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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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58話 未熟Relation

 
前書き
仮面ライダークウガ アルティメットフォーム(レッドアイ)

パンチ力 800,000t
キック力 1,000,000t
ジャンプ力 9000m(ひと跳び)
走力 0.043秒(100m)


 
クウガが得た新たな力、伝説の力とも呼ばれる。ただ伝説とは何のことかは今のところ明かされてはいない。
 
アークの呪縛から解き放たれ、善意の人工知能『ルー』が矢澤虎太郎を改めてクウガたる者と再認識したことによるアークルの解放された力でもある。
 
スペックはさることながら特殊能力は異次元級である。
 
 
モーフィングパワー 以前のように原子再構成によって武器生成はもちろんのこと、プラズマ化による超自然発火能力や空中浮遊、任意での物体創造、原子変換による物質の性質変換、さらには《《核融合や核分裂を起こすこと》》も可能である。
 
さらに高度な天候操作及びエレメントパワーの操作、瞬間移動、テレパシーなども自由自在に使いこなせる。
 
ライジングアルティメットフォームには大きく劣るが、こちらの方が制御が効きやすい。
 
  

 





「さて..............ライブシミュレーションは100垓回中全て成功。これで演出が失敗することはまずない。あとはパフォーマンスさえ...................」


それが今日なのだ。終業式も終わり、夏休みに突入した俺たちの始まりのゴングのような役割を果たしてくれるだろう。前のゲリラライブがAqoursパーフェクトライズの知らせのライブならば—————————そういうことになる。

こんなところで立ち止まってはいられない。ラブライブ制覇への道のりはまだまだ遠いのだ。俺は—————————


「.........さ...........ま.......さん.....才さん!」
「あ、ダイヤか.................」


俺としたことが一生の不覚。背後にいた女神の卵に気づかないで、Aqoursのマネージャーを名乗れたものだ。もう今日の最終調整は終わったというのに何かアクシデントでもあったのだろうか。それともただ単に世間話をするのか、それとも———————まぁ、何はともあれ話しかけなければ。


「どうした?何か困ったことでもあったのか?」
「いえ、先ほどから部室に篭りっぱなしですので少し気になっただけですわ。」
「そうか..............ちょっと聞いてもいいか?」


俺は独り言のように呟く。その戯言にダイヤは反応してくれる。


「どうされたのですか?」
「このライブの後にはラブライブの予備予選が控えてるんだよな?」
「ええ。」
「で、8月下旬に地区予選か...........そして9月ごろに決勝か—————気になったんだけどラブライブの決勝って春にもあったよな?てことは予備予選と地区予選も..............」
「当然ありますわ。確か————予備予選は9月、地区予選は11月に予定されています。」
「早っ!!決勝戦と次の予備予選が目と鼻の先じゃねぇか!!これは早急に作戦を立てなければ————————」
「ふふっ♪」


俺が慌ただしく椅子に座り直し、パソコンを弄り始める。そんな俺を見てダイヤは微笑の声を上げる。それに不思議に思った俺は作業をすぐにやめてダイヤの方を振り向く。


「何がおかしい?」
「いえ、才さんらしくないなと思いまして。」
「?」
「冷静なことが多い才さんがここまで熱くなるところはちょっと意外でしたので...............」
「そうか?俺は意外に今も冷静だけどな〜」
「でも《《ラブライブに惹かれる》》ってそういうことだと思いますよ。ラブライブは人を変えてしまうんですよ。それは才さんや千歌さんみたいにいい影響もあればラブライブ過激派然り、小原さんやラブライブ反対派の人生も変えているのですよ。」
「過激派ね...........アイツらにも困ったな。」


過激派はどこにでもいる。ここではラブライブやスクールアイドルに対する過激派で、彼らの迷惑行為は交通機関の停止に追い込むほどだ。サウザーの言う害というのはまさしくこのことだ。ただそれをラブライブ廃止の理由になんかできない。


「でも俺に出来ることはお前らを守り、そして世界も守ることだけだ。他の人の思想信条に介入するのは俺の致すところじゃない。」
「それを..........貫くのですか?」
「ああ..........」


ん?———————なんだろう..........嫌な予感がする。脳裏にモノクロの映像が映っている?ダイヤが少しこちらに来て..............俺は何を見ているんだ?

