| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十一部第四章 一日のうちにその二

「一気に攻勢に出てだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「国境を突破して」
「一気に敵の領内深くに入り」
「首都までですね」
「止まらず進む、シャイターン主席が戦場に戻るまでにだ」
 彼は必ず戻って来る、アッディーンはこのことも確信しているのだ。それで今も幕僚達に言うのだ。
「戦争の勝敗をだ」
「決する」
「最早シャイターン主席が復帰してもどうもならないまでに」
「そこまで戦局を進めるのですね」
「我等の有利な風に」
「そうするのだ、だから今だ」
 まさにと言うのだった。
「攻勢に出る、既に整っているな」
「はい、全戦線においてです」
「常に臨戦体制に入っていました」
「ですから今にもです」
「閣下が攻撃命令を出されたら」
「その時は」
「そうだな、では今よりだ」
 まさにこの時にというのだ。
「攻撃を命令する」
「敵の戦線に対して」
「全軍を以て」
「そうして前線を突破し」
「さらに攻め込みますか」
「潜水艦を使ってな、既にこの戦域での勝敗の結果は敵にも伝わっている」
 ティムール軍にもというのだ。
「だからここで警戒する筈だが」
「それでもですね」
「そこにですね」
「潜水艦を使って攻勢を仕掛け」
「敵の戦線を崩壊させる」
「そうするのですね」
「そうだ、警戒しているが」
 それでもというのだ。
「まだ潜水艦の存在は知られていない」
「奇襲を仕掛けられたとわかっていても」
「このことは理解していても」
「それでもですね」
「まだ潜水艦を知らないからこそ」
「今が好機ですね」
「絶好のな、逆にシャイターン主席が復帰すると」
 戦線にというのだ。
「潜水艦の存在を気付かれる、そしてだ」
「即座に対策を講じられる」
「だからですか」
「あの御仁が戻らないうちに」
「攻めるべきなので」
「今から攻めて今日のうちにだ」
 アッディーンはまたタイムリミットの話をした、それはまさにこの日今日だけだというのである。戦争は時として一日そして一瞬が大事ということだ。
「攻めていくぞ、そしてだ」
「今日で、ですか」
「戦争の勝敗自体を決めますか」
「それ自体を」
「そうしますか」
「そうだ、戦争は今日決まる」
 オムダーマンとディムールのそれはというのだ。
「戦線を突破しティムール軍の戦力の多くを殲滅する」
「そうしてですね」
「ティムール軍の抵抗力も奪いますね」
「今日一日で」
「そうしますね」
「そうする、ただ戦力は我々の方が上だが」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