| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

11話 顕になるEnemies

 
前書き
「前回の、ラブライブ!サンシャイン!!」
「堕天使キャラをどうしても忘れられない善子。」
「千歌ちゃんは善子ちゃんにAqoursを堕天使スクールアイドルにすることを提案する。」
「でもダイヤに大目玉を食らってやめないといけなくなる........」
「堕天使キャラを隠そうと決心する善子ちゃんに千歌ちゃんは自分が1番輝いている姿を見せることが大事だと善子ちゃんを説得。」
「ついに堕天使がスクールアイドルに入った瞬間である!」
「どこかの預言者みたい.......,」
「そして陰謀が始動する—————-」 

 
「—————ったく、何で朝っぱらからこんな所に連れてこられなきゃいけねぇんだよ。」
「文句言うなよ。居候させてもらってる分際で。」
「くっ————それを盾にされたら何も言えねぇんだよ...........」


俺と虎太郎は、内浦漁港の朝市に買い出しにやってきたのだ。そして丁度買い終わり、絶賛帰宅中なのである。今は6時半で起きたのは何と4時半なのである。

ちなみに俺が寝床についたのは2時のことである。—————そう、最近は睡眠時間が極端に低い。オールする日も珍しくはないが、対して調子は悪くならない。寧ろ脳も身体も意識もハッキリして、10時間睡眠したぐらいには調子がいい。


「それにしても多すぎないか?————ブリにマグロに貝柱とかetc......」
「仕方ないだろ?多い方が料理ロボの選択の幅が広がるってもんだ。」
「いやでも中型魚を1匹買うのはおかしいだろ。」
「だから選択の幅が広がるから.......」
「それを理由にこの荷物を持たせることにはならない。」
「ぐっ—————てか俺も持ってるじゃん。」
「お前が持ってるには貝類だけだろ?こっち見ろ。————ブリとマグロの二刀流だからな?」
「見栄え良くないか?」
「そんなことを聞いてねぇんだよ。—————てか竜介先生も連れて来ればよかったじゃん。」
「もしかしたら怪我が完治してない可能性があるだろ?いつでも戦えるようにしてもらわないといけないからな。」


「まぁ........仕方ないか。—————ところで新しい部員が入ったんだろ?」
「ああ、津島善子っていう厨二病の困ったちゃんだけどこういう個性がAqoursには必要だからな。」
「部員もこれで6人か..........かなり増えてきたな。」
「μ'sは9人だったから—————あと3人ってか?」
「それに則るならしかも3年生だな。」
「うーん、3年生でアイドルを目指すような人間は———————居るっちゃいるけど.........」
「だけど才、仮面ライダーの方も油断はできないぞ。」
「ああ————サウザー..........アイツは要注意だな。ただでさえ多業種企業の社長だからな。それに、あの言い草だと大きな目的すら感じられる。」
「あの仮面ライダーサガも気になる。——————アイツに至っては自分を王と自称してるからか、他人の命も平気で奪う奴だ。下手すりゃスクールアイドル部の関係者だって...........」
「怖いこと言うんじゃねぇよ!——————でも、そんなことは俺たちがさせない。」
「ああ、最善を尽くそう。」


新入部員の話から一転、急にシリアスな話へとその姿を変える。誰もがそんな話を嫌うだろうが、でも仮面ライダーという使命を請け負ったからにはやらなきゃいけないことだ。スクールアイドル、大切な人たち、人々を守るために—————


「そういや、お前新しいアイテム作ってるよな?」
「え、何で知ってるんだよ!?」
「お前の機械いじりの音が結構な時間なってたからな?」
「まじか.........睡眠を妨害するつもりじゃなかったんだけど......,」
「いや別に大した音じゃないよ。お前こそちゃんと寝てるのか?」
「多少は寝てるけど........」
「ちゃんと寝ないとお前こそ怪我するぞ、生身まではムテキじゃないんだから。」
「————それがさ。最近、疲れとか全然感じなくなったんだよな〜」
「それって...............いや、やっぱりいいや。」


