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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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57話 究極寡黙Dreamer






「もしもし?お名前よろしいですかー?」
『オハラエンタープライズ代表取締役社長 小原兆一郎です。』
「はいはい、0.000000000001%おじさんね(適当)何時ごろに電話ありました?」
『お前...........調子に乗るなぁ!!』
「そんなキレられてもデータがもう変わっちゃってるんで、サイトの利用料金を支払っていただくしかないんですよ。奥さんとかいらっしゃる人もいるんですけど、容赦なく動画のお金取りに来ましたって言わせてもらうんで。」
『伊口才ァァァァァ!!』


———————さて、冗談はここまでにしておこう。架空請求業者の真似をしてサウザーを挑発大作戦は見事成功に終わったようだ。いや〜マジで最近戦ってないから腕が鈍っちまうよ。サウザーがどっかに出没してくれれば、ストレス解消がてらにサンドバックになってもらうのに............とこれ以上言ってしまうと俺のアンチが増える。

フォローしておけば、今のところサウザーは俺たちの敵の中ではまだシステム上にポテンシャルを秘めている。そこを考えればタイマン張って勝てるのは同じポテンシャルの高い竜介先生、魁だけだろう。もちろん俺については話にしてはいけない。


「で?こんな夜中に何の用だ?つまらない用件なら本社ビルごとぶっ潰すぞ?」
『今日は君に朗報があってね..........』
「『竜介先生たちが帰れなくなった』...........そういう趣旨だろ?」
『相変わらずの推測の正確性には腹が立ちますねぇ。ですが、その余裕も今日で終わりだ——————』
「ふぅ.........(無視)」
『アークが彼らをエビルラビリンスに招待したのですよ。』
「エビルラビリンス?」
『別名 怪人の迷宮—————アークの時間操作によって方向がわからない上に時間の流れが現実の10分の1になる。この意味がわかるでしょう?』


そのまんまの名称だな.........もうちょっとマシなネーミングはなかったのか?


「なるほど。じゃあアイツらは真夜中の森の中をアイテムなしでしかも怪人を倒しながら進めと................」
『しかしこの迷宮からの脱出はどんなに早くとも1週間はかかる.........しかもその場にいる生物から無作為に怪人になる生物が選ばれる。』
「————————は!?」
『せいぜいそれで足掻くが
「馬鹿野郎!それを早く言え!!——————その情報のタレコミが一体どこからあったのか気になるが.........まぁいいか。」
『ちょっと待て!!———————』


プツッと糸が切れるように通話が切れる。『伊口才ァ!』とか言ってサウザーもキレてそうだ———————と、その前にとんでもない新事実が判明したことでいよいよ俺もあれの秘密機能をを投入せざるを得なくなったじゃないか——————!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「どうすんだよ!このままじゃ俺たちこの森から出られねぇぞ!!」
「落ち着け!どうせ騒いだって解決する話じゃないんだ。火にでも当たって考えよう。」
「だが冷静になって考えるほどに酷い状況になっていることをわかってしまうんだよ————————ん?」


ポケットの中に入っていたマキシマムマイティXがバイブレーションのように震え出したのに気づいて、魁はそれを実際に見てみようと手元に出す。するとあろうことかガシャットから飛び出すように形作られているエグゼイドのゴーグルからスクリーンが浮かび上がり————————


「「「才!!」」」
『どうやらとんでもないことがそっちで起こっていると聞いたが...........虎太郎はどうだ?アークの呪縛からできたんだろ?』
「ああ。だがこれまでのクウガへの強制返信からの疲れもあるのか、体の疲労が相当な量だ。だから今は眠ってるよ。」


稜が丁寧かつ簡潔に現状説明をする。その説明に才は表情を崩さずに淡々と聴いていた。そして独り森の中で呟くように話し始める。


『そうか............ところでその森についてのことなんだが。』
「おい才!どうすりゃいいんだよ!GPS?が使えねぇし、道路に出ようとしても森の真ん中だからわかんねぇよ!!」
『落ち着け落ち着け。やっぱりそうか............サウザーから煽り電話があった。アイツ曰く、それは電波妨害というより時間操作の副産物だ。』
「どういうことだ?」


聞き返す稜に対して、才は稜の持つスマホをモニター上から指を指す。


『稜、もう一度時計も確認してみろ。たとえ電波は切れても時間はそのまま動いているはずだからな。』
「今は———————20:00だ。」
『やっぱり.............今こっちは0:30だ。』
「え!?じゃあ時計も狂わせてるってことか?」
「魁、奴らはその森に流れる時間の速度を10分の1にしている。そっちでは30分の出来事がこっちでは5時間も経っているってことだ。」
「.................それって不味くないか?」
『不味いってレベルじゃねぇよ。俺がお前らと話せているのも10分の1のスピードで映像を再生しているからだ。それにもっとその倍率を下げてくる可能性だってあるんだ。そんなことをしてきたら最悪出てきた時には1000年2000年経ってるなんてことも—————————』
「じゃあ早く脱出を.............!」
「と言っても、出る方法がわからないんじゃ迷っておしまいってのがオチだ。」


