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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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60話 互いのBetrayal【裏切り】









「やっと来た..............会いたくなかったけどさ。」
「いつまで待たせれば気が済むんだ!!!」
「酷い言われ様だね..........」


こちら深夜の東京のオハラエンタープライズ本社ビル。魁と稜の目の前に姿を現れたのは、代表取締役社長 小原兆一郎。

この男こそAqoursの3年生組に起こった出来事の全ての元凶と言っても過言ではない。鞠莉に対して怪我を促すような薬を摂取させ、果南の父親に怪我をさせ、海の父親を介してであるが稜の命を狙い、東京の街を10分の1壊し、内浦及び浦の星の崩壊を目指す人物。

つまりはAqoursにとっては邪魔でしかない存在である。

したがって、こんな密会を催している時点で背信行為も甚だしいのだ。しかし最たる被害者であるこの2人が話しているのもまた異常だ。


「でも待つ甲斐はある。真実が明らかになるなら...........」
「——————大地か...........彼は優秀な社員だったよ。《《殺された》》のは残念だったが。」
「惚けた反応の仕方はやめろ。基本的には1番の容疑者はアンタなんだ。場合によっては今ここでアンタを絶滅させる。」
「私に容疑がかかっているのは承知したが.........根も葉もないデマだ。」
「じゃあここでその証拠を出せるか?」


稜の疑心暗鬼から出た疑問に兆一郎は1つも動じることもなく、弁明論述を始める。


「彼はプロジェクトトリリオンの一員—————が、どういうわけか幼い君を連れて逃げた。そしてどういうわけか辿り着いたのが内浦...........あとは君たちの知る通りだ。ここまでに彼を殺す理由があるかい?」
「———————プロジェクトの遂行をせず逃避行した事に腹を立てるか、その機密情報を握っていれば理由は成立しなくない。」
「前者はともかく後者はあり得る話だ。だがそれを命令したとして、その費用対効果はあるとは考えにくい。少なくとも、《《殺すなんて勿体ないこと》》はそれに——————」
「それに??」
「私はその時《《別のプロジェクト》》に集中していた。そんな時期にそんな指令を出せはしないよ。」
「証拠は?」
「社員たちに聞くといい。」
「..........信じるわけじゃないが、この場で論争しても仕方ない。ある程度は許容する。」


その言葉を稜から聞いた魁は胸を撫で下ろす。もし稜が激昂などしてしまえば、話どころではない。サウザーVSダークキバ・スペクターという構図は避けられない。

いくら戦いのセンスがあったとしてもカタログスペックがサウザーとは天と地の差がある。2人がかりでも完全敗北はなくとも勝利は不可能とみえる。となれば、無茶苦茶に交渉などできるものか。

そこで生じた緩みを魁は警戒する。目の前にいるのは世界有数の多国籍企業を1代で築き上げた社長だ。謀略を巡らせるのはこの人の十八番である故、油断していればまんまと利用されてしまう。そして今の稜はどんなに冷静であるように見えても、当然ながら常時興奮状態であろう。的確な姿勢を失いかけている稜を抑止できるのは自分しかいない。

そんな責任を感じながら、話を始める。


「単刀直入に言う。才の身辺事情について調べたい。協力しろ。」
「魁.......随分と生意気だな?人に物を頼む時には態度というものがあるじゃないのか?」
「逆にこんな話を持ってきてもらった事に感謝して欲しいくらいだ。アンタが邪魔で仕方がない才の弱点がみえる可能性があるんだからな。」
「—————————」


魁は一歩も譲る気はない。いや、相手に対して弱みを見せないためと付け加えていくべきだ。魁が兆一郎の性格を熟知しての対応だ。でも虚勢はすぐに見抜かれるので考えた上での強気発言である。


「.........いいだろう、悪くない話だ。でも何をするんだ?私に頼ってくるということは何か解決しづらいことがあるわけだが———————」
「この写真を調べて欲しい。この写真がフェイクであるか否か.......だ。」
「————————なるほど。いいだろう。でもそれが正しいと証明されればどうするんだ?」
「その時は才に直接聞く。ただそこまで進んで欲しくないが..........」


最後に稜がスパッと言い返す。彼にとってもそこだけは信じたくないのだろう。彼にも小原兆一郎に騙されるのでは?という疑念はないわけではない。しかし彼がそれをしてわざわざ疑われるようなことをするかどうかも疑問だ。そうそう稜たちの考えうることにはハマらない。

だから正しいと出た場合には最終的には直接聞かざるを得なくなる。


「じゃあしばらくここで待っていてくれ。オハラの技術を持ってすれば写真解析は2時間程度だ。」
「そうか............わかった。」


そう言って兆一郎は例の写真を持って暗がりへと消えていく。ここで兆一郎がバグヴァイザーのデータを発射した事に2人は気づかなかった..............