何かを言いかけようとした虎太郎だが、腕を引っ込めるように話題を取り下げる。俺はそれが何かを知りたいという気持ちもあったが、虎太郎が話題を下げるということは知れば、俺にとって不利益になるということなのかも知れない。—————世の中には知らない方がいいこともあるのかも知れない。


「もうあと1日2日あれば完成するから、安心してくれ。」
「それ終わってもお前ゲームするだろ?」
「今俺の中ではパズルゲームブームが到来してるからそれは致し方ないですな。でももうじきノックアウトファイター2が発売されるから、そっちに切り替えかもな。発売されたら対戦相手になってくれよ〜」
「気が向いたらやってやる。気が向いたらだけど。」
「ん?—————パズル.........格闘............これはもしかして..........ベストマッチじゃないか!?————よし!新しいガシャットのモデルはこれで決まりだ〜!!!」
「オイ!急に走り出すなよ!!!」




虎太郎との距離がどんどんと離れてゆく。気分が高揚しているからか、今日は一段とスピードが早く感じる。もはや、その速さは自分でも速度違反の車に負けないのではと思ってしまうほどであった。つまりは前方にも後方にも盲目的なのである。












ここで人が急に出てくるなんて微塵すらも頭になかったのだ...........






ガツン!!!








前方から突如現れた物に頭を打つける。前を見ずに走っていた子供の末路にはふさわしいのかも知れない。—————だが、普通の子供とは辿る運命が違っていたのだ。 そう、虎太郎には見えていた。中肉中背の男が飛び出すと同時に、俺の頭を蹴って止めたという現象を。


「痛てて..........ごめんなさい、あまり前見てなかったので........」
「全く.........落ち着きのない青二才が。」
「いやアンタが頭を蹴ったんだろうが。」
「仕方ないことだ。」


ピリリピリリ


時計が知らせる反応。それは仮面ライダーに関係すること。それがこの人物が現れてすぐに鳴るということは、この人物が仮面ライダーか怪人の変身者であることに間違いがないということを暗に示している。


「時計が—————アンタ何者だ?」
「場合によっては、ここで戦うことになるが.........」
「私が何者かなど教える必要はない。—————が、これから関わることもあるかも知れん。私の名は—————




《center》黒澤天青という者だ。」《/center》








「黒澤...........」
「—————お前らの知る黒澤ルビィとダイヤの父親だ。」
「町一番の権力者に仮面ライダー反応があるってのは見過ごせないな。」


黒澤家当主の黒澤天青。—————視界が徐々に正常を取り戻したのと同時に彼の言う事が現実味を帯びてくる。実際、彼の着ているのは和服——————明治時代の高位な奴が着るであろう和服姿。

髪の色も黒澤家特有の天青石のような透き通る色。瞳はまさしくそのエメラルドそのものであったのだ。


「アンタが仮面ライダーか、はたまた怪人かは知らないが今なら忙しいことと何も悪いことをしていないという口実で許してやる。」
「黒澤家当主の誇りにかけ、許しを乞う気など更々ない。」
「困ったな.........今俺は本調子じゃないのに.......」
「—————これは.......これを受け継いだ私の義務だ。そして————我が娘たちの将来のためでもあるのだ。」
「「??」」


≪ドライバーオン! ナウ!≫




左手に装着されていた指輪を腰付近にかざす。————赤い淵の手形が骨盤付近から顕現する。そしてその手形を反対側へと移動する————





≪シャバドゥビ タッチ ヘンシーン!シャバドゥビ タッチ ヘンシーン!≫





特殊な待機音と同時に、左手に付けられた黒い、金色の宝石を天に掲げる。その色はまさしくナイトメア。さぁ今こそ————
















≪チェンジ! ナウ!≫






黄金の魔法陣に包まれる威厳者。——————そして黒い甲冑を纏う、戦士............というよりも魔法使いと言った方が正解なのかも知れない。そう、彼こそは仮面ライダーソーサラー。何百年もの昔から伝えられてきた伝説の石、宝石によってその姿は現実へと来訪する.........









