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対比的な両雄

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第三章

 次第に劣勢になり敗れた、それでリーは遂にその決断を下した。
「降伏する」
「ことここに至っては」
「そうされますか」
「もう戦えない」
「だからですね」
「そうする」
 周りの将兵達にこの時も生真面目な顔で答えた。
「わかったな」
「はい、流石にです」
「もう戦えません」
「多くの者が死傷し残った者も疲れきっています」
「ものもありません」
「これでは」
「戦えなくなった」
 そうした状況に陥ったというのだ。
「だからな」
「そうしましょう」
「ここは」
「ではこれよりですね」
「降伏の準備に入りますね」
「白旗を掲げる、しかしだ」
 その白旗もというのだ。
「最早な」
「ありませんね」
「それすらも」
「これではです」
「どうすべきか」
「タオルで白いものがあればだ」  
 リーは白旗がないのでそれでと言った。
「使おう」
「それが今の我々ですね」
「白旗もなく代わりのものを探す」
「そうした状況ですね」
「最早そうなっていますね」
「ここまでくると本当に無理だ」
 戦うことはとだ、こう言ってだった。
 リーは白いタオルを探しそれを白旗にして降伏した、それを総司令部で見たグラント立派な体格で顎髭が印象的な四角い顔立ちの彼は言った。
「わかった、ではな」
「これよりですね」
「降伏に応じて」
「文書を交えますね」
「戦争はこれで終わる、ではな」
 それならとだ、グラントは幕僚達に話した。
「文書の調印式に入ろう」
「わかりました、ですが」
「将軍、その服でですか」
「その恰好で文書の調印に出られるのですか」
「式に」
「私はいつもこうではないか」
 見ればだらしない身なりだ、彼は幕僚達にその恰好で笑って応えた。
「だからな」
「それで、ですか」
「そのお姿で、ですか」
「出られますか」
「そうされますか」
「正装だのはどうでもいい」
 グラントにとってはというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「それでいいのですね」
「将軍は」
「これでいい」
 笑ってこう言ってだった。
 彼もまた降伏文書調印の式に出た、だが。
 正装で出て来たリーに対してグラントはだらしない身なりであった、それを見た者は誰もが思った。
「どちらが勝ったんだ」
「北部、合衆国だが」
「そちらのグラント将軍はだらしがないな」
「そうした御仁と聞いていたが」
「こうした時もその身なりか」
「どうもな」
「それに対して」
 リーを見るとだった。 
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