でも俺の眼前には色彩のある映像がモノクロに遅れて追随している———————そういうことなのか?



「それを貫くのは無理ですわ。」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」
「人に影響を与えないというのはできませんわ。それは誰でもやってしまうこと。あなたが千歌さんに影響されたのと同じようにあなたは




[私に影響を与えていますわ。少なくともでは済まないほどに。]


ドン!!!


パタっとスクールアイドル関連の本が棚からダイヤの隣に落ちる。そして俺の手のひらはダイヤの顔の右側に、壁に力強く押し付けられていた。息が荒くなっていたことも鋭い眼光を当てていたのも俺はこの時、気づいていなかった。
ダイヤはその翡翠色の瞳を大きく見開いて俺を見る。ダイヤは女性でも背の高い部類だが、それでも俺とは24cmほど違ってくる。その俺の鋭い眼光は故意でないにしろ、怯えるには十分だった。


それにしても彼女がこの状況をうまく飲み込めていないということは、俺の脳裏に映っていたのは.................


「それだけはやめろ。」
「!?!?!?!?!」
「!!!———————すまない。でも一瞬《《見えた》》気がしたから。それを言われると俺の何かが壊れそうになるんだ。《《前世から刷り込まれた》》ような哀しみとかが溢れ出てくるんだ。だから...........これ以上はやめてくれ。」
「才さん.................」
「このことは..............忘れてくれ。」
「ちょっと才さん!?」


パソコンを閉じ、棚にしまい、そして鞄を持って部室から出て行こうとした時にダイヤに放った言葉である。


「つい先日にも言ったが、真実を知ることが全て正しいなんて思うな。時には忘れなきゃいけない事実だって人間にはあるんだ。」





8時ごろの体育館は夏であっても闇が広がっていた。



—————————※——————————




「能天気に歩くのも違うよな———————————」


夜は俺を暗闇で怖がらそうと相変わらず試みているが、俺にそんなものは通用しない。いわば俺の存在自体が太陽より明るい白き恒星のようなものだ。そんな輝きが闇に屈するわけがない。

むしろ外的な闇には俺ほどの最大のアンチドーテ(解毒剤)のようなもの。しかしそれは《《見えなければ》》意味がない。うちに潜む闇ほど強い相手はいないし、それが強いものであればあるほどその影もまた強くなってしまうのだ。ちょうど月影が太陽を隠すように............


「まーさくん♪」
「っっ!!」


突然生ぬるい風のように俺の懐に入り込んだ可愛らしい声は、一瞬油断させるには足りるものだった。その一瞬を不覚と思った俺はすぐさま警戒して後ろを振り向く。


「って、何だルビィか。」
「驚きすぎだよ才くん。まぁこんな夜じゃ仕方ないか.............」
「別に夜が怖いわけじゃねぇよ。ただちょっとこの状況が状況だからな.............」
「そっか。そうだよね。」
「こんな状況での夜道でか弱いJK1人じゃ危険だ。俺が家までついて行ってやる。」
「うん!ありがと!」


俺は結構女性には硬派な方なのだが、どうにもAqoursの方々には少し《《影響され》》やすいようだ。千歌や曜然り、ルビィなんか可愛さの権化みたいな女の子だ。このルビィの輝かしい笑顔を目にして一言。この笑顔、守りたい。


俺たちは少し歩き、ちょうど黒沢邸の前に市民公園があったので、そこのベンチに座る。ルビィは近くにあった物置にもたれかかる。


「いよいよ花火大会明日だね〜」
「そうだな...........あれ?なんかこの状況どっかで見たことあるような——————」
「花丸ちゃん?」
「あっ、そうそう。前のゲリラライブの時に早朝に花丸とこんな話した——————って、何でルビィが知ってるんだ?」
「女の子の情報力は侮れないですよ?まぁこのことは本人から聞いたんだけど。」
「花丸がか..........意外だな。アイツがそんなこと言うなんて。」
「嬉しかったら女の子は言葉に出すんですよ?」
「え?」
「だから!女の子は言葉に出すんですよ?」
「そうなのか............」