「さて.............どういう風が吹くか——————いささか私にもわからないが.................この神話の第2章の始まりと言うわけか——————————」




風がざわついた。




—————————※——————————




「うーん.........もう朝か——————久々に寝たかな..........」


寝たっていうより寝落ちしたって方が正しいだろう。寝ないことの方が生活リズムに取り入れられてしまって、寝てしまうと逆に狂う。そして何を隠そう今日はその狂った日であるのだ。

こうなってしまったら外出という選択肢はまず消えてくる。次に開発か演出の瞑想かあるいは、ゲームに絞られてくる。


「でも開発はマキシマムマイティX作ったし、せっかくのライブ終わりだし................」


そういえばマキシマムマイティXの効用試験はうまくいったようだ。うまくクウガの呪縛を解くことができた。その上対象の能力を初期化できる。これほど素晴らしい能力があるだろうか?


「はい、結局ゲームするしかなくなりましたー!残念だなぁ〜!!」


1人で何言ってんだよ俺..........

そんなこと考えるだけ無駄無駄。ゲームが俺を待っているんだっ.......!


prrrrrr..........prrrrrr.........



『小原鞠莉』


イラっ


『あ、もしもし才?今暇よね?』
「全然暇じゃないです(怒)いたずら電話は受け付けておりませんのでこれで切らさせていただきます。」
『へぇ......浦の星の理事長であるマリーのお願いを却下するのね.......?』
「——————はい、申し訳ございません。クソッ」
『何か言ったかしら?』
「いや〜なんでもないです。」


即堕ちじゃねぇか、完全無敵のゲーマーの名はどこへ消えた?とか言わないでくれよ!?俺みたいな穏健な金持ちならともかく、鞠莉は金に物言わせるブルジョワ系金持ちだからな?しかも理事長というオプション付きの!!彼女にかかれば浦の星の生徒の退学なんてわけねぇからの話だ。その話を持ち出されて強気でいられる方が無理があるんだよ.................


「それで?ライブの翌日に何の用だ?俺を呼ぶってことは相当な案件なんだろうな?」
『鞠莉さん、ちょっと変わってください。もしもし才さん?』
「何だ、ダイヤも居たのか。」
『実は昔の内浦の地図をお父様から譲ってもらいまして...........これで何かわかるかと思ったので上級生3人で解明しようとしたところ、手詰まりに陥ったところで声をかけてみたのですわ。』
「!!——————わかった。すぐそっちへ向かう。場所は?」
「鞠莉さんの家ですわ。」
「諒解。」


『昔の内浦』の言葉を聞いた俺は今まで怠けの心を180°シフトさせる。寝巻きとして来ているジャージを脱ぎ、急いで青色のメンズシャツと白のジーパンに着替える。

慌ただしい俺にダイヤは機会を伺って付け加えの質問をする。


『あっ、そういえば稜さんはそこに居ますか?』
「悪い。今日は稜はいない。おそらく魁と一緒ってことは訓練でもしているかも............」
『そうですか..........わかりましたわ。では後ほど。』
「後ほどでもないかも.................」


ーーーーーーーーー





———————————※———————————





「もう沈みかけかよ...............」


太陽は西に60度以上傾いている。昼までは全てを白く照らしてきた太陽、しかし夕方になると太陽は地獄の業火のように空を一色に変え始める。何らかの外的要因があれば虹がかかったり、紫に輝くのだが、今日はそれを許してくれなかった。ただひたすら真っ赤に染まった空だけしか見させてくれない。


「実際、いつそれを身に付けるかなんて俺にも分からないんだよ................」


未来は誰にも分からない。でもこれはいずれ訪れる未来だ。もちろん何十年後..........ということはなくはないが、今現在仮面ライダーとして戦い続ける俺には近いうちに訪れてしまうだろう。


でも身に付ける時にそれが操作できるならば—————————そうであると信じたい。




『才!!』
「?———————」


手鏡を握って壊した。その時ちょうど前からやって来る2人—————————稜と魁だ。

2人の顔は険しいものであるのは一目瞭然だ。


「————どうした?何かイヤなことでも起こったか?」
「————————」
「稜..........才、お前に確認したいことがある。」
「ん?」


俺が『なんだ』と疑問を投げかけようとする時には稜が既に話し始めていた。その時点で俺に論議のペースはなかったのかもしれない。


「単刀直入に言おう。深天大地を————《《俺の父さんを殺したのはお前なのか》》?」
「!?!?!?———————っ!!!」


一瞬、反射的に反論をしようとした。しかし...........《《そうとも言い切れない理由》》が俺にはあった。そのことが俺の反論の脛を掴んだ。


「稜、お前がそんなこと疑うってことは————それなりの証拠があるんだろ?親のことだからとはいえ............」
「俺はそんなこと思っていない。お前のことを疑いたくもない。だが———————」
「才、これを見てくれ。」


