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星河の覇皇

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第八十一部第三章 無関心でいられる訳その八

「戦局がわかってきたわ」
「どちらの国が勝つか、ですか」
「ええ、オムダーマンよ」
 こう小柳に述べた。
「あの国が勝つわ」
「今日の勝利は大きいですか」
「流れが変わったわ、政治のそれがね」
 サハラの中のそれがというのだ。
「この度の勝利で」
「そうなのですか」
「これまでは拮抗していたけれど」
「オムダーマンにですか」
「一気に流れが変わったわ、戦争もまた政治で」
 それでというのだ。
「その流れはね」
「首相は、ですね」
「わかるわ」
 こう言うのだった。
「はっきりとね」
「流れがオムダーマンに傾き」
「そしてね」
「その流れのままですか」
「あの国がサハラを統一するから」
 だからだというのだ。
「それを見越してね」
「在留日本人、大使館員の移動をですか」
「させた方がいいわね、ただ」
「はい、サハラではです」
 小柳は伊東にすぐに話した。
「常にです」
「首都には安全圏、居留区というかね」
「連合各国、マウリアの大使館及び在留市民の居住区域があり」
「そこは安全圏とされているから」
「余程悪質な政権でもないとです」
 他国の、それもサハラではない国々の人間がいる地域はというのだ。
「攻撃しません」
「そもそもね」
「ですがそこから外出している市民にですね」
「注意喚起、警告をしてね」
 その様にしてというのだ。
「そのうえでね」
「出て行かない様にですね」
「してもらうわ」
「その様にしますね」
「時が来ればね」
「わかりました、それでは」
「趨勢が読めたなら」
 それならというのだ。
「時が来た時は」
「すぐに動きますね」
「その瞬間にね、時を見て動くことも」
 それもまた、とだ。伊藤は小柳に話した。
「政治よ」
「首相がよく言われていることですね」
「そうよ、まさに政治はね」
 それはというのだ。
「時を見てね」
「そうして動くものですね」
「その通りよ、若しそれを見誤ると」
「国益を損ねますね」
「しかもそこに」
 伊東は小柳にさらに話した。
「二つの要素が加わるわ」
「先の先を見てしかも広く」
「そう、視野はね」
「それが重要ですね」
「そこを見誤るとね」
 そこからは言わなかった、国益を損ねてしまうと言うことは同じになってしまうからだ。それで伊藤は言わなかったのだ。 
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