「さて..........行くぞ!」
「ちょっと待てって!!」





≪コネクト! ナウ!≫


魔法陣から取り出されたのは薙刀。————ただ、普通の薙刀とは少し造形が違う。刃と柄の接着部分にドライバーと同じような手形のマークが付いている事がまずは、確認できた。

薙刀を取り出したと同時にようやくと立ち上がった俺に、突きをお見舞いする。 ここでこの薙刀を喰らえば、命が危ないという考えを何度も頭をよぎりながら、それを避ける。

ソーサラーは俺に恨みでもあるのか、続けて俺に薙刀を振るう。

俺はそれを間一髪で避け続けているが、いつまでその奇跡がいつまで保つかもわからない—————


「変身!」

虎太郎はクウガの装甲を纏い、ソーサラーの視点を俺からクウガへと向けさせる。


「お前は少し頭を冷やしてから参戦しろ。————混乱状態で参戦しても足手まといだ。」
「ああ、そうさせてもらうよ........」


虎太郎からの忠告を守って、虎太郎が置きっぱなしにしておいたマグロとブリを特大袋に入れ、土に触れないようにする。そして俺が持っていた品物と一緒に県道の脇に添えておく。

クウガマイティフォームのパンチを薙刀で受け止める。拳をその薙刀で下方へと持ち込む。バランスを崩したところに、薙刀による鋭い一撃がクウガを襲う。後退したのを追い打ちするかのように、突きを入れる。

≪エクスプロージョン! ナウ!≫


右手を空気に押し出すようにかざすと、クウガの至近距離に魔法陣が現れる。——————魔法陣から突如、大爆発がクウガへと伝えられる。


「ぐっ————やっぱり一筋縄じゃ行かないよな.........」
「虎太郎、これ使え!」


俺が投げたガシャットを虎太郎は見事キャッチ。—————渡したのは『タドルクエスト』のガシャット。普通はゲーマドライバーを使って変身するが、そうでなくても「使用」はできる。このように————


≪タドルクエスト!≫


「超変身。」


ガシャコンソードをガシャットを持ったことで召喚する。————その剣は姿を大きく変えて、クウガもまたその姿を紫へと変化させる————仮面ライダークウガ タイタンフォーム。



ガチャンという音を立てながら、薙刀が振り下げられる。だがタイタンフォームの装甲は並大抵の攻撃を軽々と防いでしまう。

攻撃を防がれた隙をタイタンソードで薙ぎ払う。その一撃を見透かしてか、ソーサラーは華麗に距離を取る。クウガはタイタンソードを振るう。何振りか空振った後に一撃がヒットする。


「ぐっ........やはり慣れないか—————では、これはどうだ!?」
「!!!」


≪エキサイト! ナウ!≫


薙刀に宝石をスキャンする。————と、薙刀が筋骨隆々になったかの如く膨む。

隆々な薙刀をクウガへと振るう。すかさずタイタンソードで受け止めると思いきや、打撃があまりに強すぎたが故にタイタンソードと行動を共にしてしまう。

隙が生まれたところを装甲に攻撃をもろに喰らってしまう。


≪ブラスト! ナウ!≫


さらに魔法陣からの衝撃波によってクウガの体は県道の端へと追いやられる。無論、防波堤にぶつかって海にドボンはしていないのだが。

ソーサラーは薙刀をクウガの面前まで突きつける。


「まだまだだな。—————いくら私が初めて仮面ライダーに変身したとはいえ、年齢も違えば戦闘経験もまた違ってくるものだ。」
「ぐっ——————」
「そうかな?—————とも限らないぜ?」
「何だと?」