前向きとは言えないが、魁は解決に向けたポジティブ意見を言った。しかしそれも稜の言った現実にかき消されてしまう。


「あぁ!!もうわかんねぇよ!!」
「竜介先生どこ行くんだよ。」
「どこって、どこでもだよ。」
『むやみに進んでも道に迷うだけだ。』
「でも行動しねぇとなんか落ちつかねぇんだよ!!あのシャドームーンって奴にも『シャドームーン!?!?』
『お前らシャドームーンに会ったのか!?』
「まぁ..........確かアークの忠実な僕とかどうとか——————」


語気を強めて話す才に圧倒され反比例して声の小さくなる稜。しかしそれは一瞬で、才はそこから何秒間のシンキングタイムに入ってしまった。


『——————確証はないが、もしシャドームーンがアークの代理として働いているなら、ここから脱出する方法はそいつを倒すことなのかもしれない。』
「なるほど..........でもアイツがのこのことやってくるとも考えずらいが........」
『そのためのリプログラミング機能だろ?このガシャットのリプログラミングは空間にも作用する............アークと正反対の存在の力も篭っている。それにこの初期化能力があればこの森に作用している力も容易に消せるだろうが———————』
「「「?????」」」
『俺ならその一帯を浄化できるだろうが、お前らじゃできな

「「「こんな時に煽りコールするんじゃねぇ!!!!!!」」」


3人は怒りのままにガシャットに装填されているエグゼイドの頭を叩く。もちろん映し出されていた映像は切れる。


「くっそ!!こんな時に煽りあがって...........!!」
「久しぶりにアイツと戦いたくなったよ———————!!!」
「でもまぁ、打開する方法は見つかったからいいだろう^^;」


たしかに唯一の打開策のお告げは受けられたのでよし。煽り文句と一緒にデメリットも告げられたのでここから本格的に作戦を展開していく。

そしてそれとともに———————


「おしゃべりはもう終わったのか?」
「虎太郎!!大丈夫なのか!?!?」
「アークルもアークから解放されたらしい。そうなれば、基本的には大きな怪我でも強化された治癒力でどうにかできる。」
「そうか............」


聴いた竜介及び他の2人も少しばかり安心する。だが..............


「それよりお前ら。もう来てるぞ。」
「え?どういう——————」
「10体...........20体かもな。」
「まさか..........怪人か!?!?」


魁の推測に無言で頷く虎太郎。その仕草を見てすぐに3人は腰にドライバーを巻く———————が、虎太郎が手出し無用のジェスチャーを送る。


「虎太郎?」
「悪い。俺にやらせてくれ。このくらいなら簡単に倒せる。」
「でも...........わかった。」


反論は諦め、才が言った空間の初期化を行おうとする。それを防ごうと暗闇に隠れた顔もわからぬ怪人はさらに近寄ってくる。が、虎太郎は前に立ちはだかる。


「アークと繋がったのは全てが悪いことじゃない。俺とアークルの親和性をより高めた。そして究極のクウガの力も——————」


下腹のあたりに両掌を翳す。すると普通のクウガに変身するアークルとは明らかに違う、黄金の姿のままで顕現する。右腕を勢いよく左斜め上に伸ばしスーッと右腕を左から右に高さを変えずに平行移動。右手もそれに合わせてスライドして左腰に平行に添える。そして—————————


「—————————変身。」


伝説の力がその体に流れる。ボディの色は漆黒。伝説の血の黄金の血は徐々にその漆黒の装甲を展開していく。そして一度は悪意に蝕まれ、暗黒に囚われたその瞳は再びその鮮やかな血のような赤を取り戻す———————この世界にいる誰かから受け継いだその伝説の力はその本来の力は皮肉にも善意と悪意両方によって目覚めた。











仮面ライダークウガ アルティメットフォーム。








「——————————フッ。」


聖なる炎は蠢く得体の知れない怪人を焼き尽くす————————




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「アークの意思のままに..........」
『滅、お前に滅亡迅雷の新たな仲間を紹介しよう。』
「ついに——————」


神のように奉られたアーク本体が妖しく光ると、継ぎ接ぎだらけのボロボロのフードを被った青年型人工知能を召喚する。そしてアークの赤い輝きと同期するようにその青年型ロボットの目も光る。


「アークの...........意思のままに。」
『お前は滅亡迅雷.netの《《迅》》。これからワタシの復活及び人類を滅亡させるために活動してもらおう。」
「人類滅亡............!なんだかおもしろそうだね!!」
『滅、迅にこれまでの戦闘データをラーニングさせろ。お前が迅を育て上げろ。これはお前の恒久の任務だ。』
「了解した。」
「じゃあよろしくね!!滅!!!」
「ふん............」


