン!≫


第二回戦の始まりの毒矢が滅によって放たれる。しかし《《見切っていた》》俺はガシャコンキースラッシャーの刀身でそれを防ぐ。続いてアタッシュショットガンの乱射が繰り広げられるが、それも単純ゆえに簡単に防げる。

だが単純なのもここまで。迅は俺に向かって一直線に銃撃しながら来ている。俺に正面から来るとはおこがましくも面白い。


「喰らえっ!!——————って、あれ!?どこ行った?」
「ここだよバーカ。」
「うわっ!!」


誰にも見えないようなスピードでジャンプして、消えたように見せかけてからのガシャコンブレイカーとキースラッシャーの二刀流が炸裂する。

ロボットと鋼鉄のような頑丈な装甲にいいダメージを与えられるのは、この2本の切れ味もあるが、やはりパンチ力150トンは伊達ではない。ただそれは『普通の人間が変身した場合の』という言葉を付け足すのが良い。それを凌駕する火力が出ていることは間違い無いだろう。


迅が怯んだのを見た滅も俺にアタッシュアローの両刃で斬ろうとしていたが、いち早く反応して左腕のガシャコンブレイカーが腹部を横から斬る。強力な攻撃に滅も後退りする。


するとスペクターは滅を突き飛ばして、ジャンプ斬り。それを俺は同じくブレードで受け止める。


「貴様...........」
「悪いがお前らに才を倒させはしない。今回は引っ込め!!」
「それはできない話だ——————」


毒矢を放つ滅。スペクターごと俺を射止めるつもりだ。だったら利用しない手はない。

スペクターのガラ空きの腹部を蹴って、距離を取らせ、そのまま毒矢の盾となってもらった。


「才お前........!!!」
「悪いな。でもあんまり蹴って欲しいと言わんばかりの間合いだったんでな。油断したお前が悪い。後ろの毒矢に当たるのも然り。」
「やっぱりお前は..........うおおおおおお!!!」
「おおお、落ち着け落ち着け(煽)」


俺の煽りにさらに腹を立てたのか、スペクターはディープスラッシャーを縦横無尽に感情のままに振り回す。俺はそれぞれ正確にその攻撃を捌いて、ノックバックを最小限かつノーモーションを心がける。

ディープスラッシャーを受け止めている最中に、滅がアタッシュアローの両刃を振りかざしてきた。そこで活動休止していたガシャコンブレイカーでそちら側の攻撃を受け止める。


「どけ!!」


スペクターは鞭のような蹴りを入れて、滅を背後に排斥したのちに俺に斬りかかる。だが滅が黙って受け入れるはずもなく、スペクターを押しのけてキースラッシャーに攻撃する。


「どうしても俺の邪魔をするなら、お前をこの世から消す!!」
「お前の目的など知ったことか。我々は我々が為すべきことを為すだけだ。」
「どいつもこいつも.........俺の邪魔をするな!!!」


滅を八つ当たりが如く斬り倒し、再び俺に向かってくる。怒りという隙を突いた俺は自身の体を旋回させて2本の剣をスペクターにぶつける。


この場にいる者の関係のない些細な行動でさえもスペクターには怒りに変換されるように見えた。この数年間で倫理観は大きく変わったのだろう。


「全く.........味方なんだか敵なんだか。そんな足並みじゃ足し算にもならずに引き算になっちまうぜ?」
「素性も知らないコイツらと手を組んだ覚えはない!俺は俺の為すべきことを為す!!そのためにコイツらの力など必要ない!!!」
「俺を倒すのが為すべきこと................か。なら、お前にヒーローを名乗る資格はない。」
「何だと!!!」
「お前のやりたいことは《《身勝手な》》エゴ以外の他ならない。自分を犠牲にしてでも守りたいモノを守るというエゴを持ち、戦うのがヒーローだろ?その考えの中Aqours☆HEROESが自然に生まれた。今のお前は自分のためだけに戦うお前は《《怪人》》に他ならない。」
「怪人だと...............ふざけるな!!!!!!」


受けた痛みを忘れるように、ディープスラッシャーで斬り込む。無論、単純な攻撃を防がない手はない。だがスペクターの攻撃は緩まることを知らず、剣撃とそれが塞がれた時の蹴撃を連撃する。もちろん完璧に防ぐ


「なら!!お前は何なんだ!?!?仲間に恵まれながら!!やることは独断専行!!病的な独り善がり!!守るためなら手段を選ばないお前こそ———



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『怪人だろうが!!!』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



......................は?



「ぐわぁぁぁぁ!!!」
「なっ........才!?」
「———————————」


ふと気づいたら2本の剣でスペクターを斬っていた。おまけに横ミドルキックをプレゼントも忘れずに。予測できた未来に.........少し感情が出たかな。


「怪人?この俺が?———————冗談よせ。」
「怪人!?稜はそんなこと一言も..........!」
「いや、たとえ先に視えた冗談であったとしても全然面白くないなぁ。」
「やぁー!!」
「ふっ。」


背後から俺に飛びかかろうとしていた迅を察知していた俺は、流れるように後ろ蹴りで空中から落とし、不時着したところに2回ほど踏み蹴りをして、3回目にしてその鋼鉄の鎧を踏みつける。


「こんな面白くない茶番をするお前らなら...............俺が面白くしてやるよ。」
「不味いぞ............稜、不本意だが滅亡迅雷と一時共闘するのが得——って稜!!」
「知るか!!俺は才を倒す!!」
「クソっ........!」


魁は稜に最適な提案をしたが、怒りに支配された稜には馬耳東風だったようだ。その怒りを原動力に再び俺に向かって来る。だが生憎俺も今は無性に腹が立っていて、とてもじゃないが大幅に《《手加減》》なんてできない。