≪パッカーン! ムー!テー!キー! ハイパームテキエグゼーイド!≫





黄金の無敵装甲を即纏った俺は、ソーサラーに飛び蹴りを喰らわす。流石に場外からの参戦は完全に虚を突かれたのか、防ぐことは出来なかった。

続けて横蹴り、ライトパンチ。

虚を突かれたことで防御はかなり薄くなった。今が攻撃を喰らわせる絶好のチャンスだ。————そのことを考えながら連撃を喰らわせる。

薙刀による攻撃を一撃ほど喰らうが、太刀筋が甘くなっているのと自身が無敵であるためにあえて喰らっておく。—————尚も連撃は止まらない。

だが—————少しばかり攻撃が強すぎたが故に距離が少し離れてしまう。



離れたソーサラーは変身を解除し、元の人間に戻ってしまう。

生身の人間を攻撃することができない俺たちは、仕方なく変身解除する。





「今日のところはここまでとしようか—————」
「許しは乞わないと言ったお前はどこに行ったんだよ...........」
「誰も逃げないとは言っていないがね。」
「—————お前は.........何がしたいんだ?」
「ルビィを解放することだ。」
「解放—————?」
「ああ、そうだ。」
「アイツは————スクールアイドルが大好きだ。スクールアイドルになることはアイツの夢だ。親ならスクールアイドルになる夢を応援してやれよ!」
「—————我が黒澤家の大事な娘だ。それをスクールアイドルなどという邪に染めさせるわけにはいかんのだ!」
「スクールアイドルは邪なんかじゃない!!」
「高貴な我が一族の汚れは私が許さん。——————その判断はお前らが決めることではない。」
「オイ、待てよ!」





≪テレポート! ナウ!≫





2つの魔法陣に挟まれる形で、黒澤天青は姿を消した。—————残ったのは砂が辛うじて付いていない魚介類だけであった..........






—————※—————






「全く————朝から酷い目にあった。」
「仕方ないだろ?仮面ライダーが現れることなんか完全に想定外に決まってんだろ。」
「いや、そもそも俺を連れて行かなきゃ良かった話じゃねぇか。」
「ぐっ————」
「てか、早く食べちゃいなよ。————十千万のモーニングは冷めたらおいしさ半減だよ?」
「ああ————これが終わったら..........:.よし、食おう。」





あれから荷物を俺の家に送り届けた後に、十千万にモーニングを食いに来た。毎日飽きない日替わりなのもこの旅館のいいところだ。
ちょうど曜も遊びに来て、千歌も現れて—————で今に至るわけだ。

そして、先ほどプログラムしていたものは——————秘密兵器であるが故、教えられない。





「ところで千歌、作詞はちゃんと進んでるのか?」
「ギクッ!—————それは......まぁ、ぼちぼちというか......,順序通りというか........」
「あんまり遅れると梨子に怒られるぞ〜」
「ううっ、梨子ちゃんの怒りはダイヤさんの次ぐらいに怖いよ.......」
「なんかフラグ立ってない?」
「曜、メタいこと言うな。」





今、梨子はつい先日に作成された詩を作曲中であるが故にここに来る可能性は極めて低いだろう。————ただ、フラグ回収というものがある以上少しばかり戦慄してしまう。





「それより—————最近仮面ライダーとか怪人に遭いすぎじゃない?」
「しかも才くんが仮面ライダーになったぐらいから............」
「いや、才君が浦の星学院に入学してからじゃない?」
「確かに〜」
「そうだね〜」
「お前ら.......................俺に内浦から出てけってのか!?!?」
「べっつに〜」
「そんなこといってないけど〜」
「ぐっ—————」




うっぜぜぜぜぜぜぇ!!!!!!!!何かめっちゃ腹立つんだけど!?読者の諸君は俺がどんな状況かよくわからないかもしれない。端的に説明するならば、曜と千歌に弄ばれていると言った方がいいだろう。しかも俺が怒りを露にしたら、そっぽを向く。—————妙に演技してる感が余計腹立つ..........