滅は少し疑問に思う。なぜこのような無邪気なロボットがシンギュラリティを迎えやすいとアークが判断したのだろうか?少し間違えれば迅は人間の子供と言っても差し支えないような存在だ。人間らしいというのがシンギュラリティなのだろうか................しかし、命令は絶対だ。


『伊口才と他の4人を切り離した。我々の作戦は第2段階に入る。全てはワタシの予測通りの結論に至っている—————————1人を除いて。』
「エグゼイド................」
『だが第2段階でその均衡も大きく崩れる。伊口才の弱点を突き、我々滅亡迅雷.netの勢力を盛り返す。』
「滅、エグゼイドって強いの?」
「ああ。少なくとも現時点では誰も勝てないだろうが...............戦闘パターンは極めて限られている。弱点を突けばいずれ我等が勝利する。」
「楽しみだね♪」


『そうだ...............悪意の饗宴はもう始まっているぞ。伊口才。お前を迎えに行くまで楽しみに待っていろ。』



悪意ある笑い。嘲笑する声は今もアークの本体に反響し続けている。




————————※—————————




メラメラと燃え盛る凄まじき炎。それを操るのは漆黒のボディをその身に纏し清らかな戦士。防御不能のその炎は300体余りの怪人を燃やしただろう。

その隙にダークキバは突き刺したキースラッシャーから出るマキシマムマイティXの一撃でで一定範囲のリプログラミングを実行する。そして再び移動する。アルティメットクウガの自然発火攻撃と合わせての繰り返しを10回くらいは行っている。


「だいぶ夜空が見えるようになってきたな!この調子で脱出するぞ!!」
「稜、あれから何分ぐらい経った?」
「才と話してから大体4時間ほどだ。おそらくあっちじゃ40時間ぐらい経過だろう。」
「40時間か............あっちではほぼ2日間ってことか——————」
「——————ライブに間に合うといいな。」
「虎太郎.........!」


漆黒のクウガの仮面の下の虎太郎から放たれた意外な言葉に3人は少しばかり肝を抜かれる。


「————————長い間戦えなかったから今回少しでもライブに貢献しようと俺にできることをやらせてもらった。今回のステージの様体は才と俺で作った。その上で踊る俺たちのAqoursを見届けたくてな。」
「お前にしては珍しいこと言うじゃねぇか。それ聞いたら俺もそのライブを余計に見たくなっちまったじゃねぇか!!」
「竜介先生に同感。」
「同じくだ。」


竜介に続いて魁と稜がその希望、願望は自分たちも同じであると共有する。


「——————どっちでもいいけど。」
「とか言って、本当は嬉しいんじゃねぇのか!?」
「別に。それより早く次に行くぞ。」
「それもそうだ。竜介先生、魁。早く行くぞ。」
「言われなくてもそのつもりだっつーの。」
「そもそも一番最初に早く行くぞ的な話始めたのは俺だ。それを無理に伸ばしたのは竜介先生だ。」
「あぁん?んだと!?」
「あーはいはいはい。わかったから。先行くぞ。」


竜介の怒りをすんなり、飄々と躱す魁。先ほど言ったようにもはや一刻の猶予もない。こちらの10分が外の世界では100分であるのだ。外は今、ライブの前日の深夜。タイムリミットは着々と迫っているのだ...............




しかし運命はすでに《《そうなる》》ように操作されていた。



「ここから先は行かせん!」
「シャドームーン————————ようやく現れたか..........!」
「待ってたんだ!お前を倒せばこの迷宮から抜け出せると王の直感が働いてな。だからこそわざわざお前が焦るような行動をしていたんだ。」
「貴様ら——————!!だが、この私を倒さなければお前らがこの森から出ることはない!私をそう甘く見ない方がいいぞ。」
「コイツを倒せば———————ん?」


躍起になるクローズの前をアルティメットクウガの漆黒の腕で遮る。


「———————コイツを4人で倒すのと、1人で相手をして3人でリプログラミングを続ける。後者の方が圧倒的に効率的だと思わないか。」
「虎太郎、お前.............わかった。魁、竜介先生。先に行くぞ。」
「お、おう!!」
「そんなことを易々とさせてたまるか!!」


3人の行く手を阻もうと緑色の光線 シャドービームを放つが、時同じくしてアルティメットクウガの手から出る雷がそれと相殺する。


「アークルと俺は精神的にも繋がっている。さて...............今までの借りをお前を倒して返させてもらう。」
「アーク様の依り代として働いておけば良いものを、わざわざ苦しんで死ぬことを選ぶとは。」
「死ぬ気はない。当然、人類滅亡なんてもっての外だ。俺は——————姉さんたちが作った笑顔と未来をAqoursに繋ぐために。俺のために戦う。昔から............《《そんな人》》を見てきて、決めたんだ。」





彼こそ……1人の者なのだ。





 
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