鞠莉ならきっと『この鈍感!』とか言われそうだ。鈍感か..............そうあった方が幸せなのかもしれないな。


「そんなに喜ぶことなんてあったか...............?」
「素直な感謝は十分な喜びになる。」
「え?」
「女の子にとって実際に言葉に出してくれる方が嬉しい。だからきっと才くんは花丸ちゃんに言って嬉しい言葉を言ったんだよ。」
「そうか.........!精神医学と脳医学の分野で男性脳と女性脳の違いがそう書かれいたな。」


プロゲーマーを遥かに凌駕してるゲーム力の俺だけど、一応志望は開業医なのを忘れないでくれ。ここでどういうわけか俺は既に医師免許を取得できている。最近になって実技試験付きの医師免許予備試験が出来た。それの合格者は仮免許取得でき、一通りの医師業務はできることになっているらしい。分野も内科や外科から精神科まであらゆる予備試験があって、それら全て取得しているのは言わずもがな。ちなみに分野別平均合格率は僅か0.01%だ。

さて話を戻そう。その男性脳というのは人間を言葉よりも態度で見ることが多く、女性は言葉で見ることが多いということである。花丸の言うことというのはそのフォームにぴったりと当てはまっているのである。


「まぁ、あっちが嬉しいならこの上ないことだが.................」
「よくないです。」
「は?」
「ルビィには何もしないんですか?」
「何もしないって...........別に本意で花丸を喜ばせたわけじゃねぇけど—————」
「知ってますよ?才くん?」
「何を.........?」
「お姉ちゃんに壁ドンしてたの見ちゃいました♪」
「えっ............あっ!!」


さっきのことか..............そういえばそんな体勢にも見えなくはない————というかそれにしか見えないじゃないか。今更気づいた俺も冷静さを欠いていた。しかもそれを見ていたって............どうしようか。

というよりルビィってこんな娘だったっけ?もうちょっと臆病で繊細な人だと思ったんだが———————見たところアルコール・ドーパミン・アセチルコリン系などの興奮作用のある食物を食べたわけではなさそうだ。じゃあ正気のルビィがこんなことを............?できればダイヤにも忘れて欲しかったことだが...............


「もちろん写真は撮ってます♪」
「——————1人だけ特別扱いみたいなことがAqoursのみんなに知れるのは非常に困る。だったらここで終わらせた方がいい.............か。」
「さすが才くん!こんな時でも頭の回転は変わらないね!!」
「で?俺は何をすればいいんだ?今から俺がお前にできることなんてごくわずかだと思うんだが。」 
「じゃあ..........ルビィにも壁ドンしてください。」
「あぁ...........そう来るか。別にこれくらい苦にならねぇよ。」


ルビィがちょうど物置にもたれかかっているのがちょうどよかった。わざわざそんな場所に連れて行くなんて、人為的なことは俺は忌んでいる。

32cm下のルビィの目に集中する。ダイヤと同じ翡翠色の潤んだ目の奥に何が映っているのか。それは想像できないというより、したくない。そもそも俺がコレを恐れている時点でAqours全員にも———————そんなことは考えていても仕方がない。これが大事にならないことを祈ろう。もしなってしまった時はその時だが。



ドン!!



「明日のライブ頑張れよ。」
「——————っっ!!」


ルビィの顔は紅潮したのを確認して俺はこの公園を立ち去ろうと早々とルビィから遠ざかって行く。


「才くん!!これでがんばルビィできるよ!!」



後ろ目を少しやり、首を縦にして肯定する。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



少し時は進む。




「はっ。たっ。」
「はぁっ!」


交錯する黒とメタリックの拳。それぞれが普通の怪人ならば一発そのものが必殺の域に達している。戦いはほぼ拮抗——————傍観者からすれば、サタンサーベルを所持しているシャドームーンが有利なようにも見える。

だがそれは愚者であること極まりない。


「黄金のクウガならば私に勝てたかもしれない。しかし、制御できる通常のアルティメットフォームを選んだ時点で貴様の敗北は確定だ!!」
「どうかな..........?」
「何?」
「制御できない巨大な力よりも、使いこなせる伝説の力の方が強かったりするだぜ。」
「戯言を...........!!」


今の発言にイラッときたのか、シャドームーンは手に持つサタンサーベルをアルティメットクウガに向かって振り下ろす。しかし常人を遥かに凌駕している五感がその一斬を横に避けさせる。

