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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその二十六

「その資質を以てな」
「当選し」
「国家主席になる」
「そうなりますか」
「階級意識は強い」
 これはどうしてもとだ、ギルフォードは言った。
「それが宗教に基づくものでもな、いや」
「いや、とは」
「宗教に基づくならだ」
 それで定められているならというのだ。
「尚更だ」
「倫理にもなるので」
「法律で定める以上にな、だがな」
「ジャバル副主席はですか」
「その階級意識もだ」
 マウリアに強くあるそれもというのだ。
「必ずだ」
「覆してですか」
「国家主席になる」
「そうなりますか」
「そしてだ」
 ただ国家主席に就任するだけでなくというのだ。
「さらにだ」
「政治を進められますか」
「彼が思うそれをな」
「アウトカースト層の権益の拡大ですね」
「それを果たし」
 そしてと言うのだった。
「マウリア全体をだ」
「発展させますか」
「そうなる、しかしだ」 
 ここでギルフォードはモンサルヴァートに対して声をかける様にして尋ねた。
「マールボロ貴族院議員がな」
「先日ジャバル副主席と会談されました」
「私も彼とは個人的に関係がある」
「ご友人でしたね」
「世代は違うがな、親戚同士だが縁戚関係もある」
 貴族社会に付きもののこれもあるというのだ。
「それでだ」
「交流もありますね」
「友人としてな」
 そして遠い親戚としてもだ。
「ある」
「左様ですか」
「そのマールボロ議員との会談だが」
「どうもです」
 モンサルヴァートはギルフォードにその会談について述べた。
「マールボロ議員はあの御仁の軍事的資質については」
「かなり辛辣だそうだな」
「他の資質は素晴らしいとのことですが」
 このことは誰もが思うことだ。
「しかしです」
「それでもだな」
「はい、軍事的な知識や才能は」
「全くないか」
「全くの素人で」
 そしてというのだ。
「尚且つそちらでも有能と思われている」
「他の才能と同じ様にと考えているな」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうした御仁だと」
「私もそう評したと聞いている」 
 マールボロはジャバルをその様にというのだ。
「どうやらな、そしてそれはな」
「妥当な様ですね」
「マウリアのアウトカースト層に軍人階級は存在しない」
「警察はあろうとも」
「近代国家では両者は別だ」
 分けられていくのも近代国家形成の中であったことだ、次第に警察は軍隊から離れ別の組織となっていったのだ。 
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