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犬の目やに

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第一章

                犬の目やに
 洋介はある日家の犬用ケージ即ちふわりの家の中にいる彼女の顔を見て言った。
「あれっ、ふわり目やにあるぞ」
「じゃあ明日病院に連れて行かないとな」
 文太は息子の話を聞いて言った。
「駄目だな、生きものの保険に入っていてよかったな」
「目やになんて誰でも出来るだろ」
「犬の場合は駄目なんだ」
 文太は息子にこう返した。
「絶対にな」
「そうなのかよ」
「人間に目やにが出来ても病気じゃないがな」
 それでもというのだ。
「犬は体調が悪いとな」
「目やにが出来るんだな」
「あと鼻が乾くんだ」
 この場合もというのだ。
「病気なんだよ」
「そうなんだな」
「だからな」 
「明日か」
「お前明日仕事休みだろ」
「それでか」
「病院に連れて行ってくれるか、俺と母さんは仕事だからな」
 それでというのだ。
「明日お前が休みだったらな」
「病院に連れて行くな」
「宜しく頼むな」
「そうするな」
 こう話してだった。
 洋介は次の日実際にふわりを家の近くの動物病院に連れて行った、そうして獣医に診てもらうとだった。
「早いうちに見付かったので」
「だからですか」
「もう注射で、です」 
 それだけでというのだ。
「完治します」
「そうですか」
「はい、目やにがあったんですね」 
 獣医は診察台の上にいるふわりを見つつ付き添っている洋介に尋ねた。ふわりはその上で大人しく座っている。舌を出していていつも通りだ。
「ワン」
「そうでしたね」
「はい、そうでした」
 洋介は獣医にその通りだと答えた。
「目やにがありました」
「それは犬にとっては体調が悪い証拠なんです」
「親父がそう言ってました」
「それで実際この娘はです」
 ふわりはというのだ。 
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