魁は俺に今の時代珍しい、写真を投げる。キャッチした俺はすぐさまそれを見る————————なるほど。


「これは合成写真じゃない。ディープフェイクとかの高度な偽造技術でもない。そもそも俺の後ろ姿なんだからわざわざそんなことしなくてもいい———————俺なら一瞬でわかるが...........これを断定するには専門家の知識を借りる必要がある。」
「「————————————」」
「今、希少なディープフェイクの技術を持っているのは日本でも数社に限られるが...........秘密裏にそれができるのは一社しかない。」
「————————仕方ないだろ。真偽を確かめるには方法がなかった。」
「へぇ.........アイツらのことはそんな簡単に信用するのに、俺は.......どうなんだ?」
「うっ...........」


魁は痛いところを突かれながらも、自信を正当化する様に言い放つが————たしかにその判断は正しい。でもそれは裏切り行為だ。ボコボコにしているとはいえ、内浦を売ろうという連中だ。その点は俺に理がある。

しばらく静止空間が続いたので、俺はため息をついてスパッと言い切る。


「俺にはこの事実をフェイクだと証明する手立てはない。」
「!?!?!?!?!?」
「才.............お前は俺を騙していたのか!?」
「それは違う。ただ写真がフェイクでないのと殺していないと《《証明する方法がない》》ってことだ。」
「それはお前が殺したってことじゃないのか!?!?」
「落ち着け。全く聞き分けの悪いやつだ。」


完全に頭に血が上っている稜——————何だろうか。Aqoursに入る前の稜を見ているかのようだ。

魁は悲痛な声を上げる。


「頼む才。否定してくれ!!俺たちはお前が否定さえしてくれればいいんだ!!」
「だからそれはできない。」
「どうして!?」
「それも言えない。言っても意味はない。」
『わかった!!!!もういい!!!』
「稜.......?」
「———————」


稜の怒号が虚無の県道に響き渡る。文字通り県道しかない道路だけの空間。見えるのはフェンスに絡み付いた草に左手には一面に広がる灼熱の海だけ。

稜はゴーストドライバーを展開する。


「何を言ってもその返答————なら《《力づく》》でも答えてもらう!!!!」
「オイ稜!!お前その意味がわかってるの『いいだろう!!』


喧嘩を売られた.........正確にはゲームをプレイせずに誰が天才ゲーマーか。


「才やめろ!!俺たちが戦う意味がわからないわけないだろ!?仲間割れなんて..........まさしくア『魁!!』———稜。」
「お前は王だろ?この状況でどちらが《《正しいか》》分からないのか!?」
「正しいかどうかはさておき—————その意見には賛成だ。」
「そんな............」


俺と稜は魁に向いていた視線を互いにぶつける。


「俺はお前とこんなことしたくはないが.........全ては真実を解き明かすためだ。お前を倒す。」
「真実ね.........................その正義感の正体は小さい時からの《《俺の不可解さ》》なんじゃないか?」
「っ!!」
「—————————物語の主人公はこんな状況に陥った時、戸惑い悲しむらしいが..........俺はそんなことしない。全力で.............お前を倒す。」


俺はマイティアクションXをポケットから取り出す。稜も握っていたスペクターアイコンを展開していたゴーストドライバーに装填する。


≪マイティアクションX!≫


≪バッチリミロー! バッチリミロー!≫



ゲームエリアが展開され、ブロックやエナジーアイテムが配置される。その空間でフード型の亡霊が踊り狂う。


「変身。」
「変身!!!」


≪ガチャーン! レベルアップ!≫

≪マイティアクションX!!≫


≪カイガン! スペクター!≫

≪ レディゴー!覚悟!ド・キ・ド・キ・ゴースト!≫



ピンクと群青。対照的とも言っていいのかもしれない。

こう言った場合、普通ならば主人公は戦うのを躊躇して敗北するか苦戦する。


だが俺はそうじゃない。


容赦もない仲間割れ。誰かが喜ぶかなんて関係ない最も個人的な戦い。エゴイスティックなもの以外何者でもない。


一方は怒りというエゴに。もう一方は楽しみというエゴを求めるための戦いだ。



「さーて。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!!」









 
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