ガラ空きになった背中に渾身の拳を叩き込む。その一撃にたまらずシャドームーンは地面に胴を打ち付ける。

近づいて攻撃しようとしたクウガであるが、不意を突いたサタンサーベルがクウガの体を2回斬り裂く。こちらもノックバックを喰らってしまう。


「どうやら口先ではなかったようだが...............所詮は不覚をとってしまえばそれまで。私を倒さぬ限りこの一帯からは抜けられぬ!!」
「お前を........か。本当にそうなのか?」
「何!?」
「たとえば————————こんな石とかね。」
「それは地の石!!まさか...............!!」
「俺も冷静さとか推理力には自信がある。この地の石の持つ悪意が俺を操っていたこの石がこの《《地帯》》の時空を歪めてたんだろ?」
「ぐっ..........」



どうやらアークが製作した地の石はクウガを悪意空間に捕らえただけでなく、その地帯の時間すらもねじ曲げてしまうようだ。だがそれも———————


「そうでないにしても、悪意の塊に同情の余地はないっ...........」


バキィン!!!


囚われていた心が吹き出すように、べっとりとこびり付いていた悪意が流れ落ちるように地の石は砕け落ちる。究極の拳の清き力は悪意を打ち払った。そう...........灼熱の太陽が雲を朱色に照らしていたのである。


「どうやら《《脱出》》は完了したみたいだな。あとは..............」
「キサマァァァ!!」
「《《手加減なし》》でお前を倒すだけだっ...........」


サタンサーベルで突こうとしてくるシャドームーンに、勢い良く手のひらを突き出す。すると天変地異でもありえないような横に寝かされた竜巻—————いや、風柱がシャドームーンの体を森から森へ、林から林へと一つの超高速海流のように流れて行く。

それにクウガからだいぶ離れていた3人のライダーも気づく。


「オイ、あれって..........!」
「間違いない!シャドームーンだ!虎太郎の技がアイツを吹き飛ばしてるんだ。」
「稜!空も!」
「ああ!夕焼けが見えるってことは迷宮状態が解除されたんだ。あの風柱を追っていけば外に出られる!!」
「よし!この王についてこい!!」
「おう!!」
「(調子いいな..............)」


沈みゆく太陽に虎太郎、そして他の3人も走り始めた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「よーし、その一帯にナイアガラの滝で頼む。」
「.........どうして私がこんなことをしなくてはいけないんだ............」
「愚痴ってないで働け!」
「痛てっ」


舞台のコーディネート最終調整のための筆を巨大スクリーンの上に乗っている祝の顔に投げつけ見事ヒット、もちろんキャッチもかっこよく。


「しょうがないだろ?竜介先生も虎太郎も魁も稜も戦ってるんだから。」
「全く、人使いの荒い我が主人だ。」
「才くん!」


祝との会話に集中していた俺に千歌が話しかけてきた。Aqoursのリーダーである彼女の呼び出しを無視するわけにはいかない。


「千歌?何か問題でもあったか?」
「いや、問題は.............特にないんだけど。」
「ないんだけど?」
「あの4人も間に合うかな?」
「..............」
「私、あの4人にも見てもらいたいの。ゲリラライブの時は見られなかったから。今度こそ、このライブはAqoursで.........みんなで創ったライブだから。だから.............『千歌』——————え?」
「それじゃあ観客のやることだ。生憎だが、俺たちは観客じゃないんだよ。」
「でも.........」
「俺たちがやってるのは魅せることじゃない。全ての人の心に届けることだ。だから、俺たちがどこにいてもお前たちの想いは心の中に刻まれている。俺たちが1番お前らのそばにいるからな。俺たちがどんなに離れ離れになったとしても、このAqours(この歌)を紡いでいるのはみんなおんなじだ。」
「才くん———————!」
「ゲリラライブが告知なら、このライブこそが俺たちの船出だ。さぁ始めようか.............俺たちの船出を。」
「うん!!始めよう!!」






未熟DREAMER





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




シャドームーンは山から飛ばされ、飛ばされ、何と狩野川河川敷まで飛ばされてしまう。その落下地点にクウガは誰よりも早くたどり着く。原子のプラズマ化の応用によって、プラズマ化に際して発生する反発力を使って飛行に近い能力でここまでこの高速移動が可能になっている。


