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ハッピークローバー

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第二十三話 安売りだったのでその十三

「京都も多分ね」
「合わないのね」
「他の地域はわからないけれど」
「今のところはなのね」
「大阪が一番だから」
 そう思うからだというのだ。
「だからね」
「大阪にいたいのね」
「それだけでも幸せよ」
「そう思えるだけ大阪好きね」
「うん、いい街よね」 
 母にトマトを食べつつ尋ねた。
「やっぱり」
「お母さんもそう思うわ」
「そうよね、だったらね」
 それならと言うのだった。
「これからも大阪にね」
「暮らしていって」
「楽しんでいきたいわ」
「そうだな、大阪程いい街はないな」
 父も笑顔で言ってきた、ビールが回って赤ら顔になって表情も酒が入っているのがわかるそうした
笑顔である。
「本当に」
「馴染みやすくてね」
「そうだな」
「人情の街って言うけれど」
「浪花節のな」
「確かにそうした風だしね」
 一華は父にも話した。
「その中におばちゃんもあるのね」
「大阪のおばちゃんは騒がしいけれど」
 それでもとだ、また母が応えた。
「人情がね」
「あるわね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「それがあるのよ」
「そうよね」
「大阪はね」 
 まさにというのだ。
「おばちゃんがよく言われるけれど」
「そのおばちゃんになのね」
「人情があるのよ」
「そうよね」
「だから一華もね」
「もうおばちゃんで」
「おばちゃんのレベルをね」
 それをというのだ。
「どんどんね上げていくのね」
「そうしていってね」 
 こう言うのだった。
「いいわね」
「そうしていくわね」 
 一華も約束した。
「これから」
「そうしたらいいわ、そうしていってね」
「大阪でなのね」
「幸せに過ごすのよ」
「そうしていくわね」
「本当にこんないい街ないわね」
「私はそう思うわ」
「そうよね」
「だから今大阪にいられて幸せで」
 そしてというのだ。
「それでね」
「ずっといたいのね」
「それで幸せでいたいわ」
「住めば都と言うけれどな」
 父がここでこう言ってきた。
「けれど最初から好きな街に住んでいてな」
「幸せなら」
「そのまま幸せでいてもな」
 そうしてもというのだ。
「いいからな、織田作さんもそうだったしな」
「織田作之助さんね」
「ああ、あの人もだ」
 昭和十年代から終戦直後に活躍したこの作家はというのだ、生まれは大阪でその生涯のほとんどをこの街で過ごした。 
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