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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその二十九

「かなり難しい本も読破している」
「そうして愛読書にされていますね」
「しかし軍事関係の書はな」
「一冊もない」
「それはアウトカースト層の政府に軍隊が存在しなかったからだ」
「アウトカースト層の社会にも」
「彼等はあくまでマウリアの中の政府でだ」
「マウリアの国防については」
「マウリア政府が行っていた」
 アウトカースト層以外の者達の政府だ。
「軍隊を以てな」
「左様でしたね」
「だからアウトカースト層の政府の中、そして社会の中で生きるのならな」
「そうした書を読む必要がなく」
「それでだ」
「軍事の書も読んでおられず」
「必ず軍には露骨な介入を行う」 
 国家元首つまり軍の最高司令官の権限を以てだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「マウリアを負けさせる」
「どういった相手に対しても」
「そうなる、ジャバル副主席は戦争はしないことだ」
「何があろうとも」
「それがマウリアの為でありだ」
 そしてと言うのだった。
「あの御仁の為でもある」
「最初から戦争をしないことですね」
「素人が何も学ぶことをせず挑んでもだ」
「失敗してしまいますね」
「そうなってしまう」
 まずこうなるというのだ。
「確実にな」
「だからマウリアの為、あの御仁の為にも」
「ジャバル副主席は戦争なぞしないことだ」
 絶対にというのだ。
「まことにな」
「そうですね、ですがそもそも」
「マウリアに戦争を行う必要があるか」
「それはです」
「ないな」
「はい」
 モンサルヴァートも答えた。
「そもそも」
「そうだな」
「ですから」
「この仮説はな」
 ジャバルがマウリアを戦争に導くというそれはというのだ。
「まずないな、これからどうなるかわからないが」
「それでもですね」
「まずだ」
「戦争にはならないですね」
「今のマウリアで戦争を行う必要性がな」
「ないからこそ」
「この仮説は成り立たない」
 こう言うのだった。
「ジャバル副主席は野心家だがな」
「愚かではなく」
「軍事について無知でもな」
「戦争をすべきかどうかは」
「その都度見極められる」
「それだけの資質がおありですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ、ジャバルがそうした者だからこそ。
「マウリアが彼が国家主席になったとしてだ」
「その座におられる時に戦争を行うか」
「その可能性はな」
 どうにもというのだった。
「ほぼない」
「絶対ではないにしても」
「可能性は極めて低い」
 それ自体はとだ、ギルフォードはこのことは強調した。 
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