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氷水

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第二章

 花田は待機所で暑さにうだりバスを運転する時にクーラーで癒された。そうして夕方まで過ごしていたが。
 夕方になってだ、彼は同僚達に言った。
「ほな今日はこれでや」
「ああ、自分あがりやな」
「これで暑さから解放されるな」
「そうなるな」
「いや、夕方でもな」
 ここで花田は外を見た、するとだった。
 日差しはまだ強い、五時になろうとしているのにまだまだそうだった。そして気温もまだ四十度あった。
 それでだ、彼はこう言った。
「全然涼しなってへんわ」
「それでやな」
「まだ暑いからやな」
「解放されてへんな」
「そうやさかいな」 
 だからだというのだ。
「家帰る前にな」
「ああ、お店に寄ってやな」
「かき氷食うな」
「そうしてくな」
「そうするわ、ほんまこんな時こそや」
 うだる様な暑さの時こそというのだ。
「冷たいもんやろ」
「かき氷やな」
「今の自分にとっては」
「それやな」
「そや、ほんまわし酒はあかん」
 そちらは飲めないことを自分でも言った。
「そやから冷えたビールとかもな」
「ないな」
「そっちは飲まんな」
「そうするな」
「ああ、それで甘いもんは好きでな」
 それでというのだ。
「アイスも好きやが」
「今はかき氷やな」
「その気分でやな」
「今から食ってくるな」
「そうしてくるわ、しかし喉も渇いたわ」
 暑さのせいであることは言うまでもない。
「ちょっとお店に入ったらな」
「そうしたらやな」
「お冷やも飲むな」
「そうするな」112
「そうしたいわ」
 こう言ってだった。
 花田は職場を後にした、そうしてだった。
 彼は駅から電車に乗りそうして自宅の最寄りの駅、福島区のそこまで行った。そのうえで駅の傍の甘味処に入った。
 和風の内装の店の中のカウンターに座って店員に注文した。
「かき氷、いちごくれるか」
「そちらですか」
「それでお冷やもな」
 こちらもというのだ。 
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