「グハッ.........バカな...........」
「言ったはずだ。手加減してるって。」
「そんなバカな話があってたまるか!!」
「やれやれ...........」


シャドービームが再びクウガを襲うが、究極の力を得たクウガもとい手加減なしのクウガには直撃してもほとんど通用しなかった。逆にクウガの放つ電気光線はシャドームーンに直撃するとかなり効いた様子だった。

さらに瞬間移動で距離を詰め、ワンツーパンチ。サタンサーベルを振るうが瞬間移動で避けられ、背後にミドルキックを入れられる。


「まだこの力にもわからない部分はある。俺も.........あの人に及ぶには、まだまだ《《未熟》》か。」
「くっ........」
「未熟者が倒すにはちょうどいい相手だよ。お前は——————」
「調子に乗るな!!」


サタンサーベルがクウガの肩に落とされる———かと思いきや、瞬間移動はそれを許さなかった。気体を斬り裂いたようにその体は煙のように消える。



ドーン!!


花火が打ち上がる。まるで未熟である我々の船出を祝福し、背中を後押ししてくれるかのように。大空に咲く何輪もの花が今日だけは太陽よりも輝いて見える。

クウガはシャドームーンの背後に立って話し始める。


「シャドームーン。お前には聞こえないだろうな。」
「何?」
「この未熟DREAMERたちの歌がさ。ライブが見たいって言ったけど、やっぱりどっちでもいい。俺たちの心の中にはもう流れてるんだよ。すっかり忘れてたよ.............」
「何をブツブツと話している!!」
「いや.............独り言みたいなものさ。」
「これで最後だ!!————シャドーキッーク!!!」


緑色のエネルギーがチャージされたドロップキックをクウガに喰らわそうとする。その余剰エネルギーがクウガの足元にまで放電される。


「それはこっちのセリフだ————『新たな伝説を作るのは........俺だ』」


右脚に意識を集中させる。するとその意思に応じてエネルギーが炎のように燃え盛る。互いにエネルギーの余波が最後の一撃を待ちきれずにぶつかり合う。そして———————


ドカァン!!!


緑のドロップキックと赤の右脚キックがぶつかり合う。放出されたエネルギーも絡み合う——————が、これは仕組まれた茶番であった。

シャドーキックはクウガの体をすり抜け、地面に着地する。シャドームーンは背後に警戒するが時すでに遅し。


クウガのアルティメットキックはシルバーの装甲に封印エネルギーを打ち込む。シルバーの体はクウガの黒い肉体を反射することしか出来ず.............


「グワァァァァァァァ!!!!!!」


爆発にもクウガは動じずに背を向けたまま変身を解除する。この爆発音も花火の音だろうと勘違いされているだろう。



FIN



そんなちょうどいいタイミングに同じく変身を解除した竜介たち3人が虎太郎の跡を追ってやってきた。


「なんだもう終わったのかよ。」
「さっきまでが手加減してた。てか今もそうだけど。」
「逆に手加減しなきゃ街に被害が及ぶってことか............逆にうまく手加減できてる虎太郎の凄さが分かった気がするな—————」


稜が虎太郎を評価し、和んだ空気が流れるのも束の間。異質な金属音が聞こえると同時に4人は爆炎の跡に上がっている炎の方に注目する。


「貴様ら.........これで勝ったなどと.........思うな。」
「テメェ!まだ!!」
「いや、アイツからは気配が消えかけている。もって2、3分で消滅するだろう。」


魁の言葉に専門家の解説のような安心感を覚える他3人。しかしそれによってますますシャドームーンの言葉に注意が集まる。


「お前たちの言う絆とやらも.........希望とやらも..........輝きとやらも簡単に壊れるものだ。.................アーク様が定めた真理が絶対であり..............お前たちにそれは覆せはしない。」
「テメェ、さっきから何を!」
「まずはその下らぬ絆を壊してやろう。」
「「—————————————」」



















「この町の人殺しは——————伊口才だ。」








真夏の烈火が凍りつく。 
 

 
後書き
ヤンデレチックなルビィちゃん 
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