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イベリス

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第五十七話 梅雨だからその四

「流石に」
「けれどそれ抜きにして」
「入れ墨よく出て来る漫画だけれど」
「当たり前みたいにね」
 それこそというのだ。
「出るけれどね」
「それを抜いても」
「恰好よくてね」
 そのキャラはというのだ。
「性格もね」
「男前ですよね」
「だから人気があるんだよ」
「それで副部長さんも描かれるんですね」
「そうよ、あのキャラが一番好きなのよ」
 副部長も言ってきた。
「主人公もマイキーも好きだけれどね」
「ドラケンさんが一番お好きですか」
「ええ、ただあの作品髪の毛染めてるキャラ多いでしょ」
「金髪率高いですね」
「髪の毛染めると傷めるから」
「あっ、将来きますね」
「そうなるかもね」
 咲に笑って話した。
「そのことが気になるわ」
「漫画でもですね」
「あと入れ墨は身体に悪いから」
「肌思いきり傷めますからね」
「入れた部分から汗は出ないしね」
「汗腺潰すからですね」
「それで冷たいらしいのよ」
 入れ墨を入れた部分はというのだ。
「だから入れない方がいいのよ」
「真っ当な人は入れないですか」
「あの作品はヤンキー漫画だからね」
「その中でもかなり過激な方ですね」
「普通に人死んでるしね」 
 そこまでのことがある作品だからだというのだ。
「だからよ」
「入れ墨も普通ですね」
「けれどあれは消すのが大変だし」 
 消せることは消せる、だがそれにはかなりの労苦と費用それに痛みが伴う。入れるにあたってもかなりだが消すにもなのだ。
「若気の至りで入れるものじゃないわよ」
「一生って言いますしね」
「そうよ、お金は凄くかかるし」
 副部長もこのことを話した。
「それで時間はかかるし痛いし」
「汗腺とかも潰れて身体にも悪くて」
「しかも普通の人は入れないから」
「お風呂屋さんにも行けないですね」
「スーパー銭湯とかね」
 そうした場所にはというのだ。
「今時のお風呂屋さんとかだとね」
「行けないですね」
「そういうの厳しいからね」 
 昨今の世相ではそうなっている、昭和の頃は風呂屋に行けば花見が出来ると冗談で言っていた者すらいたがだ。
「だからね」
「そうそう入れるものじゃないですね」
「水滸伝だと全身入れ墨の豪傑いるけれどね」
「ええと、浪士の燕青ですね」
「あの豪傑、好漢と言うけれど」
「あの人は全身に入れ墨でしたね」
「そうしたのは今だとね」
 それこそというのだ。
「避けられるわよ」
「そうなりますね」
「だからあの漫画の真似してね」
「入れ墨入れるものじゃないですね」
「後で後悔するわよ」
「若気の至りで入れてですね」
 咲も言った。
「そうしてですね」
「そう、その後でね」
「後悔しますね」
「そうそう消えるものじゃないから」
 だからだというのだ。 
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