「やっぱり才くんは昔のままだね(小声)」
「作戦成功でありまーす(小声)」
「お前ら..........」



「オイ、才。それより先に仮面ライダーソーサラーのことについてだ。」
「あ、ああ。だけど話をするにも未確定部分が多すぎる。—————戦闘力もアイツの使う魔法次第だ。場合によっては、今までで1番手強いかもな.........」
「————ルビィちゃんとダイヤさんのお父さんなんだよね?」
「...........ああ——————」
「才、たとえそれが仲間の親でも。俺たちに敵対する以上、戦うことは避けられない。—————わかってるよな?」
「もちろん————いざとなったら........」
「——————そんなに悪い人なのかな?」
「?」





千歌から発せられた言葉。——————薄々感じていたが、それを気にしていては何もできないと思い込んでいた。けど千歌はそんな俺の決めつけた固定概念をあっさりとひっくり返した。これこそ、千歌の本質なんじゃないだろうか?





「ルビィちゃんをスクールアイドルから引き離そうとしてるのは、ルビィちゃんの将来を考えてるからだと思う。—————でも、ルビィちゃんのことを想ってるのは私たちも同じ。ただスクールアイドルに対する気持ちがズレてるだけなんだよ。」
「————要はヴィランじゃなくてエネミーってわけか...........」
「だから.........」
「千歌、お前の気持ちはよく分かった。けど敵対する以上それは仕方ない。黒澤父は明らかに俺たちと戦うつもりなんだよ。」
「そっか.........」





そう、今は千歌にスクールアイドルに集中してもらいたい。こっちの世界には極力介入しない方がスクールアイドルにより専念できる。ただ、理解してくれればそれでいいんだ。





「よし、くよくよしたってしょうがない。まずは行動しよう!」
「ハハハッ、曜らしい結論だな。」
「そうだね!まずはやらなきゃ何も始まらない!」
「——————で、結局何をするんだ?」
「「「...............」」」






まずは................何をするかを決めなきゃな?




—————※—————





「そんな格好で地上に上がったら道が激おこぷんぷん丸だよ?」
「それは流石に無理があるんじゃない?」


—————鞠莉、それはいくら何でも無理があるだろ.........

俺、伊口才は今盗聴中である。かと言って、盗聴器を使っているわけじゃない。正確には鞠莉と果南が出会した場に俺が通りかかって———————で今に至る。

実際、果南と鞠莉に関係性があったことに驚き桃の木山椒の木だ。だからこそ、この関係性を握ることは全てを暴くのに繋がるかもしれない。


「————廃校になるの?」
「そうよ—————でも、そんなこと絶対にさせない。」
「—————じゃあ、やっぱり鞠莉のお父さんが............」
「ええ、パパはあの学校そのものが悪い。障害物だって言ってるわ。————私の説得なんか、聞く耳すら持ってくれなかったわ。」
「そっか...........」
「そのためには力が必要だから————もう一度果南の力が欲しい。」


鞠莉が持っているのは『復学届』と書かれた書類。休学中の彼女を浦の星へとよりを戻す書類だ。—————涙か汗か海水かも分からない滴が彼女の頬を伝って県道へと落下する。


「本気?—————2年前のこと忘れたわけじゃないよね?」
「私は果南のストーカーだから。————そのためなら何だってする。彼も必ず戻ってきてもらう。」
「——————」


2年前のこと?—————2年前に何かあったのか?もしそうだったとしたらその背景には必ず小原と黒澤が関わってる筈だ。それに彼って———


『何をしている!?』


南国の植物に隠れていたつもりであったが、それを何者かに目をつけられて勢い良く蹴られる。————何かを感じ取ったことで、ほんの少しだけ早く防御態勢を取ることができた。


「痛てて—————誰だ!?」
「姉さんの話を盗み聞きしているのは誰かと思えば————また会ったな。仮面ライダーエグゼイド。」
「その声—————お前は!!」
「俺の名は小原魁————またの名を仮面ライダーサガ。」
「—————お前が.........」


彼の発言から察するに、小原家の長男であり鞠莉の弟なんだろう。王と自称するのもまた、小原家の跡取りだと考えれば辻褄が合う。容貌も鞠莉とは違って髪色は黒。瞳も茶色といった、いかにも日本人らしい風貌だ。とてもハーフであるとは察し難いが、整った顔立ちであることは鞠莉の弟であることの証明になるだろう。


