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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その八

「サハラをだ」
「発展させる」
「そうしていきますか」
「戦乱が収まったばかりの国を」
「その様にしていきますか」
「オムダーマンの統治を見てもだ」
 ジャバルは政治家として話した、卓越したと誰もが評しているその立場から。
「必ずだ」
「サハラをですね」
「発展させますね」
「オムダーマンだけでなく」
「サハラ全体を」
「そうする筈だ、しかしだ」
 ここでジャバルはこうも言った。
「シャイターン主席はその下には入らない」
「サハラを出て、ですか」
「そのうえで、ですか」
「生きられる」
「そうなりますか」
「サハラを出ても彼は英傑だ」
 政治力、それがあるという意味での英傑だ。
「それがあるからな」
「だからですね」
「それで、ですね」
「サハラを出てもですね」
「それでもですね」
「他の国、おそらく連合でな」
 この国でというのだ。
「新国家を立ち上げてだ」
「その国の基盤を創り上げ」
「そして、ですか」
「発展させる」
「そうしていきますか」
「そうなる筈だ、だが」
 ジャバルは今度はこう言った。
「シャイターン主席はこの度何をしていたか」
「そのことはですね」
「どうにもですね」
「今回の会戦について」
「一体何をしていたか」
「それがわからない」 
 どうにもというのだ。
「私にはな」
「そうですね、旗艦シャハラザードは戦場にあった」
「シャイターン主席は戦場にいました」
「そのことは間違いありません」
「ですがそれでもです」
「あの惨敗は」
「シャイターン主席は凡将だったのか」
 ジャバルは本気でこうも思った。
「まさか」
「その可能性もありますね」
「巷で言われだしているそうですが」
「そのことは」
「どうにも」
「その様だな、実際私もだ」
 自分の考えを隠さない言葉だった。
「そうも思う」
「左様ですね」
「あの采配はどうにもです」
「アッディーン大統領に翻弄されていた」
「そういったものだとか」
「そう思いますと」
「やはりな」
 自身の軍事センスに気付かないまま言うのだった。
「シャイターン主席はな」
「その実はですね」
「凡将であった」
「そう思われてもですね」
「仕方ない戦い方でしたね」
「あれは」
「そうだ、負ける戦いではなかったという」
 ジャバルはあらためて言った。 
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