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矢澤にこ、結婚!!!!!!

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矢澤にこが結婚するおはなし

 
前書き
にこ視点です。 

 
私、矢澤にこ! μ's終了後事務所に入り大人気アイドルにこにーとして大活躍してたの。μ'sの時の人気もあってまさにトップアイドル! 宇宙No.1アイドルと言っても過言ではないくらい売れたわ!
そして今……
 
 
『えぇー!? お姉さまがアイドルを辞める!?!?』
「コラこころボリューム抑えて!!」
『す、すみませんお姉さま!』
 
 
そう、遂にアイドルを引退することにしたの。今それをまず次女のこころに電話で連絡してるところ。
 
 
『そ、それで一体どうして辞めてしまうんですか?』
「私ももう28だからね〜そろそろ厳しいんじゃないかって周りもうるさくてさ。ほら、虎太郎もアイドル続けるの反対してたし……」
『なるほど……』
「と言うことで! スーパーアイドルにこにーはスーパー女優矢澤にこに転向します!」
『えぇー!? お姉さまが女優に!?!?』
「こころボリューム抑えて!」
『す、すみませんお姉さま!』
 
 
いちいち面白いわね。正式にはまだ発表してないからまわりにバレたら困るんだけど。
 
 
『これからもお姉さまの活躍を見ていられるなんて嬉しいです!』
「こころ……」
 
 
いきなりの転向、受け入れてもらえるか少し不安だったけど応援してくれるみたいでよかったわ。
 
 
「という訳で久しぶりに今晩帰るから。ここあと虎太郎にもよろしくね」
『了解ですお姉さま! ではまた後ほど!』
 
ピッ
 
「ふう」
 
 
通話を終えスマホをしまう。
 
最近忙しくてあまり帰れてなかったから嬉しそうだったわね……まぁ私も久しぶりに会えるの楽しみなんだけど。
 
 
──────────────
 
 
「ただいまー」
「おかえりなさいませ!」
「会いたかったよ姉さ〜ん!」
「ちょ、いきなり抱きつくんじゃないわよもう」
「ここあ! お姉さまは長旅で疲れてるんです! 迷惑かけてはいけませんよ」
「ちぇ〜」
 
 
帰宅。みんなに出迎えられる。ここあったら私にベタベタなんだから。こういう時しっかりもののこころは頼りになるわね。
そして虎太郎は……
 
 
「ねぇちゃん聞いたよ。アイドル辞めて女優になるって……」
「虎太郎」
「やっと分かってくれたんだね……!! アイドルは勘違いオタクとか厄介とかがいるから危ないって事……。女優も少し心配だけどアイドルよりはマシだよね、嬉しいよ!!」
 
 
この通り、超心配性である。小さい頃はただ普通に応援してくれていたんたけど小5くらいからいきなりアイドルに反対しだしたのだ。理由はさっき言っていた通り。
 
 
「まぁ虎太郎が言ってたそれもあるけどメインの理由は年齢だからね? それと実はもう一つ理由があるの」
「「「もう一つ?」」」
「そう、もう一つ。というかいつまで玄関で立ち話させるつもり? とりあえず入るわよ!」
「「「ご、ごめんなさい!」」」
 
 
 
 
 
「……で、そのもう一つの理由っていうのは?」
 
 
晩ご飯を目の前に話の続きを振られる。これは絶対騒がしいことになると予想する。覚悟を決めて……言うわよ。
 
 
「実は私、結婚する事にしたの」
「え」
「「えぇー!!??」」
「姉さんそれ本当!? 相手は!? どんな人!?」
「凄く興味があります!! 教えてください!!」
 
 
案の定ね。2人に詰め寄られる。やっぱり全部説明することになるんでしょうね。時間かかりそうだなー。
 
それからこうなるまでの経緯を全て話した。そしてこれからの事……公式発表は明後日、式はそれから2週間後という事、今までよりここに帰る頻度が落ちる事などなど……
 
 
「姉さんが今までより帰ってこれなくなるのは悲しいけど……そういう相手ができたのはめでたく思うよ。なぁ虎太郎!」
「う……うん」
「では今夜は女優転向記念兼、結婚前祝という事で盛り上がりましょう!!」
「イエーーー!!」
「みんな……」
 
