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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその三十三

「そしてだ」
「乗り越えていっていますね」
「不可能と思って諦めないことだ」
「それは可能かも知れない」
「そうだ、人は可能と思えばだ」
「そこからですね」
「考え動きだ」
 そうしていってというのだ。
「可能に出来るものだ」
「そうして進歩していきますね」
「諦めた者に進歩はない」
 ギルフォードはこうも言った。
「全くな」
「そこで終わりですね」
「だが諦めずにな」
「不可能かどうか疑い」
「可能ではと考えるとだ」
「そこからですね」
「人は前に進むことが出来る」
 そうなるというのだ。
「コロンブスも然りだ、そして多くの先人達もだ」
「不可能を疑い」
「ことを進められた」 
 そうだったというのだ。
「それ故にだ」
「我々もですね」
「まず疑うことだ」
 そこからだというのだ。
「何につけてもな」
「不可能について」
「私も同じだ、不可能はだ」
「実は可能である」
「そうしたものが実に多い、技術的に無理でもな」
「今の技術ではですね」
「それに過ぎない、特に駄目なのは」
 それは何かというと。
「不可能にあれこれ理由を付けてだ」
「そして何もしないことですか」
「そうだ、例えば現代の技術が絶対か」
 ギルフォードはモンサルヴァートに鋭い目で問うた。
「今の科学技術が」
「それは違います」
「そうだな、数学も物理もだ」
「その公式は時代によって変わりますね」
「よりよい公式が出る」
 そうした学問についてもだ。
「ガロアの時代から数学は進歩した」
「今は遥かに」
「若しガロアが絶対だったならだ」
 十九世紀フランスの天才科学者だ、残念ながら決闘で二十代の若さで世を去ってしまっている。後にガロアの公式という遺産を残しはしたが。
「文明は数学の分野ではな」
「そこで止まっていましたね」
「公式にしても正しいか」
 数学や物理のそれもというのだ。
「そう疑問に思いだ」
「調べてですね」
「そこからだ」
 まさにというのだ。
「進歩がはじまる」
「その通りですね」
「そうした進歩も不可能と思うならだ」
「何も進歩はしない」
「そうだ、そこで終わりだ」
 まさにというのだ。
「何にもならない」
「左様ですね、では」
「我々はだ」
「不可能を疑うことですね」
「そこからはじめることだ、この世に絶対のものも極めて少ないしな」
「絶対即ち不可能と考えると」
「同じだ」
 モンサルヴァートに言う言葉は鋭いままだった。 
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