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少女は 見えない糸だけをたよりに

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6-2

 冬休みも終わって、学生さんも増えてきた頃、有沢さんがお店に飛び込んできた。

「香波ちゃん わかったよ 多分 巧の居所」

「えー」と、私は言葉が続かなかった。

「沖縄だ 杉沢って先輩が居るんだよ 自然研究会の先輩でな 巧に、サンゴの海を守りながら暮らしている友人が居るから、自然を大切にしている奴だから、学ぶことも多いぞって、尋ねてみろって紹介したらしいんだ。北海道の牧草の借り入れも終わって、相談してきたって言って居た」

「それで、今度は沖縄なんですかー」

「うん 今度は、その杉沢先輩に聞けば、居所わかるぞ どうする?」

「・・・聞いても、私、そこへ行くわけにはいかない それに、邪魔になるだろうし」

「そうか せっかく 居所わかったんだから・・ じゃぁ、香波ちゃんが待っているってことだけでも、知らせておくか」

「有沢さん やっぱり 黙ってて・・ 私 あの人の負担になるの嫌なの 待ってます 帰って来るの きっと 帰ってきてくれると信じて 春までは待ちます」

「そうかー じゃあ、居所聞いて、新学期には帰って来るかだけでも確認しておくよ 香波ちゃんのことは言わないようにする」

「うん お願い」

 その晩、お姉ちゃんとお風呂に入っている時に、報告をした。

「良かったわねー 香波 でも、本当に行かないで良いの? 辛抱できるの?」

「私ね 本当は 会うの怖いの しつこい女だと思われないかと・・それに あの人にふさわしい女なんだろうかとか」

「香波 いまごろになって 何言ってんのよ あんなに結ばれてますって 言い切っていたじゃない それにね あなたは、まだ、子供よ これから どんどん 色々経験して磨いていくの 向こうも そうよ お付き合いが始まって、お互いにね 香波は賢いんだから 自信持ちなさい」

 そして、2月になって17才の誕生日を迎えていた。家族のみんなでホテルのレストランでお食事をして祝ってくれたのだ。お父さんは、アメジストのネックレス、イャリングを、お姉ちゃんは細いリングのブレスレットを用意してくれていた。

 あと、ふた月すれば、あの人に会えるんだ。巧さん・・。 
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