 
やっぱり誰かに応援してもらえる、祝ってもらえるって幸せな事ね……
 
 
──────────────
 
 
次の日。今日はオフよ。登校する3人を見送る。
 
 
「まぁオフと言ってもやる事はあるんだけどね〜」
 
 
そう、女優転向と結婚の公式発表用原稿を考えないといけないのだ。
 
 
「どんなのにしようかしらねぇ……」
 
 
紙とペンを出し案を書き始める。
 
この度、私矢澤にこはアイドルを引退し、女優に転向する事を……少し硬いわね。
 
わたし、矢澤にこ! アイドルやってたんだけどもう歳も歳だから女優に移ることに……ちょっと軽すぎるかしら。
 
うーん……じゃあ──
 
 
 
 
 
「よし、できた!」
 
 
気がつくともう夕方になっていた。時間はかかったけどなるべく角の立たないよう丁寧に、かつ私らしさのある良い原稿が書けたと思う。あとはこれを覚えて明日会場で言うだけ、と。
 
さて、そろそろみんな帰ってくる頃だろうし、久しぶりにお姉ちゃんが晩ご飯でも作っておいてあげようかしら!
 
 
──────────────
 
 
「………う……………ょ……!」
「………ょ…?………ん……!?」
 
「んん……?」
 
 
話し声で目を覚ます。あれ? 私寝てた? 確か私の作った晩ご飯をみんなで食べて、その後原稿の暗記をして……どうやら途中で寝落ちしてしまったらしい。危ない危ない。時計を見ると今は夜中の1時らしい。こんな時間に何を話してるのかしら。
話し声は廊下からしているみたい。
 
 
「どうしたのこんな夜中に」
 
 
扉を開ける。そこにはこころここあ虎太郎3人共が集まっていた。
 
 
「ね、ねぇちゃん!?」
「お姉さま!? えっとこれは」
「姉さん聞いてよ! 結婚パーティー用にヘリウムガスを用意するように虎太郎に頼んでたら見てよこれ!」
 
 
そういってここあは虎太郎の近くの床に置いてあった大きいガスボンベを指差した。
 
 
「ガチすぎるでしょ!こんなサイズの買ってこられても困るよって」
「こ、こらここあ! その辺りの事はサプライズなんですよ!?」
「うぁしまった!!」
 
「あっはははは! あんた達……もう、サプライズならバレないように準備しなさいよもう」
 
 
ここあったらうっかり話しちゃって……
でもこんな夜中まで話し合ってくれてるなんて……いい妹達を持ったものね私。
 
 
「でもありがと。当日楽しみにしてるわ。早く寝るのよ〜」
 
 
そう言って自分の寝室に戻る。
みんなが私の幸せを祝ってくれている。その事に心躍らせながら私は改めて眠りについた。
 
 
──────────────
 
 
次の日、私は会見でこれからの事を話した。
 
結果は賛否両論だった。
 
ネットは『これからも応援するよ! 結婚もおめでとう!』という肯定派と、『結婚するからアイドル辞めるんだろ。失望したよ』という否定派に分かれ、対立が起きてしまった。
 
 
「世の中いい人ばかりじゃないのよね……」
 
 
まぁよくよく考えればこうなる可能性もあるということは分かってた。だからこうならないように原稿もしっかり考えた。妹達も祝ってくれてたしファンのみんなも祝ってくれると信じていたのに。
 
 
 
 
 
それから数日。色んな場所に引っ張り回されたけど一旦自由になった。
 
 
「今日は随分早く終わったわね……」
 
 
時計を見ると昼3時だった。家に帰ってサプライズでまた晩ご飯作ってあげようかしら。前回みんな大喜びだったしね。
 
 
 