「王の判決を言い渡す——————死だ!」
「困ったな...........盗み聞きしただけでこんな大事になるなんてな.......」


彼の持つリコーダ型の武器が見え隠れする中、彼の左手のシンボルが俺に突きつけられる。—————これから逃げ切れた怪人などいないのだろう。

変身する気配は感じられない————-ということは、生身で戦うってことか?それならばとポケットに忍ばせた『マキシマムマイティX』の起動ボタンをスタンバイする。————-


「ふん!」
「はぁっ!」


ガシャコンキースラッシャーを咄嗟に召喚して、ジャコーダーの触手を防ぐ。








最強ゲーマーと王者との激突が開始した————————



〜〜〜〜〜〜


「やるな!————さすがは王を名乗るだけはある。」
「お前こそ、この俺に刃を向けるところまで来たのはお前が初めてだ。」


生身での戦闘。こんな経験は初めてだ。だがこんなフェアなゲームもまた—————面白い。


俺のキースラッシャーの銃撃もジャコーダーが捉え、防御する。勝負はほぼ互角、拮抗している。

ブレードモードで斬りかかるがジャコーダーが剣状に変化して相殺する。両者とも力でごり押そうとするためか、ついに少し距離が空いてしまう—————これを変身する機会と思わないことはない。


「サガーク!」
『させるか!!』
「「!?!?」」


突如発せられた声の主は、クウガ——————ペガサスフォーム。

魁の元にやってきた円形の生物(?)がやってきたところを狙撃準備が完了した状態での発声だった。確かに先に俺の変身が大きく遅れていたら、俺の体はジャコーダーに貫かれていたかもしれない。それを鑑みれば、その選択は最適と言えるのかもしれない。


だが—————







『そうはさせないよ。』
「何!?————————うっ!」

≪ジャックライズ!≫


背後に現れたのは予想もしなかった——————仮面ライダーサウザー。唐突ながらジャックリングを引っ張り、その液晶を緑色へと染める。

抽出される痛みというのは、特大注射器を刺されるほどの痛みなんだろう。全身感覚を研ぎ澄まされているペガサスフォームならそれがダイレクトに伝わるだろう。


「ぐっ—————何を..........」
「ペガサスフォームのデータを頂きました。」


≪ JACKING BREAK!≫


サウザンドジャッカーを槍のように空気に突き刺す。—————すると素は緑であったであろう弾丸がサウザンドジャッカーの先端部を切り取ったかのような紫色の弾丸が高速で発射される。

その紫槍はペガサスフォームの体を大きく抉り、その装甲を解かせるまでに追い込んだ。

≪OHARA ENTERPRISE ≫


自社の宣伝をいついかなる時も忘れることはない。————自社コールは一種の勝利宣言でもあるのだろう。


「ぐ———————」
「虎太郎!大丈夫か!?」
「さすがは古代の力—————私レベルになれば、ここまで威力も増強される..........」
「お前がジャックできるのはプログライズキーだけじゃないのか?」
「最初はね。—————だが、サウザンドジャッカーもまた私への100兆%適合とともにこちらも機能を100兆%アップさせてもらった。」
「うん—————ちょっと何いってるか分からない」
「父さん!—————なぜエグゼイドとの戦いを邪魔するんだ?」
「今戦うのは完全な想定外—————王とはいえ、親である私の命令にも従ってもらう。今は退くんだ。」
「くっ————」
「オイ!待てよ!」


≪ジャックライズ! JACKING BREAK!≫



凍える冷気で自分たちをベールのように包み、何処かへさってしまう。フリーズしてしまいそうな冷気は同時に俺たちの行動を阻害するのにも役立っていた。


「チッ—————逃げられた...........」
「そうみたいだな。——————でも、余裕はまだまだあったな。」
「ああ、むしろアイツが足手まといだって感じだったな。—————帰るか............」


転がっていた虎太郎に手を差し伸べる。起き上がった虎太郎と共にだらだらと続いている県道をまったりと帰っていくのだった..........

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