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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその三十

 だがそれでもとだ、モンサルヴァートに言うのだった。
「しかし零ではない」
「戦争が起こる可能性は常にですね」
「何かの弾みで起こることもある」
「歴史上そうした戦争は多いですね」
「ほんの僅かな火種が大きな戦争にもなる」
 そもそもそこに大きく燃え盛る元があってだ、三十年戦争もそうであったし第一次世界大戦もそうであった。
「そして一方が望んでいればな」
「それで起こることもありますね」
「そうだ、だから戦争が起こる可能性は常に零ではない」
 それは決してというのだ。
「まことにな」
「左様ですね」
「それでだが」
 モンサルヴァートはさらに話した。
「私は今言うのだ」
「そうなのですね」
「確かに彼は賢明だがな」
「悪い選択肢は採らないですね」
「そうだ、戦争は政治の一手段だが」
 戦争と平和ではないというのだ、政治の中のそれだというのだ。
「出来る限りはだ」
「採らないですね」
「必要とあれば採るだろうがな」
「今のマウリアの状況ではやはり相当に可能性は低いですね」
「実際な、私にしてもだ」
 ここでギルフォードは自分の話もした。
「戦争を行う考えはない」
「それも一切ですね」
「連合に対してもだ」
「戦争よりもですね」
「国力も技術も高め」
 そしてというのだ。
「日々強大な国家にしていく」
「それが閣下のお考えですね」
「軍も同じだ」
 そちらもというのだ。
「軍備増強政策を推し進めているが」
「国家として当然のことですね」
「己を守れない国は駄目だ」
 それだけでというのだ。
「己を守れるだけの軍隊は必ず持たねばならない」
「それは覇権を目指してではなく」
「国防をだ」
 それをというのだ。
「考えてだ」
「今の我々は戦争ではなく」
「新天地の確保を目指しているしな」
「暗黒宙域の踏破ですね」
「それを行ってだ」
 そうしてというのだ。
「新天地を手に入れる」
「そうされますね」
「その計画は進めているしな」
「大航海時代の様に」
「あの時から欧州は発展したな」
「多くのものを得て」
「これまで暗黒宙域は踏破出来ないと言われていた」
 何十万年光年もの距離だ、ならばだ。
「しかしな」
「それは、ですね」
「無理だとだ」
「最初から思っているだけで」
「決めつけているだけでだ」
「実は可能ですね」
「不可能と思われていることは」
 そうしたことはとだ、ギルフォードはさらに言った。
「実はそうではない」
「可能ですね」
「世の中そうしたことが多い」
「実は可能である」
「ナポレオンは言ったな」
「自分の辞書に不可能という言葉はない、ですね」
「ナポレオンの自信の表れだが」
 そうした言葉だが、というのだ。 
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