 
 
ガチャ
「ただいまーってあれ?」
 
 
まだ学校中のはずなのに玄関に靴が置いてあった。虎太郎のだ。
 
 
「虎太郎ー? いるのー?」
 
 
返事はない。
 
おかしいわね。
 
虎太郎の部屋の前に立ちノックする。
 
 
「おーい、入るわよー」
ガチャ
 
 
中に入るとそこには……
 
 
 
「なに……これ……」
 
 
 
先日見たヘリウムガスタンクが繋がれた袋を頭に被った虎太郎が横になっていた。
 
 
 
「虎太郎!!!!!」
 
 
あまりに異様なその光景に思わず駆け出す。
急いでその袋を外し虎太郎を揺さぶる。
 
 
「にこ……ねぇ……ちゃん……??」
「虎太郎!! 何があったの!!?? なんでこんな事してるの!! 馬鹿!!! 生きてて良かった……!!」ポロポロ
「ねぇちゃん……う……うぅ……!!」ポロポロ
 
 
2人で抱き合いながら涙を流す。
 
ある程度たって虎太郎が話し始めた。
 
 
「にこねぇちゃんがアイドル辞めるって言ってさ……結婚するって言うじゃん……」
「うん……」
「でも誰も僕の気持ちわかってくれなくてさ……それどころか脅されて………もう……こんな思いするならって……」
「そう……」
 
 
きっと今回の結婚騒動で学校の人達に虐められたのね……可哀想に……
 
 
「ごめんね虎太郎……私のせいで……」
「…………」
「でもね、正直言わせてもらうと他人が何よ! 人の幸せを喜べないようなやつなんてロクな人間じゃないわ!! 虎太郎は虎太郎よ、虎太郎のやりたいようにやりなさい!! むしろそんな奴らにはやり返してやりなさい!!! 誰かの為に自分だけ死ぬなんてそんなのおかしいんだから!!」
「ねぇちゃん……!!」
 
 
目と目を合わせ強く伝える。どうやら凄く感動しているみたい。
 
 
「ありがとう、もう大丈夫だよ……僕、立ち向かってみるよ!!!!」
「もし次何かあったら私に任せなさい! 別に全てを1人で溜め込むことないんだから」
「うん! ありがとう!」
 
 
そう言って笑顔をむける虎太郎を見て少し安心する。どうにかなって良かった……
 
 
──────────────
 
 
「それじゃあ次帰ってくるのは多分結婚式前日になるから、またね」
「はい、いってらっしゃいませお姉さま」
「またな! 姉さん!!」
「にこねぇちゃん気をつけてね!」
 
 
あれから虎太郎は何もなかったかのようにいつもの状態に戻った。私に何も頼む事も無かった。きっとあの件も解決できたのだろう。よかったよかった。
 
そして式前日。
 
 
「姉さん明日から彼氏のものになっちゃうんだね……うぇぇぇぇん」
「ここあ! お姉さまが困ってしまうでしょう! 辞めなさい!」
「だって……だって……!!」
「もう……」
「やれやれ……にこねぇちゃん、明日朝早いんだし今日はもうお開きにしようよ」
「ふぁ……それもそうね……なんだかもう眠たいしね」
「こころねぇちゃんもここあねぇちゃんも、明日準備早いし寝るよー」
「……まぁそうですね。じゃあ早いですが今日はここまでで。おやすみなさい」
「おやすみー」
「……おや……すみ……うぅ……」
「おやすみー……ふぁぁ」
 
 
別れを済ませ自室の布団に潜り込む。荒れてた世間も静かになってきたし虎太郎ももう大丈夫みたい、妹達は私の事を応援してくれる。そして明日は彼との……あぁ楽しみ! 早く明日にならないかしら……きっと……明日は……最高な………… 
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