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オズのホボ王子

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第十二幕その三

「粋な格好の人だね」
「そうだね」
 弟さんもその人を見て言います。
「これはまた随分と」
「昔の日本の恰好みたいだね」
「一九三〇年代かその頃だね」
「確かそうだったね」
「日本の年号ですと昭和のはじめ頃ですね」
 日本人の恵梨香が言ってきました。
「その頃は」
「確かそうだったね」
 神宝が恵梨香に応えます。
「一九三〇年代だと」
「その頃は和服と洋服が一緒だったね」
 カルロスも言います。
「日本は」
「和洋折衷ね」
 ナターシャはこの言葉を出しました。
「この服装は」
「正反対の様で合ってるね」
 ジョージもその人の服装について言います。
「見事に」
「いいセンスだね」
 ボボ王子もそれはとなっています。
「あの人のファッションは」
「そうね、着流しの上にマントなんて」 
 アン王女も言います。
「素敵過ぎるわ」
「全くだね」
「よろしゅう」
 その人が笑顔で応えました。
「織田作之助です」
「貴方が大阪出身で今はあの街にいる」
 教授が応えます。
「作家さんだね」
「そうです、私がです」
 その人も笑顔で頷きます。
「織田作之助、織田作です」
「そうだね、貴方の本は読ませてもらっているけれど」
 教授は笑顔で応えました。
「どの作品も親しみやすくていいね」
「そう言うてくれますか」
「うん、これからも読ませてもらうよ」
「これからも書かせてもらいます」
「さてさて、どんな宴かのう」
 今度は金色に輝く日本の礼装を着た小柄でお猿さんみたいなお顔の人が来ました、随分と剽軽で気さくな感じです。
「一体」
「この人がじゃな」
 リンキティンク王はその人を見て言いました。
「豊臣秀吉さんじゃな」
「その通りじゃ」 
 その人ご自身が応えました。
「わしが羽柴藤吉郎、本姓と諱を豊臣秀吉という」
「そうなのじゃな」
「昔は本姓と諱は言わなかったが今はよい」
 そうだというのだ。
「好きに呼んでくれ」
「では秀吉さんとな」
「呼んでくれるか」
「そうさせてもらう」 
 こうお話しました、そして。
 ビリーナにノーム王、オジョ、驢馬のハンク、トロット、キャプテン=ビル、ベッツイ、エリカ、腹ペコタイガー、臆病ライオン、ガラスの猫、つぎはぎ娘、オズの魔法使い、グリンダ、トト、そしてオズマとドロシーが来ました。
 楚の皆を見てです、王子は笑顔で応えました。
「遂に皆来たね」
「わしもおるぞ」
 南蛮風の服を着た面長で整った顔の男の人が来ました、声はかなり高いです。 
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