踏みつけていた迅をローラーのように転がして、スペクターを転ばせる。

そうそう。茶番ってのはこうでなきゃ。


「もう!!スペクター気をつけてよ!!」
「うるさい邪魔だ!!」


迅をディープスラッシャーで斬り裂き、邪魔者を排除して俺の元に向かう。

真正面から向かってきたスペクターに膝蹴りを喰らわせ、そのまま俺の後ろに放り投げる。起きあがろうとするがそうはさせないと、四つん這いの状態の胴体を蹴り上げ、仰向けになるように再び蹴る。


背後に気配を感じたので振り向くと、左から滅・ダークキバ・迅の順番でそれぞれの専用武器を携えて飛びかかろうとしていた。


≪ガシャット! キメワザ!≫

≪ MIGHTY CRITICAL FINISH!!≫


3人まとめてガシャコンブレイカーの必殺の一閃があしらい、離散させ、地面へとたたき落とす。少し手加減を間違えたのか、地鳴りがしたような体感に襲われる。


「くそー!だったらこれでも喰らえ!」


≪カバンショット!≫


アタッシュショットガンの強攻撃が俺を襲うが、エネルギー弾そのものを一刀両断することで対処する。


≪カバンシュート!≫


続いてアタッシュアローの強化された矢が飛んでくる。この矢はこの矢は避ける手立てがない強力な矢。防ぐ以外に手立てはないが.............ノーダメージで済ませる方法、今発見したよ。


≪反射!≫


俺の胸部装甲に見事命中したと思われた毒矢。しかしそれは突如として放った張本人である滅に突き刺さり、逆に火花の散るようなダメージを負わせる。


「オイオイ..........ソロの敵を相手にして4人が初期フォームにすら及ばないとは—————無様なモンだぜ。」
「何だと.......!?」
「稜、お前が手に入れた強さってのもこの程度じゃ.........話にもならねぇな。まぁお前がこんな結論を下す時点で程度も知れていたのかもしれないけど。」
「貴様ァ!!!」
「そうだそうだ。怒りさえすればそのどうしようもない弱さもマシになるんじゃねぇか?——————しかし気づくのが《《遅すぎた》》けど。」
「なんだッ..........グワァァァァァ!!!!」





いつもとは明らかに違う異質な声にその場にいた者全員が俺の背後にいたスペクターに視線がいく。

スペクターの体に紫色の稲妻が走り、変身者である稜を苦しめ始めた。音を立てる稲妻のエネルギーは凄まじいもので、本人の体の範疇をも超えて外界へと放出されていた。





「何だこれ..........何が起こってるんだ才!!これもお前の————!!」
「そこまで知らねぇよ。ただ心身ともにダメージを受けすぎたな。」
「え?」


淡々と言葉を言う俺に豆鉄砲を喰らったような反応を見せる魁。そんな彼に俺は自身の見解という名の真実を述べ始める。


「ディープスペクターは自身の心の深淵—————つまり、深層心理と深く結びついている。俺への怒りの感情が戦闘を通じて発散されず、むしろ降り積もった結果だ。身体へのダメージも然り。」
「なっ..........」
「深層心理をパワーにする能力だが、それが強すぎるあまりにエネルギー過剰になったというのがオチだろう。」


俺は魁と話し込んでいる隙に、滅と迅は距離を詰めて話をしていた。


「迅、あのエネルギーを利用する。」
「エネルギーってスペクターの!?」
「あの余剰エネルギーは大きな攻撃力となるだろう。」
「ふーん、わかった。」


データを共有した滅と迅は二手に分かれて、国道沿いの中央に位置する俺をちょうど挟み撃ちするような陣形を取る。

流石にそこまで動かれて反応しない俺ではない。


「何を始めるんだ?妙案でも思いついたのか?」
「あぁ......こういうことだ。」


俺の背後にいるスペクターから再び稲妻が飛び出す。それは何かに導かれるように、チャージライズ中である滅のアタッシュアローと迅のアタッシュショットガンへと吸収されてしまう。


≪≪フルチャージ!≫≫


≪≪カバンシュート(ショット)!!≫≫


深紫色の矢と光弾が俺を挟むように命中する。余剰エネルギーの破壊力は凄まじく、《《余剰エネルギーの余剰エネルギー》》が発生したことに、これまで放ってきた技とはレベルが数段違うことをここにいる全てのライダーが自覚せざるを得なかった。


だが................


「ふぅ〜流石に今のは痛かったぜ。」




混沌はまだまだ始まったばかり。




—————————※——————————





「もう2時間は戦っているな...............」


虎太郎は竜介とは対照的に、全てを把握していた。虎太郎の体にある霊石は全ての状況を虎太郎に知らせていたのだ。


「でも俺が関わるべき話じゃない。俺の正義に反した........個人レベルの話だからな。」


虎太郎の正義とは《《スクールアイドル》》を守ること及び怪人を倒すことにある。

稜の個人的な恨みやケジメでもなければ、魁のように倫理的に許せないような正義は虎太郎が抱くそれとは明らかに食い違っているのだ。

虎太郎の正義感はどちらかと言えばAqoursを陰ながら守る才に近い—————が、もっとマクロなものだ。

ちなみに竜介の正義は単純な正義だ。目の前で助けを求める声に応じる正義。そんな正義が1番実行しやすく、話が拗れないのかもしれない。しかしその正義を起点に才の正義感は生まれているわけだが。



「その前に俺にははっきりさせておきたいこともある——————」


虎太郎はあることをアークルに求めた。


 
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